日本選手権準決勝・TL「トップ4」同士の対決! | ラグビージャパン365

日本選手権準決勝・TL「トップ4」同士の対決!

2012/03/10

文●斉藤健仁


第49回ラグビー日本選手権の準決勝2試合が3月11日(日)14時から、東京・国立競技場と大阪・近鉄花園ラグビー場で行われる。準決勝には日本選手権優勝経験のあるトップリーグの「トップ4」の4チームが順当に残った。国立ではサントリーサンゴリアスと東芝ブレイブルーパス、花園ではパナソニックワイルドナイツとNECグリーンロケッツが激突する。それぞれ今季の対戦はトップリーグのリーグ戦以来2度目。

パナソニック対NEC―昨季準優勝パナソニックの攻撃をNECが得意のDFでロースコアに持ち込めるか

メンバーはこちら(公式HP)→
http://www.rugby-japan.jp/national/score/member6084.html

リーグ戦でのパナソニック対NECの対戦は、昨年11月5日、第2節だった。前半からSOマイク・デラーニが得意とするランでNECのDFラインを切り裂き、前半だけで4トライを挙げて31―0でリード。だが後半からNECは、今シーズンのリーグトライ王WTBネマニ・ナドロを投入し、SO田村優が攻撃をリードし4トライを挙げたが、終わって見ればパナソニックが38-26で勝利した試合だった。

リーグ戦での対戦では、パナソニックDFに軍配。ナドロ選手をしっかりと止めることができた。はたして、今のナドロ選手に対しては!?

リーグ戦での対戦では、パナソニックDFに軍配。ナドロ選手をしっかりと止めることができた。はたして、今のナドロ選手に対しては!?

日本選手権準決勝では、まずNECとしてはリーグ戦とは違い、相手をロースコアに抑えたいところ。「(パナソニックとは)似たチーム同士。我慢負けしたくない」とNECの岡村要HC。接点の攻防とDFからリズムを作り、SO田村―WTBナドロのホットラインでトライを重ねたい。また、トップリーグプレーオフの決勝でパナソニックはサントリーにモールから2トライを許している。NECはFL浅野良太を核にゴール前ではドライビングモールで攻めたい。

先発するSOデラーニとプレーオフ大活躍、ベストフィフティーンにも選出されたCTBフーリー。NECのDFはこの2人を止めることができるだろうか。

先発するSOデラーニとプレーオフ大活躍、ベストフィフティーンにも選出されたCTBフーリー。NECのDFはこの2人を止めることができるだろうか。

一方のパナソニックは、そのリーグ戦でブレイクしたSOデラーニが先発。さらに両翼にスピードスターの北川またはカウンターからトライを狙う。またリザーブにはケガから復帰したトップリーグ最強LO&豪州代表経験のあるダニエル・ヒーナンが復帰、さらに南アフリカ代表CTBジャック・フーリーが控え、後半の勝負所での出場が予想される。

リーグ3位&昨シーズン準優勝のパナソニックがその持ち味を見せて順当に勝つのか、「トーナメントに強い」NECがロースコアの試合展開に持ち込んで勝機を見いだしたい。個人的にはDF合戦の中での両チームの素晴らしいトライが見たい!

 

サントリー対東芝―季2試合目の「府中ダービー」は、互いの意地とプライドがぶつかる真っ向勝負!

トップリーグ優勝を果たしたエディージョーンズGM兼監督。リーグ戦では終盤に逆転負け。果たしてどんな戦い方を見せてくれるだろうか。

トップリーグ優勝を果たしたエディージョーンズGM兼監督。リーグ戦では終盤に逆転負け。果たしてどんな戦い方を見せてくれるだろうか。

メンバーはこちら(公式HP)→
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東京都府中市を本拠地とするチーム同士の「府中ダービー」、今シーズンのトップリーグでの対戦は11節、1月22日のことだった。第10節まで全勝中のサントリーが後半38分までリードしていたが、39分に東芝のLO望月雄太が逆転トライを挙げて21―18で東芝が勝利。今シーズン、初めての敗戦にサントリーのエディー・ジョーンズGM兼監督は珍しく気色ばみ、「(東芝に)二度と勝たせない」というフレーズを2度繰り返し、悔しさを露わにしたシーンが印象的だった。

「サントリーさんはトップリーグチャンピオンというプライドを持っている。私たちも東芝というラグビーにプライドを持って全力で真っ向勝負したい」(写真はトップリーグプレーオフ記者会見時)

「サントリーさんはトップリーグチャンピオンというプライドを持っている。私たちも東芝というラグビーにプライドを持って全力で真っ向勝負したい」(写真はトップリーグプレーオフ記者会見時)

この試合は、試合前まで雨が降っていた悪条件のグラウンドコンディションで、ジョーンズGM兼監督は「毎回ラインブレイクした後、ブレイクダウンでボールが殺されてしまった。(こういう状況の中で)継続したラグビーは不可能だった」と述べていた。だが、日本選手権の準決勝は芝の状態が良い国立競技場であり、また天気も予報によると晴れ。東芝の和田賢一監督は「サントリーさんはトップリーグチャンピオンというプライドを持っている。私たちも東芝というラグビーにプライドを持って全力で真っ向勝負したい」(東芝和田賢一監督)

東芝はトップリーグプレーオフの準決勝では、パナソニックの前に出るDFに押し込まれてしまい、持ち前の接点での強さを発揮できなかった。だが日本選手権に入ってからの東芝は今シーズンのスローガン「ブレイクスルー(Break through)」を試合で表現。接点で相手を圧倒し、ヤマハ発動機と帝京大に快勝。「パナソニック戦では接点で押し込むことができなかった。だから原点に帰ることができた」(和田監督)

この試合の鍵を握るのは、和田監督が言うように「ボールを保持してどっちかが長くアタックできるか」であろう。東芝はリサイクルベースのサントリーの攻めをリーグ戦と同じように接点でプレッシャーをかけてくるだろう。サントリーもそれをわかった上で、接点でなるべく少ない人数でボールを出し、展開したいところだ。

昨シーズンの日本選手権王者サントリーのジョーンズGM兼監督も、東芝が接点にプレッシャーをかけてくることを重々承知している。外国人3枠のリーグ戦と違い2枠の日本選手権で、攻撃の要の1人であるSOトゥシ・ピシではなく、南アフリカ代表63キャップ身長196cm体重117kgのLOダニー・ロッソウを先発させた。

トゥシ・ピシではなく、先発のダニー・ロッソウ。経験豊かな選手を先発起用したサントリーの作戦とは!?

トゥシ・ピシではなく、先発のダニー・ロッソウ。経験豊かな選手を先発起用したサントリーの作戦とは!?

「府中ダービー」の第2ラウンドが、今シーズンのラグビーのクライマックスの1試合になることは間違いない。昨シーズンタイトルを逃した東芝がリーグ戦に続きライバルに勝つのか。それとも、今シーズン「2冠」を掲げて戦ってきたサントリーが、決勝戦に進出し王手をかけるのか――見逃せない一戦である。

斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ


 

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