第8回全国U18女子セブンズの関東ブロック予選が21日、群馬県のアースケア敷島サッカー・ラグビー場で行われ、全国大会3連覇を目指す関東学院六浦、桐蔭学園、麗澤の3校が昨年に続き代表権を獲得。4位のアルカスユースは開催県枠で出場が内定した。
M1 1回戦 流経大柏 17-15 ブレイブルーヴ
試合は前半4分、流経大柏が⑥高杉青葉のトライで先制。ブレイブルーヴは④熊切千聖の2連続トライで逆転するが、流経柏は②岡田京華のトライで再び同点に。後半4分、ブレイブルーヴは⑥長谷川杏慈のビッグゲインから⑦似内芽衣子のトライで15-10と勝ち越すが、流経大柏はラストプレーで左サイドを⑧新間葉月が走り切ってトライ。⑥高杉青葉が逆転コンバージョンを成功させ、17-15で劇的逆転勝ちを飾った。


熊切千聖

新間葉月の同点トライ

高杉青葉が逆転ゴールを成功

M2 1回戦 横河武蔵野アルテミ・スターズ 22-7 クラーク長野TKM
アルテミ・スターズは前半3分、②モラッドハジャティ萌奈の力強い前進から⑩松本侑子が先制トライ、⑤森田奈穂子のコンバージョンも決まり7点を先制。クラークも6分、⑥平沢実喜がドリブルでトライ。姉の⑤平沢結喜のコンバージョンも決まり7-7の同点。しかしアルテミは前半7分に②モラッドがゴール前の密集でボールをねじこみ勝ち越しトライ。12-7とリードして折り返したアルテミが後半も⑤森田奈穂子、⑩松本侑子がトライを加え22-7で勝った。


平沢実喜



モラッドハジャティ萌奈

森田奈穂子


M3 2回戦 アルカスユース熊谷 17-10 栃木ストロベリーズ
試合はアルカスが前半1分、③原菜々実のトライで先制。国学院栃木と佐野の合同チーム栃木ストロベリーズも7分に⑥野中あい琉のキャリーから①横田陽子がトライし5-5の同点で折り返す。後半もアルカスがキックオフから③原が60m独走ノーホイッスルトライでリードするが、栃木は⑩山口佳織の全身から⑥野中がトライし10-10と再び同点。アルカスは4分、トライチャンスをスローフォワードで逃すが、5分にディフェンスで相手落球を誘い①山田清楽がトライ。17-10で競り合いを制した。

原菜々実


山口佳織

野中あい琉
M4 2回戦 桐蔭学園 36-0 群馬山梨シャイニングプライムス
群馬山梨は試合開始のキックオフから敵陣に攻め込むが桐蔭学園のディフェンスをなかなか破れない。桐蔭は2分、自陣のディフェンスで得たPKからアタックをかけ⑦山名タビワアサが先制トライ。4分、6分と①冨樫結衣主将の連続トライで前半を19-0とリードすると、後半も③佐藤瑞月と⑥蟹江みうずのトライでリードを広げ、6分には③佐藤瑞月が独走トライでダメ押し。36-0と大勝した。

長坂美海

佐藤瑞月

山名タビワアサ

佐藤瑞月
M5 2回戦 関東学院六浦 31-14 流経大柏
風下からキックオフした六浦は流経柏のアタックにディフェンスでプレッシャーをかけ、ボールを奪うと①井上蒼央が先制トライ。⑤青山羽菜のコンバージョンで7点を先制する。流経柏は3分、自陣からのキック&チェイスで相手陣に攻め込み、ディフェンスでPKを奪うと⑦本内美妃がトライを返し、7-7の同点に追いつく。六浦はここから奮起、インフルエンザで欠場した浅利那未に代わり主将を務めた⑥伊藤ちひろが自陣から80mを独走して勝ち越しトライを返すと、③大橋愛莉の2トライ、⑦島津穂実のトライで加点。リードを広げたが、流経柏も最後まで攻め続け、②岡田京華のゲインから⑩小木曽葉南がトライ(高杉C)を返した。

本内美妃

青山羽菜

大橋愛莉

伊藤ちひろ.
M6 麗澤 31-0 横河武蔵野アルテミ・スターズ
麗澤はキックオフから敵陣に入るとディフェンスでプレスをかけ、2分に⑦中野亜胡の突破から⑥坂本翼、4分に②中村夢唯が連続トライ。アルテミも⑤森田奈穂子が激走で麗澤ゴールに迫るが麗澤⑥坂本翼が激戻りでPKを奪うと、そのPKから坂本自ら独走トライ。17-0とリードして折り返すと、後半も坂本、⑫荒井小夏がトライを加え31-0で圧勝した。



モラッドハジャティ萌奈

坂本翼
M9 準決勝1 関東学院六浦 43-5 アルカス熊谷
関東学院六浦は前半、キックオフリターンで⑦島津穂実の独走トライを皮切りに⑥伊藤ちひろ、③大橋愛莉、⑩磯部瑞希らが5連続トライを奪い前半だけで36-0と大きくリード。アルカスは後半開始の相手キックオフを捕った⑥山内優樹菜のカウンターアタックからボールを繋ぎ、再びボールを持った山内がトライ。その後もアルカスが攻勢に出るが六浦の防御は崩れず、7分にPKから⑫高橋穂希がトライ。43-5と突き放して決勝進出を決めた。



内海柚香

高橋穂希トライ
M10 準決勝2 桐蔭学園 17-5 麗澤
前半、風上からキックオフした麗澤は2分、PKからエース⑦中野亜胡のトライで先制。しかし桐蔭は厳しいディフェンスで麗澤からボールを奪い、4分、7分と③佐藤瑞月の連続トライで12-5と逆転して折り返す。後半も3分、桐蔭は自陣ゴール前のディフェンスでPKを得ると速攻に出て最後は佐藤が3連続トライ。17-5で麗澤からの公式戦初勝利をあげた。

中野亜胡

冨樫結衣

佐藤瑞月トライ

初の決勝進出に喜ぶ桐蔭
M12 3位決定戦 麗澤 40-17 アルカス熊谷
前半は麗澤が⑫荒井小夏の2トライなどで26-0まで大量リード。しかしアルカスは後半早々、自陣のPKから①山田清楽が独走してトライを返すと4分にも山田が連続トライ。12-26と追い上げるが5分、麗澤は①松澤夢香が独走トライ。アルカスは山田が3本目のトライを返すが麗澤も終了直前に⑫荒井がトライ。40-17で勝ち3位で本大会出場権を獲得した。

荒井小夏

河邊ひなた

川野辺有紗

山田清楽
M13 決勝 関東学院六浦 14-5 桐蔭学園
前半は関東学院六浦が風上からキックオフしたが、桐蔭学園は近場の突破からじわじわと敵陣に入り、2分に③佐藤瑞月が先制トライ。その後も六浦陣に攻め込む。六浦も自陣から果敢なアタックをみせるが、ラストパスがスローフォワードになったり、50:50パスが相手に渡ったりでボールがつながらず、前半は無得点に終わる。

島津穂実
桐蔭は風上に回った後半も相手陣深くに攻め込むが、六浦は4分、自陣ゴール前で得たPKから速攻をかけ、⑩磯部瑞希の右サイド突破から最後は③大橋愛莉がトライ。⑤青山羽菜のコンバージョンでようやく7-5と逆転すると、7分には相手キックで自陣ゴール前に戻されながら①井上蒼央がカウンターアタックで独走し、最後はポスト下にトライし突き放した。

佐藤多恵
主力5人が、前週中国で行われたアジアエミレーツU18セブンズに出場し、10日間チームを不在。帰国後は「練習に出られたのは1度だけ」と伊藤主将が振り返る厳しいスケジュール。「メンタル的に難しかったけれど、後半は立てなおせた。厳しかったけど、良い経験になりました」と伊藤主将。

蟹江みうず
一方の桐蔭学園は、冨樫主将がアジアU18の遠征を「行きたかったけれど、まだ達成していない全国大会ベスト8を掴むためには、この予選を2位以内で突破しないといけない。私は自分からキャプテンになったし、結果を残すため抜けるわけにはいかない」という苦渋の決断で辞退。その思いが初の決勝進出につながり、決勝でも後半3分まで六浦からリードを奪う健闘をみせた。

五島璃音

蟹江みうずv佐藤多恵
「夏からずっと麗澤をターゲットにして、キーマンの中野さんを外に走らせないようみんなでディフェンス練習に取り組んできました。決勝では六浦と戦えたけど、最後に突き放されたのは私たちの弱さ。全国大会までの1カ月で、粘り強さと判断力を鍛えなおします」(冨樫主将)

六浦控え選手団の前で

大橋愛莉v冨樫結衣

M7交流戦 ブレイブルーヴ 29-7 栃木ストロベリーズ

近藤梨乃

藤本優奈

似内芽衣子

横田陽子

山口佳織
M8交流戦 クラーク長野TKM 50-0 群馬山梨シャイニングプライムス

平沢実喜トライ

鈴木夢乃トライ

M11流経大柏 24-17 横河武蔵野アルテミ・スターズ
全国大会には届かなかったが、1回戦でブレイブルーヴを破り、2回戦で関東学院六浦から2トライを奪った流経大柏の戦いは印象的だった。

森田佳代子
大会には10チームが参加。昨年の1位(関東学院六浦)と2位(麗澤)がシードされた以外は関東協会内で抽選を行ったというが、混成チームの栃木ストロベリーズ、群馬山梨シャイニングプライムス、クラーク長野TKMの3チームは、全国大会出場資格のない(単独チームが優先されるため)オープン参加だった。

森田奈穂子
関東予選は年々エントリーするチームの強化が進み、レベルアップが続いている。今回は前年の上位2チームのみのシードだったが、ワンデー大会の単純トーナメントで全国大会の代表を決めるには組み合わせの運不運が大きく影響してしまう。シード順位をもっと明確にしようにも、シード順を決める材料となる公式の大会がない(春のサニックスワールドユース予選は合同チームも参加可能などレギュレーションが異なるので参考にできない)という。

小木曽葉南
とはいえ、全国U18女子セブンズは女子高校世代の最高の大会であり、女子の高校生は世界レベルに近い選手が多い。日本でいえば谷山三菜子は高校を卒業し、大学1年生のシーズンにサクラセブンズで活躍し、バンクーバー大会であげたトライがワールドシリーズのトライオブザイヤーを受賞。世界を見ても、今年の15人制ワールドカップで大活躍したニュージーランドのソレンセンマギーは18歳、昨年のグローバルユースで日本と対戦した(そして日本が勝った)。

高杉青葉
日本を破ったアイルランドのSOダナ・オブライエンも18歳で代表デビューを飾っている。世界で強化が進む中、日本も高校生世代から試合数を増やすこと、高校生の大会のステータスを上げることは急務だ。なるべく多くの対戦を実現させ、選手の成長機会を増やし、よりフェアな順位を決めるためにも、年間を通じた大会の増加、予選の2日間開催を検討してほしい。関東予選も以前は2日間開催だったが、コロナ禍に伴いワンデー開催に縮小されて現在に至っている。サクラセブンズとサクラフィフティーンが世界との距離を縮めている現在、そこを目指す若い選手たちの競技環境整備も進めてほしいと願うばかりだ。
表彰式

優勝表彰・関東学院六浦

2位表彰・桐蔭学園

六浦SDS組と鈴木陽子コーチ
全チーム集合写真

関東学院六浦

桐蔭学園

麗澤

アルカス熊谷

栃木ストロベリーズ

ブレイブルーヴ

横河武蔵野アルテミ・スターズ

流経柏

クラーク長野

群馬山梨シャイニングプライムス
![]() (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |