7日、ラグビー日本代表(世界ランキング:14位)は「アサヒスーパードライ・パシフィックネーションズカップ2024」プールB・アメリカ代表(同、19位)と対戦し41₋24で勝利。プール戦2勝で1位通過で準決勝進出を果たした。
2024/09/09
文●編集部
メンバー
アメリカ戦の試合登録23名は以下のとおり
キックオフは19時05分だったが、灼熱の熊谷はナイトゲームでも湿気とともに日中の暑さが残る厳しいコンディションだった。
ジャパンのキックオフでゲームがスタート。ジャパンのキックオフで。アメリカがノックオンでいきなりファーストスクラム。早めにボールをだしたジャパンは右サイドへ展開。FB山沢拓也がノックオン。アメリカがキックでエリアを戻すと、ジャパンがアタック。2分、タッチライン際でWTBマロ・ツイタマが足がライン外が出ていてノートライ。
直後のラインアウトから連続フェイズでアタックスピードをあげるジャパン。たまらずアメリカが戻りきれずオフサイド。4分、ゴール中央でペナルティ。ジャパンはショットを選択。SO李承信が決めて3-0と先制。
直後のキックオフ、ジャパンはLOサナイラ・ワクァとツイタマのブレイクで一気にハーフウェイまで前進。すぐに右オープンサイドへ展開するもWTBジョネ・ナイカブラがスローフォワード。自陣10m付近でアメリカボールのスクラム。ジャパンがアーリープッシュでアメリカがクリックリスタート。フェイズを重ねるも22mを超えることができずアメリカが裏スペースへキック。ここは山沢がタッチに蹴り出しエリアを戻す。
7分、アメリカのアタックに対して前に出るジャパンのディフェンスで相手をハーフウェイ付近まで押し戻すがアメリカがキックで再び22m内側へ。ジャパンはラインアウトを獲得し李承信がキックでハーフウェイ付近までエリアを挽回。
9分、再びアメリカのアタック。FW中心にフェイズを重ねるもノックオン。ジャパンボールのスクラム。キック合戦で李承信が冷静に対応。ハーフウェイ付近での攻防となる。11分、自陣10mでHO坂手淳史ゲームキャプテンがジャッカルを決め、ジャパンが敵陣に入る。
13分、敵陣10m付近のラインアウトから前掛かりになっていたアメリカディフェンスの裏に李承信がショートパント。反応したCTBディラン・ライリーがキャッチ。オフロードパスがニコラス・マクカランにつながりトライ。李のキックも決まり10-0とリード。
直後のキックオフ、ワクァが自陣22m手前でノックオン。アメリカボールのスクラム。ジャパンが二度目のアーリープッシュでペナルティ。アメリカがPGを決めて10-3。
チップキックのキックオフがディラン・ライリーに入り、マロ・ツイタマにつながるもノックオン。アメリカが一度はキックでジャパンがボールを戻されるも山沢が絶妙なキックで敵陣ゴール前まで蹴り戻す。
さらにジョネ・ナイカブラのチャージでプレッシャー。アメリカが自陣22m内側でのラインアウトとなる。さらにアメリカは自陣ゴール前でノックオン。ジャパンがゴール前でスクラムのチャンスを迎える。
SH藤原忍は左のオープンサイドへ供給。アメリカがオフサイドのペナルティを犯すと藤原が迷わずクイックでリスタート。22分、LOワクァがねじ込みトライ。17-3とリードを広げる。
24分、ジャパンは李承信のロングキックでハーフウェイまでエリアを挽回。ジャパンボールのラインアウト。NO8ファウルア・マキシを当てにいくもノックオン。アメリカボールに。、さらにジャパンがハーフウェイ付近でノットロールアウェイ。アメリカが22m手前のラインアウトのチャンスを迎える。ワクァがバージングのペナルティ。さらにアメリカが前進。29分、アメリカがラインアウトモールからNO8ショルツがトライ。ゴールも決まり、17-10とする。
直後のキックオフ、ライリーが再獲得。アメリカのオフサイドでジャパンが敵陣深くに入る。ラインアウトからすぐにボールを出したジャパンはPR三浦昌吾、ワクァと展開するもノックオン、チャンスを活かせない。
37分、HO坂手淳史が負傷交代。原田衛がピッチに入ってジャパンボールのスクラム。ジャパンがフェイズを重ね敵陣22m内側までゲイン。さらに足の止まったアメリカがオフフィートのペナルティ。苦しい時間帯に藤原がクイックリスタート。アメリカのディフェンスラインが整備される前に超速ラグビーが本領発揮。最後は入ったばかりの原田が右サイドにトライ。角度の厳しい位置からのコンバージョンを李承信がしっかりと決めて前半を終了。24-10でハーフタイムを迎える。
後半、フィジカルで差し込まれるジャパン。立て直したのは・・・
後半、41分、ジャパンがハーフウェイ付近でワーナー・ディアンズがモールでチョークタックルでボールに絡みパイルアップ。ジャパンボールのスクラム。藤原はパスダミーをかけてショートサイドへ展開。李承信が裏のスペースにボールを蹴り出し22m奥へ。アメリカがラインアウトからキックで再びジャパン陣内となる。
ジャパンのパスが乱れアンストラクチャな状況となるもジャパンがボールをキープ。すると、自陣15m付近でボールを持ったライリーが加速。パスダミーで3人を抜くと1対1でもステップで難なく抜けてそのままトライ。地元・熊谷のファンが大いに盛り上がった。
リードを広げたものの、アメリカのフィジカルに少しずつ削られるジャパン。50分、アメリカがラインアウトからモールで押し込まれるとモールが割れてWTB11がトライ。31-17。
ジャパンはFB山沢拓也を下げて、立川理道を投入。李承信が15番に入り立川が10番に入った。54分、ジャパンは自陣10m付近でのマイボールスクラム。アメリカがペナルティを獲得しアメリカはタッチに蹴り出しトライを狙う。
ゴール前のラインアウト。ジャパンは競らずに対応。アメリカはBKも入ってモールを押し込む。ジャパンがペナルティで再びアメリカボールのラインアウト。再びドライビングモールでアメリカが押し込むが原田がグラウディングを許さない。
それでも直前のペナルティでアメリカがタップでリスタート。FWでフェイズを重ね、BK3人が左に流れてスペースをついてトライ。31-24と7点差に迫った。
ジャパンはファカタヴァ・アマトを投入。直後のキックオフを再獲得すると敵陣22m手前でアドバンテージ。立川キャプテンはショットを選択。李承信が落ち着いて決めて再び10点差とする。
64分、ジャパンはSH小山大輝を投入。ハーフウェイ付近のラインアウトをワーナー・ディアンズがターンオーバー。10番に入った立川が相手の裏スペースに蹴り込むがゴールラインを超えてしまい、ハーフウェイ付近でアメリカボールのスクラム。ジャパンがスクラムプレッシャーをかけてペナルティ。
66分、敵陣22m付近でのラインアウト。原田はアマトに合わせると立川がパスダミーから裏にぬけてライリー、マロ・ツイタマがトライ。マロはカナダ戦に続き2戦連続のトライを決めた。
体力的にも苦しい時間帯で李承信のキックでチームを救った。70分、絶妙なキックでチームを前に出した。71分、自陣10m付近でアメリカがペナルティ。ジャパンは敵陣22m手前でのラインアウト。ジャパンがノックオン。アメリカボールのスクラム。今度はアメリカにペナルティを取られハーフウェイ付近までエリアを戻されてしまう。
アメリカのアタック。ジャパンがノットロールアウェイのペナルティ。アメリカがさらに前進。ゴール前のラインアウトを迎える。ジャパンは競らずにモールディフェンス。アメリカはボールを出さざるを得ず、BKに展開。マクカランがプレッシャーをかけ、アメリカがノックオン。ジャパンは残り4分、自陣ゴール前10m付近でスクラム。立川がキックでハーフウェイまで蹴り戻す。
一時は7点差まで迫られたジャパンだったが、その後は冷静にゲームを進めて1つのトライで引き離しノーサイド。カナダ・アメリカに連勝して準決勝進出を果たした。準決勝の相手はサモア。世界ランキングでは日本よりも上の11位だ。新生エディージャパンの挑戦は続く。
エディー・ジョーンズHC
まずは対戦チームのアメリカは我々のようにとても若いチームでしたが、彼らのラグビーはとても伸びている点があると実感しました。前回のワールドカップにはあいにく出場できなかったものの、現在のヘッドコーチがよくチームをまとめていて、とてもいい姿勢で試合に取り組んでいたということが手に取るようにわかりました。
我々としてはPNC2戦を終え、望んでいた形で勝ち進むことができていると思っています。もちろんまだまだ若くて、修正しなければいけない点もありますし、課題も山積みではありますが、今回の試合に関しては9番の藤原、10番の李がとても良いプレーをして、我々がさらに一歩前にへ進むことを手助けしてくれた。
次回は準決勝です。おそらくサモア戦になると思いますがとても楽しみです。
――SH藤原忍選手の評価
藤原に関してはとても良い方向に進んでいると思っています。正に「日本の9番」という感じです。アタックが強みで、正統派の日本の9番ですね。昨晩、ジャージプレゼンテーションへ堀越正巳さん(現在、立正大学監督)にお越しいただきました。
堀越さんはサイズは小さいながらも、パスも速く、ラック周りのボールを捌くのがすごくうまい方です。藤原にも同じような形で今後も取り組んでほしいと思っています。
来週は、きんちゃん(大野均)に来てもらいます(笑)。
――李承信をFBで起用できたのはポジティブ?
まさにそうですね。李が10番そして15番どちらもプレーできることは我々にとって大きなボーナスだと思っています。今回招聘した立川も、毎週毎週動きもシャープになっているなと感じますし、試合の中でアメリカに盛り返された局面というのはありましたが、立川がゲームコントロールして、その裏で李承信が、戦術面でもとてもいいキックを蹴っていたことが本日の勝利にも繋がったと思っています。
――7点差に盛り返された場面で再び突き放すことができたことについて
我々はとても若いチームであるということ考えたうえで一番大事なのは、こういったテストマッチでは勝つ局面は一つならず、二つ三つ積み重ねないといけないところだと思っています。特にそういった場面で、立川が言っていたような姿勢だったり、一つのまとめるということはとても大事だと思います。それができることで、次のステージにする無ことができますし、それぞれの局面に順応することができると思っています。
最後の20分間、プレッシャーがかかっていた中でアタックをし続けたところは本日評価したいと思っています。選手全員で落ち着いてエネルギーを上げることができていた。特に今日はベンジから出たフィニッシャーのことをとても評価したい。とてもいい形でアタックをしていい仕事をしてくれたと思います。
――今課題に感じていることは
今日は試合前から試合がどういう方向に進むのか、展開については頭の中で少し予想していました。カナダ戦では流れにのってエネルギッシュにボールを確実に動かしながら試合を進めることができました。あのような試合をした後というのはどうしてもまた同じことがすぐにできると思いがちな部分が選手の中にはあると思います。
本日の試合では相手にボールを簡単に渡しすぎてしまった面が多く見られてしまった。そういった状況の中でもプレーヤーが試合に順応できたということを評価したい。もう少しボールを動かさずにダイレクトプレー、ハードなキャリーを心がけていく、そういったところがボールが滑る中でとても順応できていたと思っています。
今後の課題についてはモールディフェンスが挙げられます。ここに関しては相手に簡単に失点を許してしまったので、次回の試合でキーポイントとして取り組んでいきたい。
――MOMのディラン・ライリー選手の評価
13番ですが、スピードはWTBのようですし、ストレングスはCTBで、とても稀有な能力に優れているプレーヤーだと思っています。ディフェンス面でも、もっとリーダーシップを発揮できると思いますが、もっともっとどういうふうに試合に絡んでいけるか、そういったところを考えながらプレーをしていってほしいなと思います。私としては、ディラン・ライリーは世界で一番の13番になるといったような自信があります。
立川理道キャプテン
――7点差になってからチームにはどんなことを伝えていた?
トライ取られたあとのハドルではすごくシンプルなことをしっかりやっていくということが大事と伝えました。ああいうプレッシャーがかかるところで、自分たちにプレッシャーをかけるのではなくてしっかり相手にプレッシャーをかけていこうということは伝えることができたと思っていますし、そういった状況で何をしなければいけないのかを全員同じ画をむることが大事なので、シンプルなメッセージにしたのがうまくいったのかなと思っています。
――ツイタマ選手のトライにつながった仕掛けは天理大時代を彷彿させるプレーでしたが手応えは
前半に一度やっていたプレーだったので、相手がコントロールしてくるかなと思っていましたが、目の前にスペースがあれば自分でも仕掛けていくと思っていたのでうまくいって良かったなと思います。