7月1日(金)、東京・秩父宮ラグビー場にて行われた「 サンウルブズvsワラターズ」戦のキャプテンズラン(前日練習)に、現在、イングランド代表を率いるエディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチが来場し、取材に応じた。
日本代表で気になった選手は、SH茂野・FL金
現在、イングランド代表のヘッドコーチを務めるジョーンズ氏。オーストラリア遠征では3連勝し、シックスネーションズから9勝無敗で、ワールドカップでは自国開催ながら予選リーグで敗退し、「ラグビーの母国」として、失われてしまった自信を完全に復活させた。一方、ジョーンズ氏の眼に、ヘッドコーチ代行が率いる中、1勝2敗で終えた6月の日本代表のテストマッチについて、どう映ったのだろうか。
「スコットランドの出来を見ると、2戦目は勝つべきだった。負ける試合ではなかった。スコッドの半分が若い選手でした。若い選手がテストマッチとはどういうものかを肌で感じ、理解するには時間がかかります。新しいコーチ陣が入ってくることで、自分たちの新しいスタイルをもう一度見つけて、若い選手を含めてセレクションを正しくやっていくことがポイントです」
ジョーンズ氏が気になった若い選手はいたのだろうか。
「一人目はSH茂野海人。茂野は非常によかったと思います。ゲームの流れをつかむところで、もう少し改善が必要かなと思ったところもありますが、コーチ陣と話していく中で、もっと良くなるでしょう。ポテンシャルがあります。
もう一人はFLの金正奎。彼はもっと体を大きくし筋力をつける必要があるが、すばらしいと思いました」
ワールドカップで戦うためには、選手の総キャップ数は550くらい必要
6月、秋からジェイミー・ジョセフ氏(現ハイランダーズ指揮官)がヘッドコーチとして内定しているものの不在のため、サンウルブズのマーク・ハメット氏が日本代表のヘッドコーチ(HC)代行として、テストマッチに臨んだ。
「(サンウルブズのマーク・ハメット サンウルブズヘッドコーチと)今シーズンの話をしていて、彼の仕事ぶり、準備、想い、考えを聞きました。日本ラグビー協会は彼のすばらしい働きに感謝しないといけない。
日本代表は、ワールドカップに向けた準備が1年くらい遅れてしまった。時間というのは本当に大切です。もう一度チームを立て直す必要があります。よく考えて見ると、2015年の日本代表選手の中で、2019年のワールドカップにどれだけいるか。25%くらいでしょうか。そういった意味ではチームを再び作っていくことが必要です。ワールドカップで戦うためには、選手の総キャップ数は550くらい必要です。とにかく経験が大事ですなのです」
日本代表強化のために、サンウルブズはスーパーラグビーに参戦した。ここまでわずか1勝ながら、短い準備期間を跳ね返す試合運びをして、多くの試合で接戦を演じてきた。スーパーラグビーに参戦することで選手たちのスタンダードは確実にレベルアップしていることは明白だった。
「(サンウルブズは)非常にすばらしい成果を挙げていると思います。プランニングが短い中で、本当にチームが自分たちのできることをやっている。それはハメットHC、チームスタッフもすばらしいし、選手もすばらしい。今ここにある組織力を基板にして、もっとスマートに取り組めばスーパーラグビーですばらしい成功ができる」(ジョーンズ氏)
ジョーンズ氏も、サンウルブズによって日本代表の強化が加速化されるという効果を挙げて、さらにその環境を継続していくために日本ラグビー界に以下のことを提言した。
「(サンウルブズによって日本代表の)強化が加速化できる。これに尽きます。ただこれを続けるためには日本の国内のシーズン構成をもう少し考えないといけない。選手がトップリーグとスーパーラグビーを兼務してプレーしていくことはいつまでも続けられないと思います。この事を非常に注意深く考え、トップリーグチームがスーパーラグビーと一緒にやっていき、選手にとって最高の環境を整えることが必要です」