希少資源の大学生を救え・第5章 | ラグビージャパン365

希少資源の大学生を救え・第5章

2013/08/08

文●大友信彦


「世界のトップ10入り」を目指すジャパンにとって、大学生世代をどう強化するか?はさらなる急務といえよう。2002年1月に発表された本著は、このテーマを議論する上で重要な意味を持つ大友信彦氏の警鐘である。核心に迫る第5弾


日本選手権を単独チームで争う必要はない!

日本選手権の意義について、春口の話を聞いているときに、ふと出てきた言葉があった。

「大学選手権が終わったらすぐに学生日本代表を結成して、社会人と試合をさせる手もあるよね。大学のクラブとしては、学校の試験期間に練習させることはできないけれど、コンバインド・チームだったら、そこに参加するもしないも個人の問題だからね」

この言葉は、多くの大学に散らばる有能な素材にレベルの高い経験を積ませるという難しいテーマを解決する糸口になるのではないか。

大学選手権が始まると、下位チームの選手は試合がなくなる。所謂「オフ」に入るのだが、上位チームの選手がより質の高い経験を積み、力をつける時期に休んでいたのでは、チームとしても個人としても差は開くばかりだ。7人制におけるプレートやボウルなど、下部トーナメントのような大会を実施するのも一つの方法だが、チームのモチベーションが上がるかどうかは疑問だ。

だがコンバインド・チームであれば、どこのチームに所属する選手でも個人の資格で参加できる。それも「学生日本代表」という完成型のみを作るのではなく、そのセレクション段階からチームを結成して試合を行なえば、有能な選手に多くの試合機会を提供できるのではないか。早いチームがオフに入る12月からその試合をスタートさせれば、下位チームの選手も劣っていた経験の質を少しでも解消できる。

問題は大学生に限ったことではない。

関東協会は昨季(2000年)から、東日本社会人リーグの入れ替え戦を6チームによるリーグ戦(チャレンジリーグ)に拡充し、1月いっぱいまで試合を組んでいる。全国社会人大会に進めなかったチームにも試合の機会を増やそうという試みは高く評価されていい。

だが、チャレンジリーグに進めなかった関東社会人1部のチーム(00年度でいえば東京ガス、清水建設、横河、栗田工業など)の選手が、早々とオフに入っているのも事実であり、これらのチームには日本代表のLO阿久根潤(慶大→東京ガス24歳)を筆頭に、SO高橋修明(筑波大→清水建設26歳)、FL荒川治(相模台工→横河27歳)。SH岡本考司(法大→栗田工業24歳)ら、質の高い試合経験を積めば日本代表も狙える若手・中堅の有望選手が多散在籍しているのだ。

彼らに対し、スーパー12の補強システムのように試合を経験させる方法はないだろうか。そこに、大学の下位チームに散らばる有能な素材をからめて試合経験を積ませることはできないだろうか。

 

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