10月31日、11月2日の「オールブラックス」ことニュージーランド(NZ)代表戦の日本代表メンバーが発表された。ジャパンのメンバーで先発、控えを含めた23人の中で、本職のSHは田中史朗一人だけだった。今年2月、日本人として初のスーパーラグビープレイヤーとなった田中は、6月のウェールズ撃破にも大きく貢献。今回のNZとの対戦も「日本の未来にも関わってくる。チャンスをつかんで勝ちたい」と静かに闘志を燃やしている。
8月31日、大阪のキンチョウスタジアムで開催されたトップリーグの開幕戦。パナソニックワイルドナイツの青いユニフォームに身をつつんだ田中史朗の姿はなかった。
今年、2月、ニュージーランドのダニーデンを本拠地とするハイランダーズで、日本人初めて南半球3カ国のプロリーグである「スーパーラグビー」でプレーする快挙を達成。さらに、6月の日本代表のウェールズ撃破の立役者の一人になった「フミ」こと田中は、2014年も再び、スーパーラグビーでプレーするため、8月中旬からNZ国内のプロリーグであるITM杯に参戦するオタゴでプレーしていた。
かつて三洋電機(現パナソニック)でハーフ団を組んだ“師匠”トニー・ブラウンHC(ヘッドコーチ)の下、昨年に続いて今年もITM杯で主力として活躍し、チームを1部に昇格させることはできなかったものの、その力を証明。日本人FW初のスーパーラグビー選手のHO堀江翔太(オーストラリア・レベルズ)同様、2014年も再びハイランダーズと契約し、スーパーラグビーでプレーすることが決まった。2年目のITM挑戦を通して「コミュニケーションの大事さ、チームとしてしっかりまとまるということを学びました。個人的には余裕ができましたね。日本だとFWが違うので少しプレッシャー受けるかもしれませんが、その分、的確な指示でFWを動かしたりしていきたい」(田中)