サクラフィフティーンチャレンジマッチレポート、個々のパフォーマンスが注目される試合に | ラグビージャパン365

サクラフィフティーンチャレンジマッチレポート、個々のパフォーマンスが注目される試合に

2020/12/03

文●大友信彦


来年のラグビーワールドカップ2021(女子15人制)を目指すサクラフィフティーンの候補選手たちが11月29日、熊谷ラグビー場で代表選考の一環となるチャレンジマッチを行った。

女子15人制日本代表のトライアルマッチが実際の試合として行われるのは史上初めて。しかも有料試合で、ファーストジャージーとセカンドジャージーを着用。それも、昨年のワールドカップで男子日本代表が8強進出を果たした際に着用した、鎧兜をモチーフにした新デザインのジャージーを初めて着用して臨んだ。

タックルを受けながら前進をはかるREDS南主将

タックルを受けながら前進をはかるREDS南主将

対戦したのは、昨年のオーストラリア遠征・欧州遠征で主将だったPR南早紀がキャプテンを務めるレッズと、副将だったSO山本実が率いるブルーズ。先発15人の平均年齢はレッズが23.8歳でブルーズは22.7歳。

前半はREDS、後半はBLUESでプレーした北野和子(右)、左はBLUESで80分フル出場したFL永岡萌。グレースのチームメイトだ

前半はREDS、後半はBLUESでプレーした北野和子(右)、左はBLUESで80分フル出場したFL永岡萌。グレースのチームメイトだ

総キャップ数はレッズが70(平均4.7)、ブルーズが85(平均5.7)。リザーブはレッズが11、ブルーズが29。先発にノンキャップ勢はともに3人。レスリー・マッケンジーHCが「あまり深く考えず戦力が均等になるように分けた」と説明したように、偏りのない編成だった。

つまり、勝ち負けよりも、サクラフィフティーンの代表候補スコッド全体のレベル、その中での個々のパフォーマンスが注目される試合だった。


MEMBER_REDS

献身的なプレーをみせた川村雅未、玉井希絵の両LO

献身的なプレーをみせた川村雅未、玉井希絵の両LO

出場選手:名前、年齢、キャップ数、所属(出身)。(C)は主将。★はRWC2017代表。試合は入れ替え自由で行われた。なおREDS16番北野は後半BLUES18番で出場した。


1★南 早紀(C) 25 C16 横河武蔵野アルテミスターズ(日体大)
2 谷口琴美 25 C1 三重パールズ(日体大)
3 小牧日菜多 19 C― 日体大女子(石見智翠館)
4 川村雅未 21 C― 龍ケ崎グレース (石見智翠館)
5 玉井希絵 28 C4 三重パールズ(関西学院大)
6★齊藤聖奈 28 C23 三重パールズ(大阪体育大)
7 伊藤優希 24 C5 三重パールズ (日体大)
8 小西想羅 20 C4 横河武蔵野アルテミスターズ/青学大(國學院栃木)
9 阿部 恵 22 C2 アルカス熊谷/立正大(石見智翠館)
10 大塚朱紗 21 C2 龍ケ崎グレース(石見智翠館)
11 本間美月 25 C4 アルカス熊谷(名古屋レディース/中京大)
12 小林花奈子 22 C2 日体大女子(石見智翠館)
13 古屋みず希 21 C― 日体大女子(東海大相模)
14 谷口令子 28 C5 アルカス熊谷(東京学芸大)
15 平山愛 28 C2 自衛隊体育学校
(リザーブ)
16 北野和子 21 C2 龍ケ崎グレース(神戸甲北)
17 ンドカ・ジェニファ 20 C― 龍ケ崎グレース(昌平)
18★“ライテ"マテイトンガ・ボギドゥラマイナダヴェ 36 C11 ナナイロプリズム福岡(アルカス熊谷)
21 高木萌結 20 C- 横河武蔵野アルテミスターズ/青学大(ラガールセブン・千葉ペガサス/法政二高)
22 鈴木陽子 27 C― アルカス熊谷(立正大)


MEMBER_BLUES

RWC2017ベスト15のSH津久井萌はリズミカルなパスさばきをみせた

RWC2017ベスト15のSH津久井萌はリズミカルなパスさばきをみせた

1 星野 恵 26 C- 自衛隊体育学校(日体大、日体荏原)
2 永田虹歩 19 C― 国際武道大(西陵)
3 左高裕佳 26 C5 名古屋レディース
4★櫻井綾乃 24 C15 横河武蔵野アルテミスターズ(日体大)
5 佐藤優奈 22 C2 東京山九フェニックス(石見智翠館)
6 永岡 萌 21 C2 龍ケ崎グレース(石見智翠館)
7★鈴木実沙紀 28 C23 東京山九フェニックス(関東学院大)
8 永井彩乃 23 C2 横浜TKM(日体大、石見智翠館)
9★津久井萌 20 C13 横河武蔵野アルテミスターズ/青学大(東農大二)
10★山本実(C) 23 C14 三重パールズ(日体大、東海大相模)
11 今釘小町 18 C2 アルカス熊谷/立正大(石見智翠館)
12 名倉ひなの 22 C2 横河武蔵野アルテミスターズ(日体大、神戸甲北)
13 堀毛咲良 20 C- 追手門学院大(神戸甲北)
14 葛西杏奈 25 C3 自衛隊体育学校
15 庵奥里愛 24 C2 三重パールズ(日体大、神戸甲北)
(リザーブ)
16★高野眞希 25 C12 横河武蔵野アルテミスターズ(日体大)
17★末 祐希 27 C14 三重パールズ(アルカス熊谷、東京学芸大、長崎南)
18 小鍛治歩 22 C3
21 岡田恵梨香 24 C- 神戸ファストジャイロ(流通科学大)
22 芳山彩未 18 C- 石見智翠館


初代表候補入りのPR小牧が先制トライ

初代表候補入りのPR小牧が先制トライ

試合は前半11分、REDSがNo8小西想羅の突進で相手ゴールに迫り、初めて代表スコッド入りした日体大1年生PR小牧日菜多がねじこんで先制トライ。

BLUESも17分、同じような形でLO櫻井綾乃がゴール前に持ち込んだラックからノンキャップのPR星野恵がポスト真下にトライ。SO山本実主将がコンバージョンを決めて7-5と逆転し、27分には左ゴール前ラインアウトをLO佐藤優奈が捕り、モールから持ち出したNo8永井彩乃がトライ。12-5とリードを広げた。

豪快に突破を計るマテイトンガとサポートするジェニファ

豪快に突破を計るマテイトンガとサポートするジェニファ

対するREDSは32分、ターンオーバーからFL齊藤聖奈、CTB小林花奈子、PR南早紀らがボールをつないで前進し、途中出場のFLンドカ・ジェニファがトライ。さらに37分にはSO大塚朱紗が相手DFのギャップに走り込んでトライ。自らコンバージョンを決め、REDSが17-12と逆転して折り返した。

自衛隊チームメイト同士のマッチアップ。BLUESの葛西杏奈がREDSの平山愛をタッチに追い込む

自衛隊チームメイト同士のマッチアップ。BLUESの葛西杏奈がREDSの平山愛をタッチに追い込む

 

前半32分、本間、齊藤の連続突破からジェニファがトライ

前半32分、本間、齊藤の連続突破からジェニファがトライ

 

タックルを受けながら古屋みず希が谷口琴美にオフロードパス

タックルを受けながら古屋みず希が谷口琴美にオフロードパス

 

さらにパスを受けた大塚朱紗がトライ

さらにパスを受けた大塚朱紗がトライ

 

トライを決める大塚を最後まで追ったのは前のフェイズでタックルした鈴木実沙紀。失点こそしたが素晴らしい仕事量

トライを決める大塚を最後まで追ったのは前のフェイズでタックルした鈴木実沙紀。失点こそしたが素晴らしい仕事量

 

後半からREDSのSOに入った高木萌結。リズミカルなパスにはさむ一瞬のタメで相手DFを幻惑。チャンスを作った

後半からREDSのSOに入った高木萌結。リズミカルなパスにはさむ一瞬のタメで相手DFを幻惑。チャンスを作った

後半はBLUESのキックオフで始まったが、先に点を取ったのはREDS。後半開始からSOに入った高木萌結のリズミカルなパスさばきで次々とボールを動かし、5分に左WTB本間美月が左隅へ。

後半から登場したBLUES岡田恵梨香と末祐希。短い出場時間ながらアグレッシブな姿勢と読みの鋭さをアピールした

後半から登場したBLUES岡田恵梨香と末祐希。短い出場時間ながらアグレッシブな姿勢と読みの鋭さをアピールした

13分には右WTB谷口令子が右隅へと、グラウンドを広く使うアタックで連続トライ。17分にはCTB小林花奈子のキックに鋭く反応したCTB古屋みず希が再獲得し、ゴール前のラックから再びPR小牧がトライ。34-12とリードを広げた。

後半20分、BLUES⑫名倉ひなのが右WTBの位置で相手DFを突破、右隅にトライ

後半20分、BLUES⑫名倉ひなのが右WTBの位置で相手DFを突破、右隅にトライ

BLUESの反撃は20分。相手陣で得たスクラムから右へ展開し、CTBからWTBの位置に移動していた⑫名倉ひなのが相手タックルを突き抜けるパワフルなトライを返す。

フィジカルの強さをアピールしたWTB本間美月

フィジカルの強さをアピールしたWTB本間美月

しかし、REDSはすぐ攻勢を取り戻す。WTB本間美月の快走で相手ゴール前に攻め込むと、ゴール前のスクラムからNo8に入ったライテことマテイトンガ・ボギドゥラマイナダヴェがサイドに持ち出しFL齊藤聖奈がトライ。

直後の36分にも再びライテのキックオフリターンを起点にンドカ・ジェニファがトライを重ね、46-17とリードを広げる。

REDS⑤玉井希絵にタックルするBLUES5番佐藤優奈。低く踏み込んだタックルを何度も繰り返すハードワークをみせた

REDS⑤玉井希絵にタックルするBLUES5番佐藤優奈。低く踏み込んだタックルを何度も繰り返すハードワークをみせた

意地を見せたいBLUESは38分、相手陣でボールを持ったNo8永井彩乃が相手2人がかりのタックルを受けながらも強引に前進し、そのままタックラーをふりほどいてインゴールへ持ち込む衝撃のトライ。

REDSのタックラーを次々と跳ね飛ばして前進するBLUES8番永井彩乃。NO8争いは大激戦だ

REDSのタックラーを次々と跳ね飛ばして前進するBLUES8番永井彩乃。NO8争いは大激戦だ

小西、ライテとともに、サクラフィフティーンのNo8候補3人がいずれも劣らぬ突破力を見せつけた中、自ら2トライを決める決定力をアピール。46-22と追い上げた。

最終スコアは点差こそついたが、両チーム各選手とも持ち味を出した熱戦だった

最終スコアは点差こそついたが、両チーム各選手とも持ち味を出した熱戦だった

しかし最後は、BLUESのアタックをターンオーバーしたREDSがCTB古屋みず希が右隅へ。51-22でREDSが勝利した。

レスリー・マッケンジーHC

「まず、JRFUとスポンサーのみなさんの多大なるサポートでこの試合が実現したことに感謝します。私たちはホームでプレーする機会がなかなかない。プレッシャーもあるけれど、ワールドカップアジア予選の前に、そういうプレッシャーを経験しておきたかったので感謝しています。

試合も見応えがありました。どちらのチームもスピードがあって、アグレッシブで、若い選手がこの高いインテンシティのもとで80分のゲームをプレーできてよかったと思います。

今回はメンバーリストに新しい名前がたくさん見られたけれど、それぞれが強いインパクトを与えてくれたと思う。トライもどれもよかった。練習してきたことを実際のプレーで見せられたことは良かった。コンタクトプレー、サポートプレーなどでは、私が期待していたプレーをみんなみせてくれた」


REDS 南早紀キャプテン

「今日はみなさんの前で試合ができることがとても楽しみでした。来年ワールドカップ2021で試合をするためのいい第一歩を踏み出せたと思う。今日は準備したものを出せた部分もあったし、課題が残った部分もあった。

ブルーズのアタックはキックを有効に使ってくるので、こちらのアタックの組み立てがなかなかうまくいかなかった。昨年の欧州遠征時に比べてレベルアップしたとを感じたのは、隣同士のコミュニケーション。

アタックの共通認識を持てていた。それと、寝たあとのリアクションスピードが前回よりもよくなっている。これからは、これを海外の大きくて強いチームを相手にもやっていけるようにしていきたい」


BLUES 山本実キャプテン

「両方のチームがそれぞれの強みを出して、サクラフィフティーンとしてレベルアップできたことがわかる試合だったと思います。ブルーズは試合には負けてしまいましたが、試合の最後のキツい時間帯に2トライを取れたことは自信になりましたレッズのアタックはみんなよかった。

FWが強いだけでなく、うしろにもバックドアでいつでもパスをもらえるところに選手がポジショニングしていて、いつ誰がボールをもらうか分からない。ディフェンスしていても、上がって下がってを繰り返さないといけなくて、対応が難しかった」


得点経過

REDSのタックラーを次々と跳ね飛ばして前進するBLUES⑧永井彩乃。NO8争いは大激戦だ

REDSのタックラーを次々と跳ね飛ばして前進するBLUES⑧永井彩乃。NO8争いは大激戦だ

【前半】
11分 REDS 3.小牧日菜多T R5-0B
17分 BLUES 1.星野恵T、10山本実C R5-7B
27分 BLUES 8.永井彩乃T R5-12B
32分 REDS 17.ンドカ・ジェニファT R10-12B
37分 REDS 10.大塚朱紗T、C R17-12B

【後半】
5分 REDS 11.本間美月T R22-12B
13分 REDS 14.谷口令子T R27-12B
17分 REDS 3.小牧日菜多T ⑮平山愛C R34-12B
20分 BLUES 12.名倉ひなのT R34-17B
34分 REDS 6.齊藤聖奈T R39-17B
36分 REDS 17.ンドカ・ジェニファT、21高木萌結C R46-17B
38分 BLUES 8.永井彩乃T R46-22B
42分 REDS 13.古屋みず希T R51-22B


(レフェリー:川原佑)

タックルを受けても突き進む小西想羅

タックルを受けても突き進む小西想羅

 

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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REDS⑤玉井希絵にタックルするBLUES⑤佐藤優奈。低く踏み込んだタックルを何度

REDS⑤玉井希絵にタックルするBLUES⑤佐藤優奈。低く踏み込んだタックルを何度

 

GALLARY

前半はREDS、後半はBLUESでプレーした北野和子(右)、左はBLUESで80分フル出場したFL永岡萌。グレースのチームメイトだ

前半はREDS、後半はBLUESでプレーした北野和子(右)、左はBLUESで80分フル出場したFL永岡萌。グレースのチームメイトだ

 

0分間、REDSのハイテンポのアタックをリードしたSH阿部

0分間、REDSのハイテンポのアタックをリードしたSH阿部

 

攻守とも前に出たBLUESのCTB堀毛咲良

攻守とも前に出たBLUESのCTB堀毛咲良

 

両チームで総勢10人に及んだ石見智翠館OG。豪華な顔触れ

両チームで総勢10人に及んだ石見智翠館OG。豪華な顔触れ

 

低いタックルを見舞い続けたBLUESの佐藤優奈と鈴木実沙紀の東京山九フェニックスペア

低いタックルを見舞い続けたBLUESの佐藤優奈と鈴木実沙紀の東京山九フェニックスペア

 

アルテミスターズのチームメイトを探す小西、高野、名倉、南。試合後のフィールドは所属チームごと、母校ごとの撮影大会で大盛況

アルテミスターズのチームメイトを探す小西、高野、名倉、南。試合後のフィールドは所属チームごと、母校ごとの撮影大会で大盛況

 

試合後の会見は、アクリル板とマスクで入念に感染防止策を採った上で対面式で行われた

試合後の会見は、アクリル板とマスクで入念に感染防止策を採った上で対面式で行われた

 

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