19日、ラグビー日本代表は「アサヒスーパードライ・パシフィック・ネーションズカップ2024」決勝、フィジー代表戦の試合登録メンバーを発表した。初キャップはWTB濱野隼大(コベルコ神戸スティーラーズ)がリザーブ入りした。それ以外のメンバーはサモア代表戦と同じ布陣となった。メンバー選考についてエディー・ジョーンズ日本代表HCは「現状一番強い15人を選んだ」と話した。今大会最も世界ランキングが上のフィジーとの戦いについて「我々から相手に挑みにいくことに尽きる」と試合への意気込みを語った。
フィジー代表戦試合登録メンバー
1 三浦 昌悟(トヨタヴェルブリッツ/13)
2 原田 衛(東芝ブレイブルーパス東京/6)
3 竹内 柊平(浦安D-Rocks/9)
4 エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ/1)
5 ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京/17)
6 ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京/9)
7 下川 甲嗣(東京サントリーサンゴリアス/9)
8 ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/11)
9 藤原 忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/5)
10 立川 理道 ◎(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/59)
11 マロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ/3)
12 ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ/3)
13 ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ/23)
14 長田 智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ/13)
15 李 承信(コベルコ神戸スティーラーズ/17)
16 松岡 賢太(コベルコ神戸スティーラーズ/1)
17 岡部 崇人(横浜キヤノンイーグルス/3)
18 為房 慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ/6)
19 アイザイア・マプスア(トヨタヴェルブリッツ/3)
20 ティエナン・コストリー(コベルコ神戸スティーラーズ/5)
21 小山 大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ/5)
22 梶村 祐介(横浜キヤノンイーグルス/3)
23 濱野 隼大(コベルコ神戸スティーラーズ/0)
日本代表 エディー・ジョーンズHC
フィジー代表戦に向けて、通常より1日短い準備期間だが、選手のエネルギー、情熱で補えたと思います。若手のチームですが楽しみな試合です。フィジー代表は、過去24ヶ月に急成長を遂げて、世界ランキング10位と非常に手強い相手です。カナダ代表、アメリカ代表、サモア代表に勝利しているので、良いチャレンジになると自覚しています。今週の試合のポイントは我々から相手に挑みにいくことに尽きると思います。非常に楽しみです。
――宮崎合宿での手応えは
気温も高く、湿度も高い。当日予想できるような天候で準備できたし、ボールが滑りやすい環境でも準備できた。フィジー代表は、セットプレー、ブレイクダウンといったコンテストが厳しいチームです。我々としてはフィジカリティーを見せていきたいし、インテンシティーを上げた試合をしたい。そういったところでも準備できているので非常に楽しみです。
――スクラムリーダーを務めるPR竹内柊平(浦安D-Rocks)について
竹内が担っているタイトヘッドはスクラムでとても重要なポジションで、フィジー代表はルースヘッドにとても強い選手が入るので、竹内が入る右側のスクラムはとても重要です。イングランド代表戦から、浦安ではあまりキャップ数は多くないが、毎週、毎週、ストレングスとフィットネスを上げてきている。チームにとっては大事な存在です。
――PNCでは積極的に若手を起用しています。10月から11月はベテラン選手を呼ぶ可能性もあると思いますが、今回は若手の最後のテストになる?
もちろん我々の目標は、27年W杯までにチームを構築していくことだが、リーチのような存在は非常に重要になってくる。と同時に若いチームにとって今回のようなビッグゲームの経験を積ませることは欠かせない。その中にあって、隣にいる立川が非常に豊富な経験値を持っていて、彼がキャプテンシーで非常に上手くまとめています。
若いチームなので、アップダウンの波は激しいところは否めない部分があるが、毎週、重ねてよくなっているところはあるので、今後とも継続して重ねていきたい。
――「我々から戦いに挑んでいく」とは具体的には?
我々がボールを持っている時には、どんどんアタックをしていく プレーを見せていきたい。フィジーはビッグヒットが好きで得意なチームなので、我々がアタックする時、相手のディフェンス(DF)ラインにプレッシャーをかけるようなプレーをしたい。
相手がボールを持っているときは、DFラインからどんどん上がって、ボールにプレッシャーかけて相手に仕掛けていくことを見せていきたい。フィジーはアタックが得意なチームだが、ジャパンの方が上手だということを見せていきたい。
――若手が成長を感じた瞬間は?
アメリカ代表戦での局面だが、試合の中で7点差になったとき、落ち着きを取り戻したながら、何とか立て直さないと、という場面があった。カナダ代表戦では点差はつめられることはなかったが、アメリカ代表戦は7点差まで詰められたが、次の10分で10点差まで突き放した。裏にキックを落とすというプレーを含めながら、自分たちが受けたプレッシャーを相手にかけてコントロールした局面が見えた。
サモア戦でも同じで、サモア代表は4週間前にイタリア代表に勝っていた格上の相手だが、フィジカル、スピードを持って良い試合運びをして自分たちのラグビーを一歩前に進めることができたと実感しています。フィジー代表戦でもフィジカル、スピードを持って我々のラグビーが通用するところを見せたい。
――サモア代表戦と先発メンバーは同じになりました。
今週はそれぞれのポジションでのライバル争いが激しいものでした。コーチ陣でも議論を重ねました。前回の試合でケガ人は髙橋(汰地)のみだったので、濱野(隼大)を入れた。現状、一番強い15人を組んでいるつもりです。ベンチから若手の選手が多く一番経験値があるのが為房(慶次朗)ということは変わらないが、現状、良いメンバーが組めているし、先週パフォーマンスが良かったので、さらなるパフォーマンスを期待しています。
――高本幹也(東京サントリーサンゴリアス)などいろいろな選手を追加しましたが、新しい選手を試合に起用しませんでした
若手の選手を招集して、我々と経験を積んで学ぶ良い機会になっていると思います。どれだけハードワークして準備しないかを経験する良いチャンスになっています。高本は、2回目の招集でしたが課題がどれだけあるかと同様に、どれだけポテンシャルがあるということがわかったので、今後もハードワークを続けてほしい。
10番に関しては、若い選手だと難しい面があると思います。状況判断をしないといけない。若い選手が立川や李といっしょにトレーニングを積むことで、今後の経験につながると思います。
――4試合連続トライの(ディラン・)ライリーとアタックを引っ張っているSH藤原(忍)の評価を
藤原はアタックが得意なハーフだと思うが、ディフェンスがよくできていたことを評価したい。サモア代表戦では相手の身体の大きな6番をチョップタックルで止めるといった良いディフェンスもできた。後半もケガをしたがプレーを続ける良い姿勢を見せた。
ディランは最初に合宿に来たときより、動きがシャープになったなと実感しています。ボールタッチも多くなって、とてもプレーに絡んでくるチャンスが多いので我々にとっても大事な存在です。
――初キャップのCTB/WTB濱野に期待していることは
濱野に関して、以前はリーグワンで1試合見ていた。秩父宮でのリコー戦で3~4トライあげていた。スピードとパワーのあるプレイヤーだと思っていたが、しばらくケガをしていたので招集していませんでした。
今回、髙橋がケガをしたので招集しました。スピードはまだまだ上げられると思うし、身体も強い。また謙虚で熱心な姿勢も評価しているので、今後、そして今週末の活躍に期待しています。
――好調な下川(甲嗣)選手の評価は?
ジョージア代表戦の週で、コーチ陣で下川は特に7番にフォーカスしてやらせようと決断しています。下川は運動量に長けたプレイヤーですし、7番にふさわしいスキルセットを持ったハードワーカーができる選手です。
これまでは、いろんなポジションをカバーして定まっていなかったが、7番やっていってほしいと決めたことで本人にとってもプラスになったなと感じています。フォーカスも定まったなと思いますし、チームとして大事な存在に成長してくれています。
日本代表 SO立川理道キャプテン
もちろん2027年という大きな目標に向かって進んでいるが、個人的にも今を大事にしないとその先はないと思っていますし、今の選手、今の環境で、全力でやることをやっていきながら得るものをしっかり得ていきたい。
――花園で、10番を背負います。
自分たちからしっかり仕掛けていきたい。テストマッチですし、追いかける立場だと難しくなってくるので、自分たちの準備してきた、やりたいことを最初からやっていきたい。花園でテストマッチを戦えることは、自分自身、関西出身なので嬉しいことですし、たくさんのファンが見に来てくれると思うので頑張っていきたい。
――60キャップ目を迎えます
キャップ数はあまり気にしていないですね。とにかく勝ちたいという気持ちが強いですね。キャップ重ねることは重要ですが、そこが目標ではないです。チームで勝つことが目標なので、そこはブレずにやっていきたい。
――キックパスもよく通ります。コミュニケーションがよくなっている?
グラウンド内でのコミュニケーションの量もそうですが、グラウンド外でもコミュニケーションが増えたし、誰かとカフェに行ったりなどコミュニケーションが取れてきてグラウンドでも良いプレーができるようになってきたかなと思います。
――スピアーズと日本代表でキャプテンシーは違うのか?
大きな違いはないですね。自分らしくやろうとしています。レベルの高い選手が多いのでリアクションが良いのでやりやすいですし、僕だけでなく、リーダーシップの持っている若い選手もいて引っ張ってくれる選手がたくさんいるので、役割を与えて自分らしくやっていけているのかなと思います。