サクラセブンズ再始動!ワールドカップセブンズ2022アジア予選突破へ・熊谷合宿レポート | ラグビージャパン365

サクラセブンズ再始動!ワールドカップセブンズ2022アジア予選突破へ・熊谷合宿レポート

2021/10/11

文●大友信彦


東京五輪で全敗に終わった女子セブンズ日本代表“サクラセブンズ”が再始動した。

最初の合宿は9月25日から29日まで、次いで10月5日から11日まで、ともにサクラセブンズのホームグラウンド・熊谷ラグビー場で実施され、10月7日の練習がメディアに公開された。サクラセブンズの練習が公開されたのは、五輪直前の熊谷を除けば、昨年11月以来10カ月ぶりだった。

熊谷合宿参加メンバー(☆は東京五輪代表、※は9月合宿のみ参加)

大谷芽生

大谷芽生

☆大谷芽生 アルカス熊谷/立正大3年
※岡田はるな 東京山九フェニックス/村田金箔
※岡元涼葉 東京山九フェニックス/東京学芸大1年
香川メレ優愛ハヴィリ アルカス熊谷/早大2年

梶木真凜

梶木真凜

☆梶木真凜 自衛隊体育学校
小笹知美 北海道ディアナ/メディカルシステムネットワーク
三枝千晃 北海道ディアナ/メディカルシステムネットワーク
※鹿尾みなみ 東京山九フェニックス/クボタ

小笹知美

小笹知美

 

三枝千晃

三枝千晃

☆※白子未祐 ナナイロプリズム福岡/九州風雲堂販売
須田倫代 追手門学院大1年
※高橋李実 東京山九フェニックス/法大1年

須田倫代

須田倫代

 

堤ほの花

堤ほの花

☆堤ほの花 日体大/ディックソリューションエンジニアリング
☆永田花菜 日体大3年
中村知春 ナナイロプリズム福岡/電通東日本

永田花菜

永田花菜

 

中村知春

中村知春

 

原わか花

原わか花

☆原わか花 東京山九フェニックス/慶大4年
☆※平野優芽 日体大4年
※水谷咲良 四日市メリノール学院高3年

矢崎桜子

矢崎桜子

矢崎桜子 関東学院六浦高3年
藪内あゆみ ながとブルーエンジェルス/ヤマネ鉄工建設
☆山中美緒 名古屋レディース/トヨタ自動車
吉野舞祐 日体大3年

藪内あゆみ

藪内あゆみ

 

山中美緒

山中美緒

 

吉野舞祐

吉野舞祐

9月の合宿に参加して10月の合宿に参加していない選手については、個々の事情は明かされなかったが、学業などの諸事情で参加できなかった選手が多いようだ。

東京五輪後に加えられたメンバーでは、東京山九フェニックス勢が目立つ。
東京山九フェニックスは太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ鈴鹿大会で優勝を飾り、主将の鹿尾みなみはMVPを獲得。チャンスへの鋭い嗅覚と突破力で4大会合計22トライをあげ、年間トライ王にも輝いた。高橋李実(法大1年)は視野の広さと正確なキックで4大会で55得点をあげ得点ランク14位タイ。岡元涼葉(東京学芸大1年)もプレイメーカーとしての戦術眼とハードワークが光った。

追手門学院大1年の須田倫代は4大会合計17トライは4位タイ、87得点は5位。ステップの切れ味、止まった状態からの加速によるインサイドブレイク力はこれまでのサクラセブンズにいなかったタイプだけに楽しみだ。


女子セブンズ日本代表の次のターゲットは11月19-20日にドバイで行われるアジアセブンズシリーズ。これが、来年9月9-11日に南アフリカ・ケープタウンで行われるRWCセブンズ2022のアジア予選となる。アジアからの出場枠は「2」だが、日本協会広報によると、まだ予選のフォーマットは未定だという。

また、来年の同時期、9月10日から25日まではアジア競技大会(Asian Games)が中国・杭州で行われる。ラグビーは男女とも大会最終盤の22-24日に予定されていて、南アからの転戦は可能と想定されている。1年後の地球の状況がどうなっているかは定かではないが、国境をこえた移動に強制隔離等が求められない時代になっていることを祈りたい。

鈴木貴士HC代行

鈴木貴士HC代行

なお新ヘッドコーチはまだ交渉中といい、11月のドバイは鈴木貴士HC代行が指揮することが決まっている。大会に備えた国内合宿では、リオ五輪男子日本代表の主将を務めた桑水流裕策さんがスポットコーチを務め、リオ五輪女子日本代表主将の中村知春もコーチ兼任の選手として参加している。

山中美緒

山中美緒

アジア予選をにらむと、避けて通れないのがアジアのライバル・中国の存在だ。中国は東京五輪で8強入りしており、日本は0-29で大敗している。次回2024年パリ五輪には、中国を破らなければ出場すらかなわない。

その危機感は、東京五輪に出場した選手たちはみな共有していた。東京五輪が終わってほぼ1カ月が経過した8月末頃、選手たち自身の発案で、五輪代表13人全員でのZOOMミーティングが行われたという。代表スタッフも決まっていない中、危機感を抱いた選手たち自身の行動だった。ZOOMで1時間強、話し合ったという。


熊谷合宿では、東京五輪で最も力を出していたと評価された山中美緒と梶木真凜がメディアに対応し、そのZOOMミーティングについて明かした。

「キャプテン2人(清水麻有とライチェル海遙)を中心に、リーダー陣が先頭に立って企画してくれました。振り返って、見つめ直すことが大事だと思いましたから」(山中美緒)

梶木真凜

梶木真凜

「みんな、思っていることは同じでした。大事なのは戦術をしっかりやりきること。戦術を理解してはいたけれど、コロナ禍で海外のチームと対戦できていなくて、スピードやプレッシャーを体感できていなかった分、実際の相手と体をぶつける中で、2フェイズくらいでボールを捕られてしまう場面が多くなってしまい、戦術を体現できなかった」(梶木真凜)

梶木は五輪後、所属する自衛隊体育学校がオフに入ったため、実家のある福岡に帰省し、トレーニングジムと契約して強化に取り組んでいたという。


「自分の中では『すぐにアジアシリーズが始まる…』という焦りが強いです。今回負けた中国に勝たなきゃいけない。休んでる時間はないと思いました」

山中も「この半年くらい、精神的にも肉体的にもハードだったので、五輪が終わってから1週間くらいはリフレッシュ期間をいただきましたが、1週間経った頃には次に向けて気持ちが切り替わりました。五輪が終わったときから、悔しい気持ちの方が大きかったですから」と言った。

合宿には、10年にわたりサクラセブンズの主将を務めながら、東京五輪直前になって代表を外れた中村知春もコーチ兼任で参加していた。

中村知春

中村知春

もともとは東京五輪を現役生活の区切りにしようと思っていたというが、自身が東京五輪の場に立てなかったことだけでなく、サクラセブンズが実力を発揮できなかったことで「うちのめされたことと、それとは別のやるせなさ、無力感を味わいました。ただ、自分が最後に代表を落ちたことも含めて、自分のこれまでの経験を否定したくない」と思ったという。

「10年前、私が初めて日本代表に入ったときも、中国を破ってアジア1位になるのが最初の目標だった。10年たって、もう1回中国からアジア1位を取り返すためにチャレンジするのもいいかな」


コーチ兼任としての参加は「気にしていません。合宿では基本的に選手なので」と中村はいう。しかし、後輩たちの感じ方は違うようだ。

桑水流裕策スポットコーチ

桑水流裕策スポットコーチ

「知春さんはコーチとコミュニケーションをとって、選手ともコミュニケーションをとってくれる。両方の立場を分かって、コーチの意図を先に理解して、練習中も私たちが何でも聞ける状況を作ってくれる」(梶木)

スポットコーチにはリオ五輪男子主将の桑水流裕策さん、リオ五輪女子代表の兼松由香さんも参加する。HCがまだ未定なのは気になるが、サクラセブンズの再建は、過去の蓄積も生かし、新たな才能も呼び込みながら、一歩目を踏み出していた。



大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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