高校ラグビー開幕戦・スピードとフィットネスで上回った仙台育英が大分舞鶴に勝利 | ラグビージャパン365

高校ラグビー開幕戦・スピードとフィットネスで上回った仙台育英が大分舞鶴に勝利

2013/12/28

文●斉藤健仁


12月27日(金)、大阪・近鉄花園ラグビー場にて、今年度も「花園」こと、全国高等学校ラグビー選手権大会が開幕した。初日は1回戦8試合が行われたが、中でも最も注目されたのは18年連続20回目の出場で準決勝に進出すること2回の仙台育英(宮城)と、優勝1回&準優勝3回の大分舞鶴の一戦だった。

仙台育成は、かつてはFWが強くモールを武器にした時代もあったが、今年のチームはFWの平均体重が82.5kgと全国的には小さい部類であり、走り回るラグビーを標榜。

モールで押し込む大分舞鶴

モールで押し込む大分舞鶴

4月の選抜大会では桂(京都)に走り勝ち、6月の東北大会では優勝した秋田工(秋田)に12-17と肉薄していた。

一方、過去2年間、初戦敗退が続いている大分舞鶴はフィジカルを徹底的に強化。FWの平均体重は仙台育英より10kg以上重い93.3kgで、モールを武器としていた。ただ、6月の九州大会では名護(沖縄)に17-35で敗れていた。花園に向けてどこまで成長しているか注目された。

 

力強い突破でチームを牽引したFB矢富

力強い突破でチームを牽引したFB矢富

先制したのはスピードとフィットネスで上回り、ペースを握った仙台育英だった。4分、左40mの難しい角度のPGを、ヤマハ発動機のSH矢富勇毅の弟・FB矢富洋則(3年)がきっちり決める。

さらに7分にはキックチャージからWTB木村裕也(2年)がトライを挙げて10-0とリード。14分に大分舞鶴がラックサイドを突いてトライを挙げたものの、仙台育成は前半終了間際にFB矢富がPGを決めて13-7で折り返す。

仙台育英はキックチャージが効果的だった

仙台育英はキックチャージが効果的だった

後半も仙台育英が主導権を握り、3分、FB矢富がPGを決めて16-7に。だが、11分に雷で試合が一時中断するアクシデントに見舞われる(雷による中断は花園史上初)。「ちょうど調子が出てきたところだったのですが。もっと得点を取りたかった」(仙台育英の丹野博太監督)

それでも再開後、仙台育成は再び相手のキックをチャージし、SH柴田なつき(3年)がインゴールに抑えて21-7とする。25分には大分舞鶴が果敢なアタックでWTB篠田航平(3年)がトライを返し、追い上げるものの、そのまま仙台育英が21-12で勝利し、2回戦に進出した。

FWを全面に押し出した大分舞鶴に対して、フィットネスとスピード、そしてキックも織り交ぜて攻めた仙台育英が、PGチャンスもしっかりとスコアし勝利に結びつけた。丹野監督は勝因を「食育」に挙げた。

「ひとりひとりに栄養士さんと相談させて、とにかくたくさん食べました」。

しっかりと食べながらも各自筋力トレーニングを行い、春の選抜では細く見えたFB矢富も「春から4〜5kg体重が増えました」と言うとおり、ステップだけでなく、力強い突破でも大分舞鶴ディフェンスに打ち勝っていた。

実力を出して見事に2回戦に進出した仙台育成は12月30日、3校のAシードの1つ東海大仰星(大阪第1)に挑戦する。花園20回目となる節目の大会で、大きなことを成し遂げることができるか。

 

斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ


 

記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ