李承信「PNCは必ず勝利して優勝しないといけない大会」 | ラグビージャパン365

李承信「PNCは必ず勝利して優勝しないといけない大会」

2024/08/23

文●編集部


8月22日、カナダ遠征を行っているラグビー日本代表、SO李承信がオンライン取材に応じた。エディージャパンの司令塔として10番争いをする李。李はサマーシリーズはイングランド、ジョージア戦で先発。イタリア戦ではリザーブからの出場となったが、テストマッチ3試合に出場した。未勝利だったシリーズを振り返って、「自分としても、チームとしても自信を失っていない。個人としてもカナダ戦、PNCは必ず勝利して優勝しないといけない大会だと思っている」と意気込みを語った。

SO 李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)


――前回のサマーシリーズを終えて、司令塔として現状をどう捉えていますか?


夏のシリーズで主に出た課題で、ターンオーバーの回数だったり、セットピースのところもそうですし、それを踏まえてカナダ戦は、フィジカリティーのところだったり、ボールをどんどん動かすことをテーマにキャンプに臨んだ。今日も練習に臨んだが、本当に良いラグビーができていると思う。自分たちからモメンタムを作ってボールを動かしていくところは、10番としても形を作れているし、アウトサイドBKやFWも速くセットしてどんどんボール動かしている。ただフィニッシュまで取り切れるか。今日の練習でもラストパスでミスをしたりがあった。カナダ戦ではボールを動かして、フィニッシュまで持って行くことがキーになると思う


――超速ラグビーをしてみて、SOとしてどう感じている?


チームのアイデンティティー、軸にあるのはスピードを持って超速ラグビーという部分で、どんどんボールを動かしていく。ただ80分、それをするには難しい場合もあるので、ゲームを最初の20分、間の40分、フィニッシュの20分に自分たちがやるべきことを明確にして、10番としてコントロールするところはコントロールする。

キックを使ったりコンテストキックを使ったり、3点を狙うところは狙ったりという、80分通してのマネージングが大事になってくる。そこは自分がもっと成長しないといけない。そういった面では良い経験ができていると思います。


――フィニッシュのところの改善点は


一つはスキル、コミュニケーションの精度が要因だと思いますが、ゴール前にいったときに取り急いでいる部分がある。焦って、チームのシステムや組織で動いていなくて、個人で取り急いでいる部分が夏のシリーズであった。そこは今、成長段階でもあるが、敵陣入って、ゴール前で取り切るか。カナダ来ても重点的に練習しているが、チームとして同じページを持って、スコアまで持っていけるかが大事です


――今のエディージャパンとして初の海外遠征です


スケジュール的には着いた日もその次の日も練習があった。初日、2日目はオフだったがエディーさんにもホテルにこもっているのではなく、どんどんチーメイトと街に出たり、文化を経験して、コネクト、絆を深めてほしいという話もあった。ラグビーだけでなく、チームではポジティブな雰囲気があるので、楽しめています。

ルーミーがSH藤原忍さんですが、忍さんとはいろいろカフェいったり ヴィトンに行きましたね。明日、おそろいの色違いのカードケースを買おうかなと思っています。奮発します!(笑)

――エディーさんがいう「コレクティングスピード」の認識は?


組織としてどこにスペースがあって、どうボールを運ぶか。そのスピード、速く考えてコミュニケーションを取ってチームとして動くことは常に(コーチ陣が)言っている。その前提ではやく判断するのは10番の責任だと思うので、スペースやコミュニケーションを自分から発信して超速ラグビーをリードしていくのが一番大事かなと思います。どれだけ速くつながって遂行できるかだと思います。

(イタリア戦の後半はうまくできていた?)首脳陣からクリアなゲームプランをもらって、順目に攻めていこうという話があって、一つシンプルにこうするというプランがあるとFWが動きやすい。ゲームの中で、今をこうすべきというプランをチームに伝えていければいいなと思います。

――CTB立川選手のキャプテンシーに関して


本当に発言の影響力、リーダーシップもあるが、練習で誰よりも身体を張ってくれて、一番ベテランだが誰よりも声を出して、練習でもゲームライクでチームのインテンシティーをリードしてくれるので頼もしいキャプテンです。オフフィールドでも大学生とか来ていてもフレンドリーに接してくれている。ハルさんの人柄だと思いますが、チームとしてワンチームになれるような雰囲気を作ってくれている。自分たち若手も伸び伸びできていて、チームとして頼れるリーダーだなと思います。

(一緒にフィールドに立つとプレーもしやすい?)10番としてハルさんのコミュニケーションは頼りになりますし、晴サンが12番に入るとプレーしやすいし、ラグビーIQも高い選手なので、学ぶべきことが多い選手です。

立川理道キャプテン

立川理道キャプテン



――ゲームプラン、ゲームメイクの落とし込みはコーチ陣と話し合っている?


夏の5試合とそこまで変わらないが、試合を重ねてきてチームで修正できるところ、変えないといけないところが出てきた。モメンタムを判断してキックを使うところ、ターンオーバーを減らすところ、セットピースのところと自分たちが改善しないといけないところを宮崎のキャンプからトレーニングしてきた。多くは変わらないが、カナダ戦に向けてチャレンジしないといけない。

戦術の落とし込みはチーム全体というか週2~3回、ゲームドライバーというキーになるポジションが8~10人がスタッフとミーティングする時間が設けられている。ゲームテーマ、プランニングは、サマーシリーズのときもあったが ゲームまでの1週間の流れも慣れてきているので良い方向に進んでいると思いますね。

ミーティングの時間外でもドライバーたちで集まってミーティングするし、ゲームの日も試合後も話し合う。想定外のこと、カードが出た場合や天候問題など、話せるところまで話して準備している。今回は本当に若いチームなので リーチさん、(齋藤)直人さんもいないので自分たちが成長できるチャンスだと思います。

李承信

李承信



――ゲームドライバーとしてミーティングしている選手はポジションで決まっているのでしょうか?


決まっていますね。HO、LO、SH、SO、FB、あとはキャプテンですね。基本、ゲームに絡むそのポジションでやっていますね。


――10番として、今のエディージャパンのラグビーはジェイミージャパン、神戸と比べて難しさはありますか?


今よりジェイミーのときの方がシステムは結構、具体的というか隅々まで固められている感じがありましたね。自分はそれがやりにくいことも別になかったですし、経験も浅かったので自分としてはプレーしやすかったし良い経験ができました。

神戸も今の超速ラグビーもシェイプや形が決まっているが、どれだけ目の前の状況、ディフェンスの枚数だったりスペースだったり、自分たちの形が揃わないなかでどれだけスペースを見つけてアタックできるか。どれだけゲームに順応できるかを求められているので、10番としてもテンポが速いきつい中でスペースを見つけてアタックを組み立てていくことは難しさも感じているが、これが自分のものにできればどんラグビーにも順応できるし、ラグビー選手として大幅に成長できるチャンスかなと思います。


――10番としてゲームを組み立てる点で一番大事にしていることは


コミュニケーションですね。自分が思っていることを伝えることと、外側にも要求して、アウトサイドが空いているのにボールを運べないことがないようにお互いのコミュニケーションは大事かなと思います。

――自分たちの戦い方を築いていく時期だが、勝利とのバランスはどう考えていますか?

 
一つは自分もそうですし、チームとして自信を失ってはないですね。負けが続いている中で、ネガティブな雰囲気になってしまうこともあるが、まずは自分たちでやろうとしているラグビーを全員、信じていますし勝てるという気持ちもある。個人としてもカナダ戦、PNCは必ず勝利して優勝しないといけない大会だと思っているし、若いチームなので、一つの勝利がグンとチームとして成長できる可能性があると思いますし、カナダ戦はそのチャンスが絶対あると思うので、勝つことがマストかなと思います。


――カナダ代表、アメリカ代表はランキング的には下ですが、多少の影響はあるか?


まったく世界ランキングは関係ないですね。新しいチームで、ましてや日本代表がはじまって以来、一番若いチームと言っても過言ではない。そういった面で比べても何かアドバンテージがあるわけではない。特にアウェイのゲームなので、チャレンジ精神を持つことが大事になってくる。



――10月末から、オールブラックスなど強豪との対戦が続きますが意識していることは


まずはこのPNCで結果を残して経験を増やしたいという思いがあります。個人としてもゲームのマネジメントのところもそうですし、チームとしてどれだけ勝利を自信につなげるかがその後のオールブラックス、フランス、イングランドにつながっていく。今はどれだけハードワークして頑張るかが次のシーズンにつながるので、今は結果だけに集中して頑張りたい。

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