古豪復活・大分舞鶴高校−−最後まで集中力あるDFでシード校の國學院栃木に勝利し3回戦進出 | ラグビージャパン365

古豪復活・大分舞鶴高校−−最後まで集中力あるDFでシード校の國學院栃木に勝利し3回戦進出

2014/12/31

文●斉藤健仁


「古豪復活」。12月30日の2回戦、まさしく、その言葉にふわさしい活躍を見せたのは、「花園」こと全国高校ラグビーに最多出場の53回目(29連続)出場、優勝1回、準優勝3回を誇る大分舞鶴(大分)だった。Aシードの國學院栃木(栃木)を31-19で破る金星を挙げた。ノーシード校がAシード校を破ったのは1988年度の第68回大会で東京農大二(群馬)が作新学院(栃木)に敗れて以来、26大会ぶりの快挙だった。

大分舞鶴は、今大会の初戦で青森北に43-7で勝利し4年ぶりに初戦を突破、「プレッシャーはないけん、やってきたこと全部出そうと試合前に言いました」(HO舛添真太郎主将/3年)。また「Aシードといえど同じ高校生。Aシードと意識しないで対戦してほしい」という中川盛夫監督の声にも励まされ、フィフティーンはグラウンドに送り出された。

最後まで大分舞鶴の集中力は途切れなかった

最後まで大分舞鶴の集中力は途切れなかった

前半4分、國學院栃木FB石井雄大主将(3年)の前進をトライ寸前で守り切って大分舞鶴は勢いに乗った。3日で合計500本の「タックル合宿」で鍛えたタックルで相手の出足を止め、人数が余られてもしっかり対応してタッチライン際に追い出すディフェンスは見事だった。

15分、今度は大分舞鶴にチャンスが来る。相手に反則され、PGを狙える場所で中川監督の指示は「PG狙え」だったが、選手たちはキックを蹴ってラインアウトを選択し、見事CTB首藤弘人(3年)がトライ(5−0)。さらに22分、自陣でターンオーバーし、最後はSH安部耕平(2年)がトライ、SO村上圭汰(3年)がゴールを決めて12−0とリードする。

モールでトライを挙げる國學院栃木

モールでトライを挙げる國學院栃木

26分には國學院栃木のFL 坂本洋道(3年)にモールからトライを許し、12−7で前半を折り返した。後半も國學院栃木に展開をされ、4分にCTB尾池敏志(3年)にトライを与えてしまい12−12と同点となる。

だが、再び7分、大分舞鶴がモールからトライを挙げて17−12とリードする。しかし、國學院栃木にモールから右隅にトライを挙げられ、17−19と逆転されてしまった。

大分舞鶴は後半の後半はBKで2トライを挙げた。

大分舞鶴は後半の後半はBKで2トライを挙げた。

中川監督が「メンタルが強かった」と目を細めたように、大分舞鶴がここから素晴らしい攻撃を見せる。16分にはラインアウトを起点に展開し、CTB矢野湧大(2年)がトライを挙げて24−19と逆転。「BKで取りに行こうと強気でいきました」(SO村上圭汰副将/3年) 22分にも再びBKが魅せてWTB山下亮太(3年)がインゴール左隅に飛び込み31−19とし、そのままノーサイドを迎えた。

ゴールを蹴る國栃FB石井主将

ゴールを蹴る國栃FB石井主将

國學院栃木のFB石井主将は「勝てるだろうという過信があった。声が出ていなかったし、立て直しができず、そのままいっていまった。気持ちで負けてしまった。悔しいです」と肩を落とした。

試合の流れの中では大分舞鶴がモールから挙げた2トライが大きかった。「選手たちで(PGではなくモールを)判断しました。1年間モールをやってきて、ほぼ他のチームに負けたことがなかったので」とHO(フッカー)舛添主将は胸を張った。またSO村上副将は新チームになってから「古豪復活させようと言ってきました。勝ってめちゃくちゃうれしいです!」と声を弾ませた。

「復活」を全国のラグビーファンに印象づけた大分舞鶴。正月を越え、目標としていたベスト8まではあと1勝だ。1月1日の準々決勝は兵庫の強豪・報徳学園と対戦する。

 

斉藤健仁
スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当するなどトップリーグ、日本代表を中心に取材。プロフィールページへ


 

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