ワールドカップ2023準決勝レビュー・ファイナル展望。今大会に見た「質的変化」南ア・NZの戦いで最も注目すべき点は | ラグビージャパン365

ワールドカップ2023準決勝レビュー・ファイナル展望。今大会に見た「質的変化」南ア・NZの戦いで最も注目すべき点は

2023/10/25

解説●後藤翔太 構成●大友信彦


こんにちは、翔太です。
ワールドカップは準決勝まで終了しました。
決勝に進出したのは、準決勝でアルゼンチンを破ったニュージーランドと、イングランドを破った南アフリカです。世界ラグビーの歴史から見れば順当というか、ビッグ2の対決となりましたが、今大会の流れを見ると決してそんな、順当な道のりではありませんでした。むしろ、紆余曲折があった。ただそれは今大会というか、ラグビーワールドカップという大会の性質が変化してきた中で必然的なものだったのではないかと僕は考えます。

それは「強いチームが勝つ」大会から「勝ったチームが強い」への質的変化です。

ラグビーワールドカップは2015年の第8回大会まではすべて、プール戦から決勝まで一度も負けなかったチームが優勝しました。ラグビーはそもそも番狂わせが少ないスポーツと言われていますが、ワールドカップも例外ではなく、大会前の下馬評がかなり反映されて、大会でも実力を順当に発揮したチームが優勝する――という展開が続きました。

しかし前回の日本大会で優勝した南アフリカは、ワールドカップ史上初めて、プール戦で1敗を喫しながら優勝した国となりました。これは大きなターニングポイントだったと思います。

1敗したチームが最終的に大会に優勝を飾るということは、大会中に修正した、あるいは成長した、学びを得たチームが優勝したということ。言い換えると、ひとつの大会で同じ戦い方を続けていては優勝できないということです。各チームの戦術が多彩化したこと、分析が高度化したことも背景にはあるでしょう。言い換えると、いかにして大会中に学ぶか、進化するかが大切になる。そう考えたとき、プール戦で順調に勝ち続けることは、むしろチームが成長するチャンスを遠ざけることになりかねない。結果的に、決勝に残ったNZと南アはともにプール戦で1敗していた。これで、ワールドカップは2大会連続で、プール戦で「負け」を経験したチームが優勝することが確定したわけです。


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