「2015年のときよりも、パッションが2倍以上になっているよ。また代表に選ばれたいという気持ちがすごく出てきた。オレが入っていない代表が世界と戦って、ウェールズにアウェーで勝ちかけたりして、すごく刺激になった。2015年のワールドカップ(W杯)に出ていない選手が世界と互角に戦っているのを見て、オレもまた代表で戦いたいという思いが強くなった」
6月10日、ルーマニアとの戦いを終えて、リーチマイケルは言った。
2015年ワールドカップ以来1年8カ月ぶりの日本代表テストマッチ出場を、リーチは獣性を解放する圧巻のパフォーマンスで飾った。ボールを持ったら前に出る。ボールを持ったヤツが来たら迷わずタックルする。後半開始早々には試合の行方を決定付ける豪快なトライも決めた。80分の試合が終わったとき、スコアボードには33−21の点数が残った。日本の勝利の立役者がリーチだったことは明らかだった。
そのリーチが、目を丸くして、後輩選手をほめた。
「まだ大学生で、このでかいルーマニアを相手に、アタックでもディフェンスでも普通のプレーができていた。スゴイね」
リーチの言葉は、FBで先発、80分フル出場を果たした野口竜司について聞かれたときの答えだ。
ピッチ上の背番号「15」にはナイーヴさなど微塵もなかった
東海大学4年生。日本代表スコッドで最年少の21歳で先発した背番号15は、アタックでは相手タックルを縫い、ジャージーをつかまれても振り払って前に出た。ディフェンスでは相手の100キロ超級のランナーに体を当てて倒した。ハイボールには身を挺して跳び、相手タックルが飛んでくる中でボールを生かした。密集にも迷わず突っ込んだ。「最年少」や「学生で唯一」という言葉から連想されがちなナイーブさは窺えなかった。