7日、ラグビー日本代表(世界ランキング・14位)は「アサヒスーパードライ・パシフィック・ネーションズカップ2024」プールB・アメリカ代表(19位)との一戦に臨み、41-24で勝利。プール戦を2勝で1位通過を決めた。15日(日)準決勝でプールA2位のサモア(11位)と花園ラグビー場で相まみえる。
初戦のカナダ戦と同様に前半はジャパンペース。3つのトライと1つのPGで24-10とリードしてハーフタイムに。後半初め、ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)の見事なランで追加点をあげて31-10とリードを広げる。50分、自分たちのハンドリスミスから攻め込まれアメリカの反撃を受ける。
さらに58分、ラインアウトのペナルティーからアメリカがフィジカル全面のアタックを受けトライを奪われ7点差とされる。ここからジャパンが修正力を見せる。62分、敵陣ゴール前でペナルティを獲得すると立川理道キャプテンはショットを選択。李承信がPGを決め10点差とすると、さらに65分、スクラムペナルティを獲得して敵陣に入ると、ラインアウトから立川理道がブレイク。マロ・ツイタマへのオフロードパスがつながりトライ。もう一度流れを引き戻すアタックでアメリカを突き放しノーサイド。
カナダ戦に続きこの試合でハーフ団を組んだ、SH藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)とSO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)のゲームマネジメントも際立っていた。藤原の強気の仕掛け、李の精度高いキックはチームを前進させ、カナダ戦からの成長を垣間見せた。まだまだこれから成長の可能性を感じた藤原、李の試合後コメントを紹介する。
日本代表 SH藤原忍
――代表のラグビーにフィットしてきている?
フィットしてきているというか、(李)承信にも助けられているところもあるんですけど、練習の映像を見たりとか、試合を見たりとか常に2人でいる時間が増えたから良くなってきているのかなと思います。
――スピーディーな球出しとか、らしさが出てきているように見えます
そこは練習から、やっぱりエディーさん(ラックでは)いっぱい足があるけど、やっぱり集中して出すというのがスクラムハーフだと練習中からもずっと言われてきました。そこは本当に集中してできているなと思います。
――齋藤直人(仏・トゥールーズ)が代表をはなれているけど、そこはチャンスと捉えている?
そうですね。
――チームとしてはクイックの仕掛けやキックも使っていましたがそこは事前のプランだった?
そこはエディーさんからも自分で行けるという判断だったら自信持って行け、といっていただいてるので。みんなも僕が行くと決めたら、そこにみんなも行くというふうに決まっていたんで。チャンスだったら行けましたし、セットされていたらキックという判断をしました。他のBKからも行けという声をかけてもらう場面もありました。
――試合後の会見で、ジャージプレゼンテーションで堀越正巳(元日本代表)さんに来てもらったと話をしていました。世代としては知らないのでは?
はい。そうですね(笑)。プレゼンテーションが終わってから堀越さんには「9番はフォワードと一緒のように戦わないと今のチームは負ける」って言われて、そこは共感しました。
――カナダ戦のときよりも、ハーフ団としては冷静にゲームを運べたのでは?
(承信)はよく声かけてくれますし、本当にやりやすいですよ。
――メリハリがありましたね。
そこは承信ともずっと話していました。行くところは行くからその時はどうしようみたいなことは話してました。
――(夏シーズン初戦の)イングランド戦のときはとりあえず何でも行こうみたいな感じだった?
そうですね。それに比べると今は周りを見て判断できているなと思います。それは慣れもありますが、(周り)を見ることができていますね。
――ここまでプレーをしてきて自信になっているところは、逆に課題だなと感じているところは
球出しのところは結構集中して、コミュニーケーションとって何をやりたいかというのはできるようになってきているんですけど、今どういう状況なのか、そういうのも判断できるようになったら試合の流れも変えられるのかなと思っています。
――今日の試合でも判断の部分で悔やまれる部分は?
そうですね。1人しかいないのに、慌ててラックにプレッシャー来ているから(ボールを)放ってしまったり、落ち着かせるところで落ち着かないとか、僕が急いじゃうことで、周りにも影響しちゃうので、そこはしっかりとオーガナイズして、やっていかないといけないと思っています。
日本代表 SO李承信
――FBの起用はぶっつけ?
事前には聞いていなかったですね。ただ試合始まる前のロッカーでハルさんに、10番で入るのか12番で入るのか、という話を聞いていて基本12番の話だったので、山沢さんが抜けたときに15番もあるかもよ、みたいなことを聞いていたので心の準備はしていたんですけど。
神戸での経験が本当に活きたと思いますね。ディフェンスのポジショニングであったり、10番とコネクションしながらアウトサイドをアタックしていくところは本当に神戸での経験が活きました。今日15番入ってみて、悪い手応えではなかったのでテストマッチで経験できたことは良かったと思います。
――エディーさんもユーティリティープレーヤーが必要だということも言ってますし、今後もチャレンジしていく?
そうですね、本当に試合中何が起こるかわからないですし、合宿中でも10番以外のポジションをどんどんやってそこで見える景色だったり、コミュニケーション部分でもいい経験ができています。ユーティリティーポジションは自分の強みでもあるので、これからも続けていきたいと思います。
――今日はキックの精度も高かったです
そうですね。後半、自分たちのミスが続いたり、ボールが滑ってなかなか継続できなかったら、自陣からでも2フェイズ・3フェイズいないにどんどんボールを蹴り込んでいこうという話が合宿を通じてありました。
後半拮抗した状態で自陣でボールを動かすのがすごくリスキーな場面もあったのでそういった意味でも、自分の判断もありますけど、コミュニケーションとりながらできたのは良かったのは良かったです。
――ゲームメイクについては結構うまくいったという手応えありますか?
はい。後半特にエリアマネージメントのところは手答えありました。
――エディHCは選手とコーチのコンビネーションでその辺がうまくいったと言っていました。
そうですね。上からのインカムのコミュニケーションもありましたし、実際のグラウンドレベルでもどんどん敵陣に入っていこうというコミュニケーションもあったので良かったです。(バランスがうまくいった?)はい。やっぱり後半特に敵陣で戦えたかなと思います。
――プランとしてはあまりフェーズを重ねすぎないように自陣ではキックを蹴るというオプションは今までの試合以上にあった?
はい。熊谷は特に暑くて、昨日キャプテンズランをしてすごく滑る状態もあったので、合宿中からもそういうプランというか、そういうシチュエーションになったらこういう安全に戦うというのは共有できていました。
――キックはちゃんと当たっていて、いい状態だった?
練習からすごくいい手応えでできていますね。プレイスキックも本当に自分のルーティンにフォーカスして。90秒から60秒になってしまったんですが、そこもアジャストできていたので、特にプレッシャーを感じることもなかったです。トライしたあとの流れをしっかり自分の中で作ってできています。
自分としては60秒になれた感じですけど、自分以外の他のメンバーが本当にレストする時間が少ないのでそこはチームとしても経験が必要かなと思います。
――キックオフも良かったですね
キックオフボールがマーク(フェアキャッチ)されてしまうルール変更があったので、ワーナーもいますし、アウトサイドにはディランもいいコンテストしてくれるので、そういう意味ではバリエーション使いながら、マイボールを再獲得できたシーンが多かったので良かったなと思います。
――今は試合を重ねながらいろいろと勉強しているところだと思いますがどういうところが大事になってくる?
超速ラグビーの中で、特にキックの使い方であったり自分たちのモメンタム、コントロールのところは本当に夏は自分たちのスピードアタックにフォーカスしてやってきたんですけど、80分としてどう勝ち切るかというところが自分もそうですし、チームもクリアになってきているので、次のサモア戦もしっかりコントロールしたいと思います。
――SH藤原忍とのコンビネーションについて
合宿中も常にセットしていますし、ルーミーでもありますし、しっかりコミュニケーション取れています。スペースがあったら仕掛けるというのが忍さんの強みだと思いますし、自分もスペースがあったら仕掛けるだろうなとわかっている部分もあるので、もっと二人で成長できたらなと思っています。
――あんまり良くない時間帯もありました
ネガティブにならないように、自分も成長段階ですし、本当に経験が必要な時期だと思うので、エディーさんからもありましたけど、10~20キャップの間というのはテストマッチプレーの中でも難しい時間でもあるので、本当に日々練習、試合を見返して目の前のことに集中して過ごしています。
――次はサモア戦です
ワールドカップ前に札幌では僅差で負けていますし、ワールドカップでは勝ちましたけど自分は4分しか出れなくて悔しさも残っています。ホームでできるチャンスでもあるので、この試合に勝つことでチーム自体も勢いに乗れると思っているので、それが出るような試合にしたいですね。