立川理道のDG選択—日本代表の司令塔が見せた、パスを捕ってから蹴るまでの瞬時の判断 | ラグビージャパン365

立川理道のDG選択—日本代表の司令塔が見せた、パスを捕ってから蹴るまでの瞬時の判断

2013/12/24

文●大友信彦


12月21日の秩父宮ラグビー場は、どことなくのんびりした空気が流れていた。
前節の14日に行われたのは、東芝vsNECとサントリーvsパナソニック。2003年のトップリーグ設立以降、トップリーグと日本選手権の王座は、初年度リーグ戦を制した神戸製鋼を除けば、すべてこの4チームの間を移動していた。いわばトップリーグ時代の4強。事実、一昨季はこの4チームがそのままトップリーグのプレーオフを戦った。
対して、21日に行われていたのは、クボタvsコカコーラウエスト、NTTコムvsNTTドコモという、Bグループの2試合だった。今季から導入された2ステージ制により、トップリーグ王座を争う上位8チームとは切り離された、下位リーグだ。
ゲーム自体は熱かった。自動降格・入替戦回避のため、トップリーグ残留のため、ワイルドカード戦を経ての日本選手権進出のため。どのチームも、目標は失っていない。それでも、前節のトップチームの激戦に慣れてしまった目には、物足りなく思えてしまう。
ここでこんなミスか…、
なぜここにいるかが分かるよ…、
つい、そんな悪態をつきたくなる場面が、何度かあった。

 

異なるオーラを放っていた日本代表の司令塔

そんな2試合の中で、異なるオーラを放っていたのが、第1試合、クボタのSOで出場していた立川理道(たてかわ・はるみち)だった。
言わずと知れた日本代表SO。6月のウェールズ撃破でも、80分間ジャパンのタクトを振り続けた。素晴らしいパスを放っても、豪快な突破を見せても、今更驚きはしない。

だがこの日は、いつもの立川とは違うプレーがあった。

クボタが22-0とリードして迎えた後半12分だ。何度かフェイズを重ねた後の場面で、立川は、ハーフウェーから少し相手陣に入った地点で、唐突に(あくまで記者の印象だが)DGを狙ったのだ。
直線距離およそ48m。逆風を突いて弧を描いたボールは、どんぴしゃでクロスバーを直撃すると、惜しくも手前に弾んだ。サッカー調に言えば「クロスバーに嫌われた」わけだが……
ゲームの流れの中で飛び出したDGである。トップリーグでDGを蹴る選手はきわめて少なく、そのほとんどは外国人選手だ。個人的にも、記者は立川のDGを目撃した記憶はなかった。

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