全国U18女子セブンズ マッチレポート&フォトレポート | ラグビージャパン365

全国U18女子セブンズ マッチレポート&フォトレポート

2022/10/25

文●大友信彦


10月22-23日。熊谷ラグビー場(Bグラウンド)にて、第5回U18女子セブンズが行われた。

大会には全国から単独チーム・合同チームあわせて12チームが参加。
DAY1は4組に分かれてプール戦を行った。

【プールA】

佐賀工 56-0 北海道選抜
佐賀工 28-7 京都成章
京都成章 37-0 北海道選抜

①佐賀工 ②京都成章 ③北海道選抜


【プールB】

追手門学院 29-12 新潟県選抜
関東学院六浦 26-0 追手門学院
関東学院六浦 37-7 新潟県選抜

①関東学院六浦 ②追手門学院 ③新潟県選抜


【プールC】

石見智翠館 32-5 鳴門渦潮
石見智翠館 26-5 福岡レディース
福岡レディース 19-10鳴門渦潮

①石見智翠館 ②福岡レディース ③鳴門渦潮

【プールD】

麗澤 34-0 東北選抜
パールズ 22-7 麗澤
パールズ 57-0 東北選抜
①パールズ ②麗澤 ③東北選抜

近年、女子ラグビーに力を入れる高校が増えてきたことにより、強豪校が分散化。それによりこの大会でもDAY1の各プールに予想のつかない組み合わせが現れている。

大会の台風の目になるかと目されたのが、夏のオッペンカップで準優勝、今大会の関東予選では関東学院六浦を破り関東1位で大会に臨んだ麗澤だったが、プールD2戦目のパールズに7-22で苦杯。パールズは⑦勝島朱夏里が3トライをあげ、DFからの切り返しも冴え、麗澤に強みを出させず完勝した。

その麗澤に敗れ、関東2位となったのが昨年優勝かつオッペン優勝の関東学院六浦。同じB組には5月のサニックスワールドユース優勝の追手門学院が入り、いきなり優勝候補同士の激突となったが、関東学院六浦は島本星凜と小川愛夢が2トライずつをあげるキレキレの走りを見せ、守っては追手門を完封。

C組では3年ぶりの優勝を目指す石見智翠館が福岡レディースと同組になったが、この実力者対決に26-5で勝利。そしてA組では、その福岡レディースを九州予選で破った佐賀工が、2季前のこの大会を制した京都成章と同組になり、28-7で完勝した。

この結果、優勝を争うカップトーナメントには佐賀工と関東学院六浦、石見智翠館とパールズが進出。プレート(5-8位戦)は京都成章、追手門学院、福岡レディース、麗澤が、ボウル(9-12位戦)は北海道選抜、新潟県選抜、鳴門渦潮、東北選抜で争われることになった。


カップ戦 準決勝1 石見智翠館 19-5 パールズ

試合はキックオフを蹴った智翠館がそのままボールをキープすると、ラックを連取して攻撃を継続。一度もポゼッションを手渡さずに70秒間攻め続け、最後は③大橋聖香が右中間に飛び込み先制トライ。

対するパールズは4分、相手キックオフがノット10となりセンターFKからアタック。リズミカルにボールをつないで智翠館ゴールに迫るが、あと10mまで攻め込んだところで惜しくも落球。それでもパールズはこのスクラムから攻撃した智翠館に対してディフェンスでプレッシャーをかけ、PKを獲得。すぐに速攻をかけたがゴール前5mで落球し、さらに反則。

すでに7分は経過していたが、智翠館は自陣ゴール前10mのPKからサインプレー。後方から走り込んだWTB⑦宮本和が鮮やかにブレイクし、そのまま90mを独走する衝撃的なトライ。12-0として折り返す。

後半、先に点を取りたいパールズだったが、智翠館は自陣22m付近で粘り強いディフェンスで相手アタックを止めてPKを得ると速攻、すぐにサポートが湧き出て、ハーフウェー付近でパスを受けた⑫城下天李が約50mを走りきってトライ。19-0とリードを広げる。
パールズはさらに反撃を試みるが、智翠館の連携の取れたディフェンスはなかなか崩れない。

パールズが一矢報いたのはロスタイムの8分、相手ゴール前右中間でPKを得ると、②野澤友那が意表を突いてインゴール左サイドへキックパス。左で待っていたWTB⑦勝島朱夏里がワンバウンドで押さえ、初得点をあげた。

試合はここでタイムアップ。石見智翠館が19-5で勝ち、麗澤を破った昨季に続いて準決勝を突破。決勝進出を決めた。
※パールズのトライ得点者を⑨高橋→⑦勝島に訂正しました。
※石見智翠館は昨季も準決勝を突破して決勝に進んでいました。訂正しました。

カップ戦 準決勝2 佐賀工 19-5 関東学院六浦(KGM)

試合開始のキックオフはKGMが蹴ったが、佐賀は長身173cmの①町田美陽がタップしてキープすると、すぐにアタック。⑦松尾汐里がショートサイドを突いて敵陣22m線まで侵入するが、ここは関東六浦のサクラセブンズ⑫松村美咲が戻って落球させる。関東六浦はそのスクラムから⑦小川愛夢の突破を起点に佐賀ゴール前まで攻め込むが、反則でチャンスを活かせない。


スコアボードが動いたのは5分だ。佐賀は自陣のスクラムからアタックを継続し、相手ゴール前のラックから中央突破した⑦松尾汐里がインゴールに飛び込みトライ。DAY1は2試合12コンバージョンすべて成功のパーフェクトキックを披露した⑤谷山三菜子がこのコンバージョンも決め7点を先制する。


佐賀は直後のキックオフからも相手が捕球したボールを町田が強奪し、谷山のキックを追った⑫松川美麗がトライ。谷山のコンバージョンは外れるが、佐賀が12-0とリードして折り返した。

後半もキックオフから佐賀が敵陣ステイに成功し、2分にラインアウトモールから町田がトライ。左中間の難しいゴールを谷山が決め19-0。
流れを掴みたい関東六浦は4分、佐賀のアタックにプレッシャーをかけてPKを奪うと速攻、さらにゴール前でPKを得て速攻に出た②島本星凛がトライ。
その後も関東六浦は佐賀陣に攻め込んでボールをつなぐが、あと1本のパスが繋がらず5-19のままタイムアップ。連覇を狙った関東六浦は準決勝で敗退。佐賀工が初の決勝に進んだ。

カップ戦 決勝 石見智翠館v佐賀工


そして迎えた決勝。キックオフを蹴った智翠館は、レシーブからアタックに出た佐賀工に激しくプレッシャーをかけ、相手陣22m線右中間でPKを獲得。ここから智翠館はムーブで相手DFを撹乱すると左に展開し、エース⑦宮本和が鮮やかにトライ。智翠館が5点を先制する。


佐賀工もすぐに反撃。智翠館のキックオフがノット10となり、FKからアタックに出るとさらにPKを獲得。早速⑤谷山のタッチキックで相手ゴール前に攻め込む。①町田の高いリフトを持つラインアウトは佐賀工の武器だけに絶好のチャンス。しかしこのラインアウトを智翠館②大西乃々がタイミングの良いジャンプで値千金のスチール。自陣ゴール前でボールを得た智翠館はここから思い切ってアタック。11人がボールをつなぎ、④下村真穂-①冨岡日和主将のビッグゲインから、最後は②大西乃々が相手タックルをかわしながらインゴールへ。自陣ゴール前のピンチでボールを奪い、そこから一気のカウンターで取り切ったスリリングなトライで智翠館は主導権を握った。④下村のコンバージョンも決まり12-0。


佐賀工はその後も自陣でアタックを継続してチャンスを探るが、智翠館は粘り強くプレッシャーをかけ続け、7分、PKからボールをつないで③大橋聖香がトライ。④下村のコンバージョンも決まり、智翠館が19-0とリードを広げる。

それでも佐賀工はハーフタイム前ラストのアタックでボールを継続。左サイドに攻め込んだラックから⑤谷山-⑧森瑞葵-谷山のループから右隅でボールを受けた①町田が豪快に駆け抜けて右中間にトライ。難しいコンバージョンを谷山が決め、7-19と追い上げて折り返す。


後半は追う佐賀工が相手陣深くに侵入。スクラム、ラインアウトのチャンスを何度も作るが、智翠館はプレッシャーをかけ続け、最終ライン突破を許さない。173㎝の①町田、168cmの⑧森ら佐賀工の大型選手のアタックに対し、智翠館はしぶとくタックルを浴びせ、集団でからみ、モールでアンプレアブルにするなどしのぎ続ける。佐賀工がゴールをこじあけたのは後半5分52秒、ゴール前PKから⑧森が突進し、このラックから⑤谷山は左サイドにパス。⑫松川が左中間へ飛び込んだ。残り1分で7点差、ゴールも入れば5点差になるが…。


しかしこのプレーで佐賀工⑧森がインゴールjavascript:void(0)で負傷。慎重に担架で運び出すため、ゲームは2分ほど中断してしまった。この微妙な空白の時間が、勢いに乗って畳み掛けたい佐賀工には不運だったかもしれない。待たされたコンバージョンを谷山は外してしまい、すぐに戻って蹴ったキックオフは味方に合わなかった。対する智翠館はキックオフを捕球すると、冷静に2フェイズを重ね、時間を費やしてタッチへ。池田韻レフリーはここでフルタイムのホイッスル。19-12で石見智翠館が勝利した。



智翠館で光ったのは準決勝、決勝というファイナルラウンドを戦う上での冷静さだった。
磯谷竜也監督と冨岡日和主将は「国体のとき、ふるさと選手で参加してくれた先輩から、試合中の声の大切さをすごく言われて、それから2週間の練習でチームが変わりました」と言った。
決勝進出は3大会ぶりながら、先輩たちから後輩たちへ、檜舞台での経験値を継承する力が最後はモノを言ったようだ。

佐賀工は、昨年のこの大会では準決勝で関東学院六浦に12-19で敗退。今夏のオッペンカップと国体では、ともに得失点差で上位トーナメント進出を逃していたが、今大会では決勝まで進み、奇しくも昨季の準決勝と同じスコアで敗退。これも来季以降への伏線となって引き継がれ、次の名勝負を呼ぶのかもしれない。

石見智翠館 磯谷達也監督

石見智翠館・磯谷監督の胴上げ.

石見智翠館・磯谷監督の胴上げ.


「やっと勝てました。ここまで長かった。この代は1、2年と優勝を経験していなくて、春のサニックスワールドユースでは1勝もできず、夏のコベルコも最後に逆転負け、オッペンも勝てなかった。その中でも我慢して、チームを信じてくれて、最後は良いチームになったと思う。

うちは他校に比べて有名な選手は入ってこないけれど、その分は組織力で、全員でセットプレーを取って、ディフェンスして、1対1よりもチーム力で勝とうと言い続けた。ずっと言い続けてきたことがようやく実りました。
大きかったのは国体です。チームは優勝できませんでしたが、卒業生たちがふるさと選手として帰ってきてくれて、一緒に戦う中で声を出すこと、コミュニケーションの大切さを教えてくれた。国体のあと、ここまでの2週間でチームはすごく成長しました。先輩たちに感謝しています」

石見智翠館 冨岡日和主将


「まだ実感が湧きません。4月末の大会も7月末の大会も勝てなくて、ケガ人も増えて、しんどいときもあったけど、全員で乗り越えてやってきてよかったなというのが一番です。ケガした子も「リハビリ頑張るからみんなも頑張ってね」と言ってくれて、自分たちが(気持ちで)落ちてたらどうする? という思いで、出られない子の分もしっかり戦おう、という気持ちが大きくなりました。


優勝の表彰を受ける石見智翠館・冨岡日和主将

優勝の表彰を受ける石見智翠館・冨岡日和主将


智翠館は人数が多いので、出られない人たちのために、という思いは強い。決勝の前の円陣で『見たことのない景色を見に行きましょう』と話したら、みんなが『はい』じゃなく『行きましょう!』『見せてやるよ!』と口々に言ってきて、すごくやる気を感じました。(胴上げされた気分は)サイコーでした。3歳からラグビーをしてきて初めての優勝。こういう景色だったんですね!」


MVP 石見智翠館 宮本和選手

MVPの表彰を受けた石見智翠館・宮本和

MVPの表彰を受けた石見智翠館・宮本和


「(MVPに名前が呼ばれたときは)びっくりというか、MVPがあることも知らなかったので、誰だろう?とも思わないでいたので、嬉しかったです。普通に嬉しかった(笑)。
この大会は高校で最後の大会なので、絶対に楽しんでやろうと練習のときから自分で決めていました。磯谷先生からも『楽しめよ』と言われていて、みんないつも以上に楽しんで、笑顔になって、雰囲気があがった中で試合ができたと思います。


私たちは高校に入学したときがちょうどコロナ禍になったときで、寮生活が始まっても授業も練習もできない期間が続いたのですが、そういうときでもキャプテンが毎日グループLINEに『U18まであと×日だよ』とメッセージを送ってくれて、毎日気持ちが落ちずに過ごせました」

■カップ3位決定戦
関東学院六浦 33-0 パールズ

カップ3位決定戦・関東学院六浦-パールズ

カップ3位決定戦・関東学院六浦-パールズ



野澤友那

野澤友那



■プレート準決勝
追手門学院 10-5 京都成章

プレート準決勝・追手門学院-京都成章

プレート準決勝・追手門学院-京都成章



藤原郁 京都成章1年

藤原郁 京都成章1年




麗澤 29-10 福岡レディース

プレート準決勝・麗澤-福岡レディース

プレート準決勝・麗澤-福岡レディース





■プレート決勝
追手門学院 26-10麗澤

プレート決勝・追手門-麗澤

プレート決勝・追手門-麗澤



原田紗羽 麗澤3年

原田紗羽 麗澤3年




■プレート3位決定戦
福岡レディース 17-0 京都成章

プレート3位決定戦・福岡レディース-京都成章

プレート3位決定戦・福岡レディース-京都成章



長七菜美 福岡レディース(筑紫女学園3年)

長七菜美 福岡レディース(筑紫女学園3年)

■ボウル準決勝
新潟選抜 29-10 北海道選抜

ボウル準決勝・新潟選抜-北海道選抜

ボウル準決勝・新潟選抜-北海道選抜



白幡來未 北海道選抜(遠軽3年)

白幡來未 北海道選抜(遠軽3年)



鳴門渦潮 20-7 東北選抜

ボウル準決勝・鳴門渦潮-東北選抜

ボウル準決勝・鳴門渦潮-東北選抜



辻川綾音 鳴門渦潮2年

辻川綾音 鳴門渦潮2年




■ボウル決勝
新潟選抜 26-5 鳴門渦潮

ボウル決勝・新潟選抜-鳴門渦潮

ボウル決勝・新潟選抜-鳴門渦潮





■ボウル3位決定戦
東北選抜 33-5 北海道選抜

ボウル3位決定戦・東北選抜-北海道選抜

ボウル3位決定戦・東北選抜-北海道選抜





江尻栞那 東北選抜

江尻栞那 東北選抜



U18女子セブンズは2日間、2試合ずつ、計4試合を行う形式で行われる。セブンズの大会としては決して試合数が多い大会ではないが、それでも2日間、体力を保ち、集中力を維持し、アティテュードを保つことは決して簡単ではない。

優勝・石見智翠館

優勝・石見智翠館


そして、シーズンを通じて強さを保つことも簡単ではない。
4月のサニックスワールドユース交流大会では追手門学院が優勝し、準優勝はブレイブルーヴ。8月のオッペンカップでは関東学院六浦が優勝し、準優勝は麗澤。そして秋のU18は優勝が石見智翠館で、準優勝は佐賀工。

準優勝・佐賀工

準優勝・佐賀工



プレート優勝・追手門学院.

プレート優勝・追手門学院.



プレート3位・福岡レディース

プレート3位・福岡レディース


コロナ禍もあり、各大会の実施状況はイコールではなかったが、3つの全国大会、3つの決勝戦を6つのすべて異なるチームが戦ったことは象徴的だ。

ボウル優勝・新潟選抜

ボウル優勝・新潟選抜



ボウル優勝・新潟選抜の唯野主将(右)とBK小島

ボウル優勝・新潟選抜の唯野主将(右)とBK小島




下位のボウルトーナメントは一昨年の北信越選抜、昨年の開志国際(単独)に続き今季は新潟選抜、開志国際ジャージーが3連覇を飾った。ボウル3位決定戦では東北選抜が北海道選抜を破り、3年ぶりの勝利を手にした。なかなか上位進出を果たせない地方のチームも、着実にパフォーマンスレベルを上げていることは讃えたい。

ボウル3位・東北選抜

ボウル3位・東北選抜

パールズは関東予選で関東学院六浦を破り優勝候補の一角にあげられていた麗澤をプール戦初戦で撃破。初の4強進出を果たした。しかしDAY2は初戦で石見智翠館に、3位決定戦では関東学院六浦に大敗。2日間で4試合を戦うセブンズの難しさ、特に初日を順調に戦ったあとの2日目の難しさを学んだ2日間だったろう。
それでも、参加12チーム全体のレベルの向上は明らか。各トーナメントとも例年以上にレベルの高い、接戦の多い大会だった。
選手のみなさん、指導者のみなさん、チームを支える関係者とご家族のみなさんに、あらためて賛辞を贈りたい。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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