サンウルブズのアウェー初勝利、素晴らしかったですね。
個人的にはヤンブーことPR山下裕史の活躍が嬉しいです。前節のワラタス戦もヤンブーのスクラムでの活躍が起点となっていい展開に持ち込めたし、このチーフス戦もスクラム、タックル、ボールキャリーとすべてにおいて、今まででベストパフォーマンスなんじゃないか、と思うくらいの素晴らしいプレーを見せてくれている。
「ヤンブー」は今や「世界のヤンブー」
この試合のヤンブーのベストモーメントは、相手のロックと絡んだ場面で、
「しょーもないことすな、お前!」
と日本語で一喝した場面ですね(笑)。神戸製鋼の先輩としても嬉しいし、ヒジョーに鼻が高いです。
自慢話になりますが、彼をヤンブーと呼び始めたのは僕なんです。
実は、初代のヤンブーさんは別にいるんです。神戸製鋼のV7のときに3番PRで活躍していた山下利幸さん。僕は神戸製鋼に入社して配属された資材部で一緒になったのですが、彼の現役時代のニックネームが「ヤンブー」だったんです。僕が入った頃はもうすっかりスラッとした体型だったんですが、ラグビー部の先輩や仲間はみんな「ヤンブー」と呼んでいて、愛されていた。そんなことがあって、僕の2個下で入って来たPR、それも3番の山下を「ヤンブー、ヤンブー」と呼び始めたんです。
当時、納会のあとの家族会で、ヤンブーのお母さんが「ウチの子がブーって呼ばれるのはイヤです……誰が名付けたんでしょうか……」と仰ったときはちょっと気まずい思いもしましたが、結果的には「ヤンブー」という名が定着して、愛されて、今では「世界のヤンブー」ですからね。許してもらえるんじゃないでしょうか……。
それはともあれ、ヤンブーのパフォーマンスは素晴らしいですね。スクラムの中の細かいことは僕には分からないけれど、強いことは間違いない。ボールキャリーについては前のスペースが空くかどうか次第なところもあるけれど、効果的なスペースに良いタイミングで走り込んでいるし、強い姿勢で走れている。スタッツを見ても、ランメーター24mは3列の松橋や2列のトンプソンより多い。タックルも、多くはないけれど着実に決めていますよね。ミスタックルはゼロです。プロップがこれだけ働いてくれると、チームの総運動量はすごく上がります。
ヤンブー自身が、ワールドカップに向けてどんな思いを持って今のサンウルブズに参加しているのか、詳しいことは聞いていないけれど、僕が知っているヤンブーはいつも前向きな姿勢を崩さない選手でした。33歳になりましたが、その魅力を持ったまま、さらに大人になったなという印象です。彼の活躍は純粋に嬉しい。ぜひともワールドカップにもう一度出てほしい選手ですね。
さて、チーフス戦です。アウェーでの初勝利は本当に素晴らしかった。