希少資源の大学生を救え・第2章 | ラグビージャパン365

希少資源の大学生を救え・第2章

2013/05/01

文●大友信彦


先日、日本選手権の大会方式変更の発表があり、大学チームから4校が日本選手権に出場しトップリーグのチームと戦う機会が与えられた。大学世代の強化を目的とした改革だ。「世界のトップ10入り」を目指すジャパンにとってはこの世代の選手の育成はさらなる急務といえよう。2002年1月に発表された本著は、大学生世代をどう強化するか?このテーマを議論する上で重要な意味を持つ大友信彦氏の警鐘である。

22歳は若手じゃない――「王様」の日々を送る学生たち――

「22歳は、もう若手じゃないんです」と、岩渕健輔は言った。

青学大を卒業後にケンブリッジ大に留学した岩渕は、修士課程を学びながら2年間プレーした後、イングランドのプレミアシップ1部の強豪・サラセンズとプロフェッショナルとして契約。世界中の強豪国から選手が集まるスター軍団で過ごす日々は、日本ラグビー界随一の英語力と国際感覚の待ち主に、世界ラグビーの現実に対する理解を与えた。その岩渕は、日本代表に復帰した2001年のシーズン、ことあるごとに言ったのだ。

「斉藤や栗原なんか、世界的に見たらもう若くないんですよ。イギリスでは20歳やそこらで代表に入ってる選手なんてザラですから。彼らも世界に出る気があるなら、今すぐ出ないと遅い」

新生・日本代表にとって、未来へ希望を与える存在がN08斉藤祐也(明大→サントリー、24歳)であり、WTB栗原徹(慶大→サントリー、23歳)であり、あるいはFB小野澤宏時(中大→サントリー23歳)だった。これから経験を積めば、きっと日本代表を支える存在になるだろう――そんな希望を感じていたファンは多いと思う。だが岩渕は、国内では若手と目される彼らを「もう若くない」と言い切ったのだ。

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