「多様性」を常に先取りしてきたワイルドナイツ、クルーズ&パークスは何をチームにもたらしたか。 | ラグビージャパン365

「多様性」を常に先取りしてきたワイルドナイツ、クルーズ&パークスは何をチームにもたらしたか。

2022/05/28

文●大友信彦


リーグワンでは海外のスター選手が数多くプレーしている。その多くはニュージーランド(NZ)やオーストラリア、南アフリカ、そしてフィジーやトンガ、サモアなど、南半球の国からやってきた選手たちだ。

今季でいえば、サンゴリアスで大活躍しているNZ代表のFBダミアン・マッケンジー、スピアーズの南アフリカ代表HOマルコム・マークス、シャイニングアークスの元オーストラリア代表FBイズラエル・フォラウなどが代表的な存在だ。

それに比べ、北半球、つまり欧州のトップ選手はあまり多くない。過去にはウェールズ代表のWTBシェーン・ウイリアムスが三菱重工相模原でプレーしたり、現在もスコットランド代表SHグレイグ・レイドローがシャイニングアークスでプレーしたりという例はあるが、少数派だ。

ハドレー・パークス

ハドレー・パークス



しかしワイルドナイツには、イングランド代表で45キャップを持つLOジョージ・クルーズと、ウェールズ代表で29キャップを持つCTBハドレー・パークスという、2人の欧州組ビッグネームが在籍し、中心選手としてプレーし、タフなプレーでチームの勝利に貢献している。

世界のラグビーの歴史は、北半球vs南半球のコンペティションで作られてきた。1987年に第1回ワールドカップが開催されて以降は南半球勢の優位が続いてはいるが、高速展開ラグビーが看板の南半球と、スクラムやキック戦が身上の北半球のラグビー文化の対決、異なる価値観の対決は、世界ラグビー進化の原動力になっている。

ワイルドナイツに欧州組2人が加わったのは昨季、2021年からだ。そのシーズン、ワイルドナイツは2015年度以来のトップリーグタイトルを獲得した。アタックとディフェンス、セットプレーとフェイズプレー、ストラクチャーとアンストラクチャー……様々な相反する要素で構成されるラグビー競技において、異なるバックグラウンドを持つ選手が複数加わったことは大きかったように思う。

……ということを聞くと、クルーズは苦笑した。


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