「6月の試合でチームに自信が育まれた。これまでの努力が報われた」ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが2018年6月キャンペーンを総括する | Rugby Japan 365

「6月の試合でチームに自信が育まれた。これまでの努力が報われた」ジェイミー・ジョセフヘッドコーチが2018年6月キャンペーンを総括する

2018/06/28

文●編集部


秩父宮ラグビー場で、ジェイミー・ジョセフラグビー日本代表ヘッドコーチが6月のテストマッチを総括する記者会見を開いた。日本強化を目的としたスーパーラグビー・サンウルブズのヘッドコーチも兼任。サンウルブズでは結果に恵まれない状況が続いたが、テストマッチでは2勝1敗と結果を残した。さらに2019年に向けた可能性を十分感じさせる成長をしたチームを率いた指揮官が会見で語ったことをたっぷりとお伝えする。

今回の6月のシリーズは、いいものになりました。特に、イタリアとの2戦で我々のラグビーのブランドというものを形にしてお見せできたと思います。選手たちは自信を持って(ゲームプランを)遂行してくれました。いくつかいいプレーの判断も見られました。スキルも最高レベルのもの発揮し、素晴らしいトライが生まれました。テストマッチとして素晴らしかった。

ジョージア戦で完封勝利できたことは、チームにとっては大きなハイライトです。少し調べたところ、世界のトップ20に入るチームを相手にしたテストマッチで、無失点で勝利したのは初めてではないかと聞いております。(※実際はウルグアイが19位だった)

こういうことを成し遂げたことはチームにとってこれまでとは大きな違いを示すことができました。チーム、アライメント、コミットメントがチームの中にできはじめていてワールドカップに向けてチームのキャラクターも確立し始めました。そういうことが見られたことは私としても嬉しい。

もう一つ加えて申し上げたいのは、チームの中での選手の関係性。18ヶ月間、リーダーチェンジを行い、チームのリーダーシップスキルの育成強化してきました。はじめは堀江(翔太)や立川(理道)がキャプテンを務めていました。今はリーチが務めています。ただ、彼一人でできたわけではないです。このシリーズでは流(大)の選手の役割が非常に大きく、サントリー、サンウルブズだけでなく、ジャパンでもリーチに対してサポートしてくれました。

加えて田中(史朗)選手は、個人としてこれまでのいろんな経験を持って、リーチやチームをサポートしてくれた。チームの中のリーダーシップについては、(今回のテストマッチ)勝利という結果とは別に特筆すべきところだと思います。

 

最後に、サンウルブズ、スーパーラグビーが我々に果たしている役割、教訓や学ぶべきことあったということを是非言いたい。数年前に来日したとき、前ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏が書いた、日本代表のレビューの書類を目にしました。エディーは「日本ラグビーのこれからの発展には、選手とコーチがもっとタフなコンペティション、ハイレベルなラグビーへアクセスすることができないといけない」と記してありました。その基礎、基盤を(ジャパンに)提供してくれているのが、今のサンウルブズだと思います。こういった強化はエディー氏が着手し、他のコーチに引き継がれて今に至っています。

ファンやメディアのみなさんは、サンウルブズの結果を求める、期待するということが大きいと思います。それ以外にもサンウルブズの存在はいろいろな面でナイーブな部分があります。日本のラグビーは、まだまだプレイヤーもスタッフもプロではなく アマチュアで、何かしらの会社に所属している形が多い。方や他のチームは20年以上ずっとプロでやってきている選手やコーチがいる。そういった環境でサンウルブズは戦っているのです。今季はまだ終わっていないですが、いろんなことがちょっとずつ機能し始めています。サンウルブズは今までの中でベストなシーズンを過ごしていると思います。


日本協会がスーパーラグビーに参戦することを決断したことで、選手やコーチに今後の歩むべき道が切り開かれたと感じています。


――今回のテストマッチでは成果が見られました。今後、ワールドカップに向けた準備を遂行するために選手を集めたり、時間を一緒に過ごすことが強化になると思われいます。今後どの程度選手にアクセスができ、そして集めることができるのか。またそうした準備は現在、順調なのか。


はい順調です。我々がやろうとしていることやワールドカップに向けた準備のためには、(おっしゃる通り)選手と一緒に時間を過ごし、ラグビーをすることが必要不可欠だと思います。選手のアクセスについても重要な部分だと思っています。

これまで私は意識的に、「アライメント」という言葉を使っています。そのアライメントが、少しずつ成し遂げられていると思います。ワールドカップでトップ8を目標としているが、それが達成するにはアライメントが重要で選手へのアクセスが十分に供給されることを意味します。

ここまで6ヶ月、サンウルブズ、まずコーチ陣がしっかりチームとして機能してきました。自分たちの犠牲も払って6ヶ月集中をしてきました。中々、そこまでコミットすることは難しいことだがワールドカップを見据えた時には必要だと思います。今回それができたことでテストマッチの結果が得られ、少しずつ報われきました。

昨年の11月にオーストラリアに負けましたが、11月の数週間、遠征を行ってやトンガ フランス――言うまでもなく勝つべきだったが、ああいう戦いができたのは、一緒に過ごしてなし得たことです。今でも、あれが私の中ではチームにとってはハイライトになる出来事、期間だったと思います。


その反面、選手たちにレストを与えないといけない。来年のワールドカップでパフォーマンスをピークにもっていくためには、バランス、選手のウェルフェア(精神的なゆとり)に目を向けていかないといけない。今、選手たちはラグビーをもっとする機会を与えられているがその分、少しラグビー離れたり、家族と過ごす時間が必要です。現状、一つの大会が終わったら、次のチームでその大会に参加しないといけないそういう環境であるところは少し気になっているところです。


――サンウルブズでは「ソフトモーメントがあった」という指摘をされていました。今回ジャパンは6月の3試合でそうした部分はどうだったか。また、11月テスト、ワールドカップに向け改善すべき点はどこにあるとお考えですか?


ソフトモーメントは、メンタル的な問題。選手たちの集中が欠ける時間帯があるということです。何が、という特定なものを指しているわけではないですが、(試合の)大事な時間で集中していない状況があった。それは必ずあるわけではないです。サンウルブズではシーズン、たくさん試合があったこともあってソフトモーメントで (失点して)クロスゲームを落としていました。

サンウルブズと日本代表の6月テストマッチは全く性質が異なるものです。それ故に 選手たちのマインドもサンウルブズとテストマッチでは全く違うのです。確かにソフトモーメントと呼ぶべき時間はありましたが、それはラグビーの性質上、どこに必ずあります。しかし、6月は選手たちが成長していったことで、イタリアとの初戦は 全般的にいい戦いしてくれたのであまり言うことはありません。

2戦目はイタリア代表が修正をして、全く違うチームになりました。気持ちの面でもフィジカルの面でも。それに対して日本代表も(後半)しっかり修正して立ち向かった部分は選手のマインド試された試合でした。

今後強い相手と2戦ありますし、そしてワールドカップ本番ではアイルランド、スコットランドのようなチームと対峙するときには、ソフトモーメントをなくしていかないといけない。


――秋に向けて課題と選手のセレクションについて今後も新しい選手を選ぶつもりあるのか


(敗れた)イタリアの2戦目は学ぶことが非常に多かった。(そこで上がった課題に)向けて、今後やっていくことあります。特に、我々はこの試合に限らずフィジカリティーを常にターゲットとしています。他のチームより体は大きくない。昔からフィジカルサイドではない部分でどう戦うか、学ぶところがあった。イタリアは2戦目にフィジカルで我々にプレッシャーかけてきました。そのプレッシャーに対して、どう相対していくのか。

2戦目が終わったあと1週間で、いろいろ修正し、もう一度組み立て直すことができて迎えたジョージア戦だったと思います。ジョージアはいわずと知れたフィジカルチームです。スクラムやモールディフェンスなどで、我々がどうベストな戦いができるか1週間いろいろやれました。今のポテンシャルで、どれだけフィジカルになれるか フィジカルの中でどんなスキルを発揮できるのか、今後も秋に向けてやっていきたいことがやれましたそして学びになりました。だから2戦目はポジティブです。

セレクションについては、トップリーグに目を向けています。トップリーグだけで戦っている選手についてはトップリーグの1試合ではその選手の裏側にあるものなど、ゲームタイムが十分ないと見極めが難しい。

サントリーやパナソニック、東芝だったりレギュラーとしてやっている人とそうでない人がいます。これからも変わらず見ていきます。誰かいればセレクションしたい。


――1年前、「10人以上固定して、ワールドカップに連れて行く選手はほぼ決めている」と海外メディアに言われていました。もっといい選手が出てきてほしいポジションはあるのか


概念的に理想としてチームはメンバーを固定して、チームの一貫性が、安定すればするほどパフォーマンスが上がると考えています。サンウルブズは、いろんなプレイヤーを試す場と捉え、いろいろメンバーを替えています。しかしながら、代表チームは そのフィロソフィーが一貫したチームとして強化していきたい。

もう一つは、今回の3戦はテストマッチなので、代表チームのジャージーに対するリスペクトは必ず持っておかないといけない。ジャージーを渡すことは特別なものなので、確固たるスタンダードが存在しないといけないし、渡されるプレイヤーは、それに値するパフォーマンスをしないといけない。そうすると自ずとセレクションは一貫性にあうものになってくると思います。


また、ポジション問わず、今回も小さなケガやHIAで交代を余儀なくされる場面など見受けられたと思います。松島(幸太朗)や(ヘル)ウヴェなどがそうでした。そういったときに、補える選手は常に探して、準備しておくことが私の仕事の一つだと思います。そういう状況に直面したとき選手層に不安定さがあるとチーム全体のプレッシャーになってしまいます。

きちんとクリアされた状態だとプレッシャーが軽減されると思うので、もっともっと 作りこんでいくのは私の仕事の一つとしてあると思っています。


――スーパーラグビーの効果は具体的にどういう効果か。2020年までは参戦することが決まっていますが、JRFU(日本ラグビー協会)がスーパーラグビーから手を引くことも検討しているということに対してどう感じますか?


前提としてスーパーラグビーのヘッドコーチとして感じていたことは日本代表とまったく役割違うということでした。代表選手はもちろんサンウルブズの中にも数人いるが、それ以外に23人くらいの大多数が外国人です。南アフリカ、トンガ、オーストラリア人もいる。さらに遠征して試合をしないといけない。

ヘッドコーチとして、全員をコーディネーションして代表とは違ったアライメントを作ることを求められた中でやってきました。日本代表にどんないい効果を挙げたか を一つ簡単に挙げるのは難しいです。

中でも思い当たる部分は、フィジカルの安定性・一貫性という部分。相手に対するものですが、それはトレーニングとか準備とか、休みをとらないといけないなど、サンウルブズの過密なスケジュールの中で培われたと思います。

我々の選手たちは、トップリーグが終わって、少し休んで、すぐに集合し3〜4週の合宿してハリケーンズ、ハイランダーズ、クルセイダーズ、ワラターズと戦って、しかも勝利を求められる。やっぱりそれはフェアじゃないとどうしても思う部分があるんです。

その中でも、コーチングに段々一貫性が出てきた。選手のパフォーマンスも一貫性が見られるようになってきました。これは一つの収穫だったと思います。


スーパーラグビーへの加入継続に関してですが私自身は100%、これからもスーパーラグビー参戦することで得られるパスウェイ(育成強化する道のり)を求めていくべきだと思う。これからも日本ラグビーが国際舞台で十分やっていきたい。競いあっていきたいならば。もし私が今後も日本ラグビーに関わりコーチングするのであれば そういった状況をもとめていきたい。

そういったチームのコーチとしてみなさんのメディアと合い向かって、「なぜ勝てない?」問われた時に「アマチュアな環境だから」とは決して言いたくないのです。
よりタフなコンペティションを求めていくなかで自分たちが競争力を育んでいる方が好ましい。


――日本代表との兼任を決断し、サンウルブズでは中々結果が出ず懐疑的な見方もありました。その中でテストマッチを2勝1敗で終えて、今の感情は?安心したという感情はありますか?


安心したという感情も言えると思います。一つは自分がやっていること、チームがやっていることに自信をもってやるのがヘッドコーチとしてあるべき姿だと思います。自分がやっていることに自信を持つ。そして正しいとおもったら、あとはそれを進めるだけ。選手たち、そしてチームはそこから勝利をもぎとっていかないといけないのですが、サンウルブズは長い戦いの中で、どんなに一生懸命やってもうまくいかないこともあれば、予期せぬケガにおそわれることもあります。また、長いシーズンなので体調こわすことも、ミスもすることもあります。なかなか上手くいかなかいことも続いていく状況が往々にしてあります。

その中でもチーム、選手がパフォーマンスに自信を培えるかということだと思います。 自分たちのパフォーマンスに対して自信が持てなくなるとチームも自信なくなってしまいます。今回テストマッチでは、自信が育まれました。ジャパンでもサンウルブズでも勝利につながる自信を培かってあげるのが私の仕事だと覆います。

サンウルブズの結果につながらなかったが、6月は上手くいきました。選手たちに対して非常にハッピーな感情を抱いています。サンウルブズも含めての努力、サンウルブズのコーチも選手も自分の時間を犠牲にして戦いにコミットしてくれた。それは、みんながワールドカップを見据えてやったことです。それが6月テストマッチで少しずつ報われた。そんな選手たちの顔を見て良かったなと思います


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