ラグビー日本代表は26日、「リポビタンDチャレンジカップ2024」オールブラックスことニュージーランド代表とのテストマッチに挑んだ。序盤ジョネ・ナイカブラの先制トライで食らいつくも、6連続トライを許し前半だけで大きくリードを許した。後半、この試合で初キャップを果たしたPRオペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)のトライで一矢を報いるも後半も3トライを奪われ19-56で敗れた。
オペティとともに代表招集から2週間で初キャップとなったSO松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)は後半15分から出場した「めっちゃ緊張するかなと思ったんですけど、実際そうでもなくて、結構リラックスして入れた」と試合を振り返った。「今日はこれが精一杯。チームにフィットすれば自分のパフォーマンスももっと上がるのでそこを目指していく」と試合後に話した。
日本代表 SO松永拓朗
――オールブラックス戦を終えて
いい経験になりました。これからまだまだ準備期間があるのでもう少しチームに馴染めるかなと思っています。メンバーに選ばれてすごく嬉しかったです。特別ですよね。やっぱりオールブラックスと試合ができるということは。それも踏まえて「持っているな」とは思います。
――どういうふうに試合を見て、ピッチに入ろうと考えていた?
ゲームの流れは完全に相手でしたし、中々こっちはアタックができなかったという状態だったんで、とりあえず自分たちのアタックをしようと思いましたし、アタックするならば自分たちのプランを思い切ってやろうと思って入りました。
――外から見るには馴染めているように思えますが実際自分としてはどうですか?
シェイプの部分ではもう大分馴染めていると思うんですけど、相手からプレッシャーがあったときにどうやって一工夫できるかなというところはまだ全然できなかったんで、そういうところは課題ですね。
――その部分は時間が解決してくれる?
今日は精一杯だったかなと思います。自分の中では。頭の中はクリアだったけど、ジャパンラグビーのSOをやるというところでは精一杯やったかなと思います。
――緊張感のようなものは?
めっちゃ緊張するかなと思ったんですけど、実際そうでもなくて結構リラックスして入れたし、開き直って楽しもうと思えてピッチに立てたんでそこは良かったですね。色々考えるのをやめて、自分ができることだけをやろうと思ってピッチに入ったので。
――ピッチに入ったときは藤原選手(天理大の同期)もいましたよね。どんな感じでプレーできましたか
一緒にこうやってジャパンでプレーできたというのはすごく幸せな時間でしたね。試合に貼って忍といっしょにSOできているな、(ハーフ団を)組めているなと懐かしい感じがありました。
――ピッチに入って藤原選手と確認したことは?
もう1回ジャパンのシェイプをしっかりやろうという話はしたんですけど、まずはそこくらいですかね。
――落ち着いてプレーしているように見えました
なるべく落ち着いてはできていたと思います。準備としては10番、15番どっちもでしたが後半10番で入るだろうと思っていました。練習ではずっと10番でやってきましたし、東芝でも今年はシーズンにむけて10番は準備していたので馴染めたんですけど、リーグワンの決勝以来の試合だったので、試合感覚がちょっと心配ではあったんですけど、(準備期間)は短い時間でしたけど、そこは大丈夫だったかなと思います。
――次はフランスです。世界のトップチームと連続して戦えるという環境にいますがそれに対してはどう感じていますか
自分に対してのチャレンジだと思っています。自分自身もそうですし、ジャパンのチームにとっても強いチームとできるというのは、ジャパンがイチから積み上げてきたものだと思うんで、そこはチャレンジできる機会だと思っています。
――これまで海外遠征というのは?
関西代表でニュージーランドに行ったくらいですかね。(大学3年生のとき)それ以来ですね。
――弟(松永貫汰:コベルコ神戸スティーラーズ所属)さんから何か連絡は?
ファーストキャップということでチームがビデオを用意してくれていたんですが、その中に弟がメッセージをくれていて嬉しかったですね。
――何かいいこと言っていた?
いいことかどうかはわからないですけどシンプルなことでしたね。弟もジャパンになりたいと思って一生懸命やっている人間が先に(代表に)入った自分に治してメッセージをくれるというのは簡単なことじゃないと思いますし、そういう気持ちの面で称えてくれる、今日も試合を見に来てくれています。複雑な気持ちで多分見ていると思いますし、そういう部分はすごく感謝します。
――欧州遠征にむけてどんな準備を?
自分にできることをやるだけやなと正直思っていて、あれもこれもと難しく考えないで自分のパフォーマンスを上げていく。チームにフィットしたら自然と自分のパフォーマンスはあがっていくと思うので、そこを目指しながらやっていきたいですね。
――テストマッチの10番はやっぱり違いますか?
いやもう全然違います。リーグワンの東芝の10番が責任ないのかというとそういうわけじゃないですけど(笑)。日の丸背負っているというところとたくさんの人が目標にしているジャパンでプレーするということは責任を感じましたね。
(6万人の観衆は)リーグワンの決勝でも5万人ぐらいの観衆の中でプレーできているんでそれほど驚きというのはなく慣れというのはあったのであまり動揺はしなかったけど、このジャージを来てラグビーできることは本当に幸せだなというふうに感じましたし、(ジャージを)着続けるために成長し続けるしかないんだな、チームにコミットして、チームを引っ張れるようになっていきたいですね。
――ジャパンは楽しい?
楽しいですね。でも本当に本当にしんどいんですけど、やっぱりこんな素晴らしい環境で出来ることはすごく幸せです。
――エディーHCがプレーメイクのところではできるだけキックを蹴らないようにしていると言われていました。それは選手たちにどれだけ落とし込まれていますか?
僕も代表に来て2週間くらいなので、実際にそこまで細かく理解できているかといったらそうでもないんですよ。結構ざっくりな部分も多くてその中でも今日もやっぱりここで(キックを)蹴りたいなと思うところもいっぱいありました。コーチにここではキック蹴りたいと伝えたところ、アタックし続けようという話もあったんで、それがジャパンのラグビーをやろうというならばみんなが同じ方向を向かないと駄目なのでそこはアジャストしていこうと思っています。
初キャップ・初トライを決めたオペティ・ヘル
世界トップとの差を痛感させられたラグビー日本代表。5年の居住条件をクリアして代表資格を得たPRオペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)は後半6分から出場し初キャップを獲得した。後半28分、ゴール前でボールをもったオペティはステップでマッケンジーを交わし初キャップで初トライを決めた。
――まずファーストキャップを取った気持ち
特別なことだけど、自分にとって良い学びになったという方が大きいかな。このレベルではもっと頑張らないといけないからね。今はただ、こうした学びをもっともっと重ねたいという気持ちだよ。
――日本代表デビューがオールブラックス戦という気分はどうだった?
緊張もしたけど、同時に興奮もしたよ。日本代表としてキャップを得たということは、本当に夢が叶ったということだから。
――では、改善が必要な点は?
もっと自分の役割を果たさないと。このレベルで戦うには、自分がもっとフィジカルで、プレーもレベルアップしないといけないね。
――ハルさん(立川理道選手)をはじめ、チームメイトと試合前に何を話したのですか?
みんなが私の周りでサポートしてくれたので、ポジティブな気持ちになった。 ただ試合を楽しんで、自分のやるべきことをやるだけだった。
――トライについて
スペースがあったので、体が自然に動いた。 チームメイトたちが私にチャンスを作ってくれた。だから決めなきゃってなった。
――このチームの印象はどう?
いいチームだよね。そして、私にとって、もっと身体的に準備ができて、身体的に先を行くためには、それらの学習が国際的なレベルに達する前に。
――オールブラックスのFWは重かった?
わかってたけど確かに重かったよ。 でも僕の後ろの選手たちがすごくいいファイトをしていたから、信頼していた。
――この試合のポジティブな点は?
インターナショナルなレベルに踏み出せたことが、自分の唯一のポジティブの点かな。よくなかったことは自分でわかっているから。あとは良い点として挙げられるのは、チームメイトだ。彼らはハードワークしサポートしてくれた。僕がただ、自分自身のことだけを考えて、集中して自分の仕事をこなせば良かった。
――試合前少しナーバスだったと言っていた。
うん、ナーバスだった。でもこの世界で一番素晴らしい舞台に立って、すべてを受け入れ、最高の瞬間を楽しんだ。今日は日本代表のユニフォームを着て初めての試合だったから。そして、これから自分がステップアップするか、ダメになるか、自分次第だということはわかっている。
――欧州遠征に向けて
今日の学びを修正して欧州でも引き続き成長していきたい。今日はスタジアムからファンのエネジーを受け取ったので、今後も恩返ししていきたい。