女子ラグビー・最新情報2020(4)シーズン再開が待てない…選手の移籍情報をチェック | ラグビージャパン365

女子ラグビー・最新情報2020(4)シーズン再開が待てない…選手の移籍情報をチェック

2020/07/06

文●大友信彦


カレンダーを見ると、この週末は太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2020の最終第4戦、鈴鹿大会が開かれているはずだった……という思いで始まった緊急企画。「女子ラグビー最新情報2020」。新年度の各チームの陣容を紹介しつつ、東京、静岡、秋田、鈴鹿の4戦を戦っていたら、それぞれのチームはどんな成長を果たしていただろうか……と想像を巡らそうというわけだ。まだ、なかなか直接取材は難しい時期だが、各チームのHPを訪ねたり、電話やメールやSNSも使って問い合わせるなどして、各チームの戦力情報を調査してみた。

第4弾は、昨季の太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ総合10位の追手門学院大をはじめ、新たに昇格した四国大、そして最昇格&新昇格をめざす横河武蔵野、アザレア、ブレイブルーヴの3チームの情報をお届けする。

追手門学院大(昨年総合10位)

追手門学院大の村田彩乃

追手門学院大の村田彩乃

昨年は10位と低迷した追手門学院大は、追手門学院高校から内部進学者2人と、他競技からの転向者1人、あわせて3人の新戦力を迎えた。

追手門学院高からの内部進学者は2人。昨年11月のU18女子セブンズでトライ王と得点王の2冠に輝いたFB村田彩乃は吹田ラグビースクールのコーチだった父・大典さんの影響で小1でラグビーを始め、LO吉本芽以(めい)は4歳のとき京都西ラグビースクールでラグビーを始め、ともに2019年セブンズアカデミーにも選出された。

追手門学院大と高校は一体のチーム「VENUS」として活動しており、すでに3年間、辻本つかさHCや先輩たちと一緒に練習や練習試合もこなしており、ショートパスを多用しながらリズミカルにアタックするなど追手門独自のスタイルは身体にしみついている。もう一人の新人・門林(かどばやし)はなは、昨季の全国高校大会3位となった大阪薫英女学院高バスケットボールからの転向。ただし、大学が前期は完全なリモート授業を実施してキャンパスを閉鎖していたため、まだ練習はできていない(東京五輪に向けた日本代表候補の室越香南は地元・神奈川に戻ってトレーニングしていた)という。

「今年はチーム全員オフを一切いれないで太陽生命シリーズに向けて準備していたのですが、その分、全部の大会が中止になってしまったのは残念です」と辻本つかさHC。追手門に限ったことではないが、今年の大会がなくなっただけでなく、今後の競技人生に向けた選手のモチベーションにも影響が心配される。セブンズのシーズンは終了したが、15人制で他チームとの合同チームに参加する選手も出てくるか。

 

四国大学女子ラグビー部(今季昇格)

四国大に加わった尾崎夏鈴

四国大に加わった尾崎夏鈴

昨季、太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ入れ替え戦に勝利してコアチーム昇格を決めた四国大は5月末に練習を再開した。新戦力は8人。うち4人は、夏のコベルコ、秋のU18セブンズと2冠を達成した石見智翠館から。WTB尾崎夏鈴は高1でU18セブンズ日本代表選出経験を持つ期待のフィニッシャー。もともと鳴門ラグビースクールでラグビーを始めた徳島育ちで、里帰りだ。FW中村沙弥は身長177センチの大型LOとして期待される大器だ。HO加藤芽衣は昨年のU18花園女子15人制の西軍HO。

FL藤田桃子はコベルコカップの優勝メンバーだ。さらに追手門学院高からHO河村爽月、東海大静岡翔洋からSH都世子(つよし)優花、神戸甲北からCTB宿野きらら、広島葦陽からPR渡邉桃花という顔ぶれだ。井上藍主将(3年)はじめ石見智翠館出身者でチーム作りを進めてきた四国大だが、創部3年目を迎え、他校出身の部員も増えてきた。これからどんなチームカルチャーが作られていくか楽しみだ。なお四国大は今春、チームの名称を「四国大学女子7人制ラグビー部」から「四国大学女子ラグビー部」に登録変更。今後はサクラフィフティーンで世界を目指す選手も出てくるか、期待される。

横河武蔵野アルテミスターズ(昨年降格)

15人制大会ではグレースとの両チーム優勝。今季は単独日本一を目指す(南早紀主将)

15人制大会ではグレースとの両チーム優勝。今季は単独日本一を目指す(南早紀主将)

太陽生命セブンズシリーズでは昨季、コアチームから降格してしまった横河武蔵野アルテミスターズだが、15人制では関東大会準優勝、全国選手権では龍ケ崎グレースとの引き分けながら初の日本一を達成。昨秋、アウェーでスコットランドを破ったサクラフィフティーンにもPR南早紀主将はじめ7名を連ねた。今季は太陽生命シリーズへの再昇格も目標に据えていたが、今季は大会が消滅。6月のチーム練習再開の時点から15人制の単独優勝をターゲットに据えている。「目標は単独日本一を取りたい。グレースももちろん、TKMも15人制に力を入れて準備してくるし、最善の努力をします」と南主将。

横河武蔵野に加わった林かんな

横河武蔵野に加わった林かんな

新人は新大学1年生が3人。サニックスワールドユースで優勝を飾った福岡レディースのSH林かんな(福岡高)は5歳からかしいヤングラガーズで、No8三原倫(筑紫高)は小3から笹岡少年ラグビースクール~筑紫丘ジュニアで、U18花園15人制に西軍で出場したSCIXのNo8小西似呼(にこ=尼崎高)は4歳から西宮甲東ジュニアラグビークラブで、それぞれ豊富なラグビーキャリアを持つ。

 

アザレア・セブン(昨年新設)

TKMからアザレアに移籍した横山里菜子

TKMからアザレアに移籍した横山里菜子

静岡を拠点に昨季設立。コアチーム昇格を目指しているアザレアセブンには、大学1年生5人が加入。國學院栃木でU18花園女子15人制に出場したWTB西岡那奈子はもともと静岡県出身で、ヤマハラグビースクール育ち。静岡産業大進学と同時にアザレア加入。早くもリーダーの一人に指名された。CTB夏目海久(東海大静岡翔洋)は昨夏のコベルコカップ東海代表。伊藤三紗(みすず)は今年1月の女子サッカー高校日本一に輝いた藤枝順心の控えGKから転向。昨年アカデミー生だった小澤茉生はサッカーと陸上競技、穴井紫乃は新体操からの転向組で、今季は正メンバーに昇格した。
(注:小澤選手と穴井選手の競技歴に不正確な部分があり修正しました)

さらに横浜TKMを退団した横山里菜子が移籍。若いメンバーが多いチームに、15人制、7人制とも豊富な日本代表歴を持つベテランが経験という武器を注入する。今春は他にNZからロセ・マフィ、オーストラリアからタンガタ・トゥポウという2人が加わり、シーズンに備えていたが、緊急事態宣言を受け帰国した。タンガタはレベルズでプレーイングコーチの経験もあり、外国人選手のリーダー的存在だったといい「来季も受けてくれるなら来てもらうつもり」と小野澤監督。



ブレイブルーヴ

2016年、東芝グラウンドで活動する府中ジュニアラグビースクールを母体に誕生したブレイブルーヴは、いわば東芝ブレイブルーパスの妹チームだ。同年の太陽生命カップで全国優勝を飾った東京都中学選抜チームを松田努ヘッドコーチが指導していたのが縁で、当時のチームメイトが大挙して集結。2018年の女子関東大会高校の部で優勝するなど昨季まではユースグレードだった中核世代が今春、一斉に大学生となってシニアチームに加入した。

ブレイブルーヴの安尾琴乃はU18花園女子15人制に2年連続出場

ブレイブルーヴの安尾琴乃はU18花園女子15人制に2年連続出場

ユースチームの主将を務め、U18花園15人制にも出場したSO安尾琴乃(都立石神井-東洋大)、LO堀之内萌(専修大高-日本女子体育大)、BK武藤玲子(駒込-日本女子大)は高3で、FL北澤美菜恵(専大附高-専修大)は高2でコベルコカップ関東代表出場。FW神田萌花(駒澤大附高ー-順天堂大)、BK近藤帆夏(都立石神井-東京女子体育大)、安藤菜緒(日体荏原高-東京有明医療大)、田辺あさ花(明星学園高-日本大)は2018年3月の第1回ルーパス・ルーブカップ優勝メンバーだ。
新戦力は他に、ペガサスを退団したFW中村紘子、TKMを退団したFW青柳双葉、日体大卒のWTB岡野知佳。総勢11人の新戦力を得たことで、ブレイブルーヴは一躍注目チームとなりそうだ。

ここまでにあげた以外にも、女子ラグビーチームは続々と誕生し、あるいは既存のチームが強化を進めている。2020年は公式戦の機会がほぼなくなってしまったが、東北では弘前サクラオーバルズと八戸学院大。秋田ノーザンプレアデス、関東では千葉ペガサス、麗澤大、国際武道大、世田谷レディース、湘南ベルセブン、東海で名古屋レディース、近畿で花園ホーリーホック、神戸ファストジャイロ、九州で九州産業大、ナナイロプリズム福岡、日本経済大といった多くのチームが、ときにはメンバーを共有しあいながら活動している。関東圏では昨年、太陽生命シリーズ昇格を目指す世田谷、湘南、ブレイブルーヴがキャピタルウィメンズセブンズシリーズという新大会を立ち上げ、大会ごとに招待チームを招きながら試合経験を積んだ。2年目の今年は前橋レディース、山梨シャインズを新加盟チームとして迎える予定だった。実現しなかった試合にも、そこに向けた準備という価値はあったはずだ。彼女たちの努力が実るチャンスはきっとくるはずだ。


コロナウイルスの感染対策により、公式戦は軒並み中止された。練習を再開しているチームも、まだ動き出せないチームもある。それでも、魅力的な新戦力がシニアのステージに上がってきたのは間違いなさそうだ。これからも、情報が入り次第RJ365読者の皆様にお届けしようと思う。

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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