1月18日、関西ラグビー協会主催で「天理大学ラグビー部祝勝対談」がオンラインで行われた。天理大学、小松節夫監督、松岡大和主将、シオサイア・フィフィタ副将の3人が喜びの気持ちを改めて伝えた。
2021/01/18
文●編集部
「一旦、悔しさがなくなった後、チャレンジャーとしてどう挑戦するか」天理大・小松節夫監督

このたびは応援していただいてありがとうございます。長年勝てていなかったですが36年ぶりということで、関西のチームが優勝することができ嬉しく思います。これを機にまた関西全体が盛り上がって、後に続くチームが出てくれたなと思います。お互いに切磋琢磨して関西ラグビーリーグが盛り上がっていければいいなと思います。応援いただきありがとうございました。
――松岡主将、フィフィタ副将の印象は?
松岡は試合中、試合後のインタビュー、そのままの人間です。彼がいないとスクラム練習の元気なくなるくらいで、いつも声を出して、みんなを鼓舞する。自分自身が先頭立って、決勝戦は満身創痍だったが、まさに松岡だなと思います。みんなをひっぱってくれた。
フィフィタは攻守の中心で大黒柱という感じで活躍してくれた。サンウルブズに行って、世界を知って プレーも人間の幅も広がった。練習態度も真面目になりました。模範となってチームを引っ張ってくれた。いつも彼がトライをして喜んでいた姿をご覧になっていたと思いますが、決勝はトライゼロだったのはチームのひとつ象徴。彼が起点となってパスをつないで、そういうところにチームの形が決勝に出たのかな。私自身、この2人に感謝しています。
(前日のジャージー渡しのときの)約束通り、フィフィタは優勝カップをずっと抱いていて離さなかった。天理まで持って帰った。(サンウルブズから戻ってきて)オフの日でも走っていたり、グラウンド練習の日じゃない日も走っていた。体を絞って体脂肪が減って体にキレが出てきた。周りの選手にもいい影響があった。

――来季は標的にされる立場となりました。
怖いですね。やっぱり、あの明治さん、早稲田大さんが関西の天理を意識して(やることになる)。去年、一昨年は明治、早稲田に負けた悔しさがベースにあった。今後は向こうが打倒・天理とか思うかわからないですが、目標にしてくる(と思います)。今の時点で、いったん悔しさがなくなってしまったわけで、今後、どういうアプローチをして、次、挑戦するか。チャレンジャーとしてどう挑戦するか、頑張らないと。勝ったので余計にハードル上がってしまったと思います。
――今年のチームは強かったとお感じでしょうか?
もちろん(今年のチームは)強かったが、1年生の頃からずっと悔しい思いして、経験を積んできた4年生が多かったことが本当に大きかった。
東京に1回行ってパッと勝つこと難しい。アウェイの雰囲気とか分析力の高さとか、ひとつひとつ体感して、それに負けないにはどうすれば……という繰り返しで、3回修正して、4回目の今年、挑戦できた。

関西のチームは、東京に年に1回、ポッと行っていては勝てない。関東と関西の交流をいかに増やしていくか、我々を通してもいいですが、もっともっと関東と試合をして痛い目にあって経験していけばもっと関東に近づいていける。
関東は関東同士でレベルの高いところで戦って、同じことをもう一度、大学選手権でできる。関西同士が大学選手権準決勝で対戦することはあまり過去になかったと思います。関東と何回も交流する。一回ポッといってなかなか勝つことは難しい。

立川理道(クボタ)が主将を務めた2011年大学選手権決勝(対帝京大戦)
――コーチ3年、監督25年、苦節28年目の優勝でした
28年、日本一を目指していたかというかBに上がって、Aに上がって復活するという、そこでの10年間があった。いろいろ考えると、ずっと同じことをしていた。Aリーグに上がるのに10年くらいかかりました。Aに上がってまた優勝するのに10年、そこから2011年に準優勝して、この10年間優勝を目指していた。トータルで28年ですが、目標は常に目の前にあったので、同じこと10年前も20年前もやっていたなと、そんな感じでした。
――立川兄がキャプテン時代から変わっていった?
(立川)直道と言いますが、彼がキャプテンのときにいろいろ改革してくれました。食事、練習を全部、率先して、学生中心にやってくれた。それまでは僕が思っていたことをやらせていたというのはおかしいですが、その頃から学生が勝つために工夫をしてくれた。その1期生が立川直道(キャプテンの代で)で、35年ぶりに関西で優勝して、弟の(立川)理道の代で全国準優勝した。その頃から目標が日本一になった。

岡田スクラムコーチ
――指導者として意識していることは?
そんな特にないですけど、ただ4年間、天理大学でやって、実績ないような子も多いが、天理大で頑張れば強いチームに勝てると願って期待して入って来る子が多い。その子たちの期待に応えられるチームでいないといけない。それを見て、体は小さいが天理大で挑戦したいと思って来る子もいると思うのですが、170人いますからレギュラーになれるかなれないかは別として、4年間、天理大に来て良かったと思えるクラブでありたい。
――コーチ陣は天理大学出身ではないが、天理に関係している人が多い。
天理出身の人がいろんなところのラグビーを吸収して帰ってくる。幼稚園からみんな天理でラグビーをやって街全体がラグビーが盛んな街ですから。中学、高校も日本一になっている。大学だけ日本一になっていなかった。一番兄貴ですが肩身の狭い思いをしていましたが、(今回、優勝して)並ぶことができたという気がしています。
「今年はいいチームだな。これで負けたらもったいない」松岡大和主将

日頃より熱い応援、いつもありがとうございます。この1年、コロナの影響でたくさんの人に迷惑をかけましたが、たくさんの方々に応援メッセージや動画をいただいたおかげで、前を見続けることができ、それが原動力となり、乗り越えられて素晴らしい環境でラグビーできたことを感謝しております。
今まで悔しい思いをした先輩たちの思いも背負って、今回は日本一を目指そうという中で、本当にみなさんのサポートのおかげで日本一を成し遂げられ、日本一という恩返しができ部員一同、嬉しく思います。後輩たちが2連覇という目標を目指していくので、これからも応援のほどよろしくお願いします。
――小松監督の印象は
いつ何時でも、めちゃめちゃクールで、それこそ大きな声で怒られたことがない。結構自由な人のイメージが強いが選手ひとりひとりのこと細かく見てくれています。自由な人のイメージです。
――決勝は足を負傷していましたが、大丈夫だったのでしょうか?
みんなが、周りが頑張っていたので、ここでへこたれている場合ではないと気合いでやっていました。痛かったですが、そういうこと言っている場合ではなかった。
(決勝戦前は)少なからず緊張していたが、こんな素晴らしいところでラグビーできる、楽しみ、ワクワクの方が大きかった。いい感じで新国立で迎えられた。

――昔、フィフィタ選手はあまり態度が良くなかったのでしょうか?
寮でも練習でもフィフィタ、大暴れしていました(苦笑)
――関西と関東のチームの差は?
プレーに関しては関西より関東の方がブレイクダウンの速さとか、あと関東のチームは体大きいのでコンタクトが全然違ってくる。より一層、どうしていくか、いい準備をしていくかに対して、関西リーグよりも大学選手権では意識してやっていた。

――優勝できる自信はあった?
僕自身は1年から出ている選手がたくさんいて今年はいいチームだな、負けたらもったいないなと思っていた。優勝できる確信はなかったが、一試合一試合大事にして試合ごとにレベルアップして、フォーカスして、勝ちに行くマインドの方が強かった。
――今後の目標は?
とりあえず目標だった日本一を達成できたので次のステージにむけて、ひたむきにハードワークして頑張ってまずは試合に出て、日本代表になって桜のジャージー背負って(が目標です)。それに向けて頑張っていきたい。

――ラグビーをしている子どもたちに向けてメッセージ
現在 コロナの影響でスポーツしているみなさんはつらい日々を過ごしていると思いますが、コロナに負けず、自分たちも関西を盛り上げるために頑張っています。ともに乗り越えて頑張っていきましょう!
――最後にメッセージをお願いします。
この1年、イレギュラーな年で、たくさんのことがあって、みなさんのサポートがあってここまでこられました。みなさんに日本一という恩返しができて僕らも嬉しい。自分たちが優勝したことで、関西のラグビーも盛り上がると思いますので、関西への熱い応援のほどよろしくお願いします。
「ジャージーを渡された時、自分が一番泣いていた」 CTBシオサイア・フィフィタ副将

2年前の決勝で、僕のノックオンで負けてしまって、全員、その悔しさが今まで残っていたので、しっかり今年は絶対勝つという思いが強かったです。それでみんなのサポートのおかげで優勝できましたので、心から感謝しています。
――小松監督の印象は
すごく優しいです。
――部員は登録175名いました。気をつけていたことは?
部員が多い中で、(松岡)大和とかリーダー陣がいましたが、175名をどうやったらひとつにまとめるのか、すごく難しいので、大和、僕だけでなくリーダー陣で毎日毎日、毎週毎週、いろんなミーティングしたりした。気になっていることがあれば、小松監督に話をしたりした。
大和は何回もストレス、パニックになったときもあったんですが、みんなが助けあって、決勝までチームがひとつになれた。スローガンが 一手一つなので、ひとつにならないと優勝できないと思っていたので、決勝が終わってひとつになったなと思いました。

――サンウルブズに言って、行くときとパスの使い分けができるようになったと思います。
勝つために一番、(それが)必要だなと思っていました。去年、一昨年の試合を振り返ると自分が行く場面多かった。外にスペースあるのに当たっていた。そういうシーンを見てすごく勉強になった。あとはトップリーグの人とかに、大学選手権前にアドバイスされたりした。
世界で戦うために、まずは決勝戦に向けて、僕自身もそうですが、チームがいい準備してきて、練習を見ていて、勝ちたいんやろなとずっと思っていた。試合前のジャージー渡しのとき、僕が一番泣いていた。明日は絶対優勝カップ持ち帰るとスピーチでも言った。ラストの大学生活、試合で周りを上手く使うのを意識していた。自分でいける時いくんですが、(決勝は)トライ取っていなかったで、自分の中でショックだったんですが、周りを上手く使えたなと思っていました。
――低学年の頃は態度は良くなかった?
しんどいことが嫌いだった。プロップが前を走っていたが、自分が後ろ走っていた。一番後ろだった。

――関東と関西の差は?
大学選手権入ってから一番気づいたのが、スピードのはやさ。ボール出すのもスピードもはやいのでびっくりしましたね。
――後輩に向けて
4回生はこれで終わり。今の1~3回生は残っていますが、弱いと結構、言われているが、僕の中ではやれば優勝できる。しんどいことやって、みんながまとまって戦えば、それがそろったら絶対、優勝できると思っているので頑張ってほしい。
――今後の目標は?
僕も今年の目標である日本一達成できたので、次は上のステージでやるのを楽しみにしている。次の目標は桜のジャージー(を着ること)。(松岡)大和、(SH藤原)忍、(SO松永)拓朗とかとまた一緒に、桜のジャージーを背負って一緒に戦いたい。新しい目標に向かって頑張りたい。

――ラグビーをしている子どもたちに向けてメッセージを
ラグビーというスポーツをしっかり楽しんで、また僕も頑張りますのでみんなも頑張ってください。応援しています。