スピアーズがサンゴリアスから猛爆11トライで開幕3連勝。サンゴリアスはチーム史上最多失点 | ラグビージャパン365

スピアーズがサンゴリアスから猛爆11トライで開幕3連勝。サンゴリアスはチーム史上最多失点

2025/12/28

文●大友信彦


リーグワン2025-26第3節、序盤は連勝スタートを切った両チームの対決は予想外のワンサイドゲームになった。

HIGHLIGHTS


試合は2分、スピアーズがPRオペティ・ヘルのターンオーバーから④ボタが前進して正面PKを獲得するとショットを選択。SOフォーリーが冷静にPGを決め3点を先制。スピアーズは次のキックオフレシーブからもすぐに自陣を脱出し、オペティのオフロードパスを受けたSOフォーリーの突破を起点にボールを繋ぎ、FBショーン・スティーブンソンが左隅に最初のトライを決める。

フォーリーとスティーブンソン

フォーリーとスティーブンソン


最初のトライを決めるスティーブンソン

最初のトライを決めるスティーブンソン


対するサンゴリアスは10分、今季初先発のSH福田健太があげた相手ゴール前ハイパントをWTBコルビがスティーブンソンに競り勝って確保し、PKを得るとコルビが成功。サンゴリアスは直後にも自陣のラインアウトからSH福田が密集サイドを突破してビッグゲイン。チップキックを蹴って自らチェイスし、捕ればトライか?という場面だったが惜しくも落球。しかしサンゴリアスは敵陣でアタックを続け、19分、相手ハイタックルからコルビがPGを決め、サンゴリアスが8-6まで追い上げる。

サンゴリアス松島のハイボールキャッチ

サンゴリアス松島のハイボールキャッチ


今季初先発のサンゴリアスSH福田

今季初先発のサンゴリアスSH福田

だが20分を過ぎたところで、ゲームの流れを決めるビッグプレーが飛び出す。

24分、サンゴリアスが自陣からアタックを仕掛けるが、CTB尾崎泰雅のパスが乱れたところでスピアーズWTB木田晴斗が足にかけて前進。サンゴリアスもWTB尾崎晟也とコルビが必死に戻ってゴール前で止め、ターンオーバーすると自陣ゴール前から果敢にカウンターアタック。しかしWTBコルビのキックをスピアーズWTB根塚洸雅がチャージし、FLタイラー・ポールが右隅にトライを決める。

タックルされながら前に出る木田晴斗

タックルされながら前に出る木田晴斗


コルビと松島を振り切って前に出る根塚

コルビと松島を振り切って前に出る根塚

さらに29分、フォーリーが狙ったPGはポールに当たって外れるが、このリバウンドを、尾崎晟也との交代で入ったばかりの安田昂平が落球。スピアーズはこの5mスクラムから直でパスを受けたFBスティーブンソンがサンゴリアスのタックルを外してトライ。

フォーリーが先ほどより難しい位置のコンバージョンを決め、22-6。これで流れは大きく傾いた。スピアーズはHOマークスの左サイドビッグゲインを起点に34分、フォーリーがPG成功。36分には木田晴斗のオフロードパス&マルコム・マークスの鮮やかなラストパスでNo8マキシが左隅へトライ。

スティーブンソン

スティーブンソン


マルコムマークスのビッグゲイン

マルコムマークスのビッグゲイン


マキシが足の痛みをこらえて走りトライ

マキシが足の痛みをこらえて走りトライ

42分には自陣10m線でのターンオーバーからスティーブンソンがカウンターアタックを仕掛け、SOフォーリーをはさんでCTBプレトリアスが走り切って右隅にトライ。39-6まで点差を広げて折り返した。

スティーブンソンが中盤からブレイク

スティーブンソンが中盤からブレイク


プレトリアスがトライ

プレトリアスがトライ

流れを変えたいサンゴリアスは後半のスタートからSHを福田から流へ、No8をタタフから箸本へ、PR1を小林から森川にチェンジして攻撃をスピードアップ。しかしスピアーズの分厚いディフェンスの壁をなかなか破れず、手詰まりになったところで1本キックを蹴ったら最後、スピアーズはスティーブンソンが余裕を持ってキックを処理、カウンターアタックで一気に相手陣へ攻め込む。

後半、サンゴリアスはSH流を投入

後半、サンゴリアスはSH流を投入


スピアーズは8分にWTB木田が左隅にダイビングトライを決めると、そこからはひたすら分厚い防御を盾に、相手に攻めさせてはボールを奪い、16分にSOフォーリー、21分にSH藤原、27分に交代で入ったHO福田陸人と分刻みのトライラッシュ。

後半8分、木田がダイビングトライ

後半8分、木田がダイビングトライ


ラインアウトを捕るスピアーズのタイラー

ラインアウトを捕るスピアーズのタイラー


松島のラン、サポートする箸本と森川

松島のラン、サポートする箸本と森川


後半27分、福田がトライ

後半27分、福田がトライ

サンゴリアスは31分にCTBプニヴァイがようやくチーム初トライをあげるが、34分にはターンオーバーから途中出場のモアラが快走してヴァイレアへ、37分にはやはり途中出場の山田響がコルビのタックルを外してトライ。サンゴリアスはラストプレーで相手陣に攻め込み、相手反則によるペナルティートライを得るが焼け石に水。合計11トライを奪ったスピアーズが79-20で圧勝。3連勝を飾った。

観客は11343人

観客は11343人


後半34分、ヴァイレアがトライ

後半34分、ヴァイレアがトライ


後半37分、山田がトライ

後半37分、山田がトライ

スピアーズの79得点はリーグワン史上2位の高得点(1位は23-24年に神戸が三重から奪った80点)で、22-23年の花園L戦であげた77点を上回るチーム史上最多得点。サンゴリアスの77失点はトップリーグ~リーグワンを通じた史上最多失点となった。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ フラン・ルディケHC

フラン・ルディケHC

フラン・ルディケHC


「ルア(マキシ)が言った通り、サントリーをリスペクトして臨みました。相手がアタックマインドを持ったチームだということは分かっていたし、こちらもベストな状態に持っていかないといけないと思っていたが、今日はそれができたと思う。スコアボード(の数字)で相手にプレッシャーをかけることができた」

――FBスティーブンソンの存在感について。

「15番は、ゲームをドライブするのが役目。コントロールできる選手じゃないといけない。ショーンは試合を読んで、10番に多くのオプションを与えることができる。ランニング能力も驚異的なものがあるし、オフロードパスもあるのでディフェンスするのが難しい。エッジに経ってもパスを使ってチャンスを作れるのが強みだ」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ ファウルア・マキシキャプテン

フラン・ルディケHCとファウルア・マキシキャプテン

フラン・ルディケHCとファウルア・マキシキャプテン


「まず、勝つことができて嬉しい。今日は今年最後の試合と言うことで良い準備をしてきた。相手が強いことは分かっていたし、簡単な結果はない。自分たちは試合開始から意識して良いスタートを切れた。ひとつひとつのプレーに集中したことが結果につながった」

――前半から、PKで何を選択するかに時間をかけていたが。

「ゲームの流れを読んで、ベストな選択をしようとリーダー陣みんなとコミュニケーションを取っていた。よい判断ができたと思う」

東京サントリーサンゴリアス 小野晃征HC

小野晃征HC

小野晃征HC


「サンゴリアスとしては情けない試合になってしまった。クボタさんのアグレッシブなプレーに接点で負けてしまう展開が80分続いてしまった。反省点をしっかり修正して、今シーズンのテーマである、責任を持ってプレーするというところに立ち帰って、次の神戸戦に備えたい」

――開幕からの2試合はうまくいっていたが。

「開幕の2試合は、お互いを信じて、自分たちのラグビースタイルを信じて、一人一人が無理をしないでプレーをすることができていたけれど、今日は相手のプレッシャーを受けたことで、ひとりひとりが少しずつ無理をしてしまっていたことで、ミスになって相手の得点になってしまった」

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。

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