エディー・ジョーンズHCが掲げる「超速ラグビー」とは日本代表強化プラン | ラグビージャパン365

エディー・ジョーンズHCが掲げる「超速ラグビー」とは日本代表強化プラン

2024/01/15

文●編集部


1月15日(月)、東京都内で今年からラグビー日本代表の指揮官に就任したエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)による日本代表強化プランに関するメディアブリーフィングが行われた。

ジョーンズHCはまずチーム・コンセプトに関して触れて、就任会見でも強調した「超速ラグビー」(核となる日本ラグビーのアイデンティティー)をあらためて強調した。その後、スライドを出しながら、①わかるようなプレースタイル(勢い=質量×速度)、②速度をどう向上させるか(トレーニング※)、③限界はない!(12位からどこまで上がれるか)を説明していった。


日本は12位だが、どれだけ私達ができるかはわからないですよね。できるだけ上に到達したい。でもギャップがあります。過去8年で日本代表はトップ10とのテストマッチでは7%しか勝ててない。トップ8のチームは60%勝っている。トップ4は75%くらい勝っている。まずジェイミー・ジョセフ、トニー・ブラウン、長谷川慎さんが日本代表にやってきたことを、やり続けて強くならないといけない。それを土台として進化しないといけない。また違うアプローチも図らないといけない。そのアプローチの話、全体像の話をさせていただきたい。

チーム・コンセプトは「超速ラグビー」です。日本のラグビーの核となるアイデンティティーです。南アフリカと対戦するときは必ずフィジカルで、30回キックを蹴ってきます。ニュージーランドと対戦するとき、もっともカウンターアタックが得意なチームです。そこで、もっとも速くプレーするのは日本代表というふうに変えていきたい。動きだけでなく、考えるスピードも上げていかないといけない。

リーグワンの試合で、リーグの中でベストな3人はFBチェスリン・コルビ(東京サンゴリアス)、SOリッチー・モウンガ(ブレイブルーパス東京)、NO8クワッガ・スミス(静岡ブルーレヴズ)で、その3人は日本人の身体付きに似ている。強度高く、スピーディーに動くことができ、はやく決断できる。一歩前に進んだ状態でプレーしていきたい。ラグビーの試合は平均30秒のボールインプレーがあり、プレーしていない時間が70秒です。今、(アメリカンフットボールのような)NFLのような試合になっていて小さい切り取ったプレーで、休憩が長い。反復できるかにかかっている。ボールインプレーの30秒の中でスピーディーに動いていきたい。

ラグビーの試合は勢いにかかっている。ニュートンの第2の法則は、勢い=質量×速度です。身体の大きさを変えることはできない。日本人の選手は(他と比べて)小さい。もっと大きくすることはできるけど、それでも(世界と)比較すると日本人の選手の身体は小さい方になる。変えられるところは速度です。より速く動くことが可能だと思います。速く動けるようにトレーニングしていきます。速度と質量を変えていきたい。


どうやって速度をどう向上させるか? 一人ひとりが速度を上げることをしていかないといけない。ダイナミックなアプローチを使ってトレーニングをしていきたい。オーソドックスなやり方ではない。身体が自然と学ぶことをトレーニングでやっていきたい。その部分において、2015年は上手くいったかなと思います。よりよいアプローチを使ってできると思います。

個々のスピードを上げる、トレーニングの方法を変えていく。プレーの時間は30秒なので、そのスピードで練習をやっていかないといけない。2015年に一番労力をかけてやったのはフィットネスだが、今のフィットネスはスピードを反復できるかどうか、です。だからフィジカルだけではなくで、生理的なものもありますし、身体がどう機能しているかもあるし、メンタルの部分も大きい。速く走るのには痛みを伴う。とくにスクラムから速く走るのは痛みが伴うが、その痛みが好きになって、それを超えてやるというメンタリティーが必要です。それをやるためにも具体的な、特定のトレーニングを重ねて達成できると思います。

世界一、高い姿勢から低い姿勢にいく動作が速いチームにならないといけない。同じスピードで走った場合、体重が重い方が勝つが、高い姿勢から低い姿勢になるスピードでコンタクトに勝つことができる。スピードで走り回るだけでなく、高い姿勢から低い姿勢になるスピードも必要です。



リーグワン、大学、高校の試合を見ると、高い姿勢から低い姿勢にいくスピードは、いわば忘れ去られている技術です。このエリアはHOデイン・コールズ(スピアーズ船橋・東京ベイ)が週末の試合で一番良かった。コンタクトした瞬間から、姿勢を戻すスピードが素晴らしかった。37歳ですが、どれだけ改善できるかを証明してくれている。

チームとしての決断の速さも改善していかないといけない。戦術も明確にしていかないといけない。試合によって変わってくるが、一つのゲームで明確にしていかないといけない。何をしないかと考えなくすればするほど、早く決断できるようになる。セレクションも一貫性をもたないといけない。そしてチームメイト同士がお互いのこともよく知らないといけない。

それ(セレクション)が私の仕事で一番、チャレンジングだと思います。2023W杯では日本代表が年齢的に、平均年齢の高いチームのひとつでした。いい若い選手を見つけて、改善できる、向上できるシニア選手を同時に維持しつつ、一貫性をもったチームを作り上げないといけない。

具体的な、特定のトレーニングをしていかないといけない。実際の試合でよく直面する場面に特化して、練習していく。お互いにどういう動きをするか、把握しながらやる。

最後になるが、最も重要なポイントは、人間は動物界でトップなのかというと、他の動物と違って目が違う。例えばゴリラ同士は、お互い何を考えているかわからない。白目がないからなんですね。白目があるので、世界の中で、いい決断をしている良い選手は目を通して動きを見て決断することができている。そのスキルはちゃんと上げていかないといけない。それを強化するための、いくつかアイデアがある。AIを通したトレーニングを導入する必要するかもしれないし、そのための迅速な方法が必要だ。頭を下げている選手があまりにも多いので、目でコミュニケーションを取れるようにする必要がある。目を通してコミュニケーションできるところにもっていかないといけない。


それが全部できれば限界はない! 日本の女子バスケットボールも12位から2位になった。サッカーのスペイン代表も身体が小さいチームにもかかわらず優勝できた。ボールを速く動かして、スピードを通して上回って信じてやったから優勝できた。(バスケットボールの)NBA・ウォリアーズ「スモールゲーム」で、相手より速く動いてプレーをして(2015年以降)4回優勝した。だから体重の重い選手をセレクションしなかった。

日本代表がどこまでいけるかわからない。ラグビーなのでフィジカルな選手は必要になってくるが、強い日本のアイデンティティーを発掘しないといけない。手を使って速く動いて、目を通して世界のどこよりも速く動くということをやり、速く走るという痛みを楽しみながらやれるチームに変革していくことです。

日本の文化は調和が取れていると知られています。日本の古い文化も取り入れて、新しいテクノロジーや方法を使って、より改善できるかを図りながら、今まで見たことない 素晴らしい日本代表を作り上げていく。ジェイミー、ブラウン、慎さんがやってくれた土台を基に強化していきたい。大きなプロジェクトだと思います。真にこれを実現したいと取り組んでいけば、100%集中してやっていけば、世界一速いラグビーをするチームに焦点を当てれば、世界一になれないことはないと思います。今から直面するチャレンジです。

ジョーンズHCが掲げるトレーニング

A) ダイナミック・システム
 個人の速度を上げるアプローチ
B) チーム・トレーニング
 具体的に実施:スピードの緩急を反復
C) 速くて高い姿勢から低い動き(さらに回転動作の強さ)
D) 集団としての意思決定の速さを向上
・明確な試合戦略
・セレクションの一貫性
・チームメイトの知識
・特定のトレーニング(シナリオ別)
・目を使うスキルを強化

記事検索

バックナンバー

メールアドレス
パスワード
ページのトップへ