10月24日、ラグビー日本代表は26日に行われる「リポビタンDチャレンジカップ2024・オールブラックス戦」の試合登録メンバーが発表された。初キャップには今合宿から招集された松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)、オペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)がリザーブ入りを果たした。
オールブラックス戦 日本代表試合登録メンバー
1 岡部崇人(横浜キヤノンイーグス、4)
2 坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ、46)
3 竹内柊平(浦安 D-Rocks、10)
4 サナイラ・ワクァ(花園近鉄ライナーズ、7)
5 ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京、18)
6 ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京、10)
7 姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ、32)
8 ファウルア・マキシ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、12)
9 藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、6)
10 立川理道(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、60)◎主将
11 マロ・ツイタマ(静岡ブルーレヴズ、4)
12 ニコラス・マクカラン(トヨタヴェルブリッツ、4)
13 ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ、24)
14 ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京、13)
15 矢崎由高(早稲田大学2年、4)
控え
16 原田衛(東芝ブレイブルーパス東京、7)
17 茂原隆由(静岡ブルーレヴズ、5)
18 オペティ・ヘル(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、0)
19 エピネリ・ウルイヴァイティ(三菱重工相模原ダイナボアーズ、2)
20 下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス、10)
21 小山大輝(埼玉パナソニックワイルドナイツ、6)
22 長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ、14)
23 松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京、0)
エディー・ジョーンズHC
ニュージーランド戦の23人を発表できることを嬉しく思います。この試合は今シーズンで最も重要な試合です。ホームでニュージーランドと対戦します。若い選手たちにとって歴史を作るチャンスです。
今週の準備は本当に高い強度で集中していました。そして、私たちは試合に臨む準備ができていると思います。ですから、ニュージーランドに挑み、試合開始から80分間、日本らしくプレーしたいと思います。
そして、自分たちのプレースタイルでニュージーランドに挑み続けるつもりです。ですから、選んだ23人は、必ずや期待に応えてくれると信じています。オペティ・ヘルと松永拓朗の2人の初キャップ選手が加わりました。
2人とも試合に向けて素晴らしい準備をしてきました。今シーズン18人目と19人目のキャップ獲得に該当する選手ですね。つまり、現在、私たちは転換期にあるということがわかります。しかし、この試合はそういったことではなく、パフォーマンスが問われる試合です。ですから、私たちは試合を楽しみにしています。
――今回のオールブラックス戦に向けて選手選考で重要視した点
ニュージーランドと対戦するときは、最初に、彼らと対戦する準備を整えることが必要だと思います。世界のどのチームも同じだと思います。
ニュージーランドは、戦い方によってはプレッシャーをかけることができるチームです。特に攻撃面では、私たちのチームのスピードを活かして、彼らにプレッシャーをかけることができます。
そして、私たちは最初からそれを実践するつもりです。次に、ボールを持っていない時のことを考慮すると、これは試合の50%にもなる可能性があることを分かっているので、私たちはすべてのプレーのすべての瞬間、すべての時間、すべての局面で守備を固める必要があります。
ニュージーランドはどこからでも10番のダミアン・マッケンジーで攻めることができるということです。彼はひらめきのあるプレーヤーです。常にターンオーバーのチャンスを狙っています。ですから、私たちは、ディフェンスにおいて本当に、本当に、しっかりとつながり、アグレッシブでなければなりません。
試合のすべての時間においてです。ですから、この2つが試合の重要なポイントなのです。スクラムやラインアウトでは、ニュージーランドがこれまでプレーしてきた試合よりも若い選手が揃っているようです。ですから、その部分でプレッシャーをかけていきたいと思っています。
――PNCから一番力を入れてきた部分、キーとなる選手は
私たちにとってPNCで良かったと思うのは、本当に自分たちがプレーしたいようにプレーする日本のチームに成長したことだと思います。ですから、私たちは本当に試合をコントロールすることができました。私たちはチーム全体として速くプレーしました。フィジー戦では、60分間それを続けることができました。そして、さらに準備を重ね、チームの強さを高めてきたことで、PNC時よりも改善されたと思います。
だから、ニュージーランド戦では80分間、それをやり続けなければなりません。それに、ニュージーランドが試合でリードされながらも、最後の5分で逆転して勝利を収めた試合を、どれだけ目にしたことがあるでしょうか?
そう、これは究極のテストです。80分間のうち、ボールを35分間キープし続けなければなりません。ボールが動いている間は、常にプレーを続けなければなりません。そして、私たちはそのために準備をしてきました。
選手たちは、日本代表としてニュージーランド代表と戦う上で、最高のプレーができる準備ができていると私は感じています。そして、それが選手たちに待ち受けるチャンスなのです。土曜日の午後2時50分に、彼らはそれを実感するでしょう。
ラグビー界全体が、ニュージーランドが試合をすれば、その試合に注目します。そして、私たちの若いチームは、世界ラグビーの最大の舞台に立つ機会を得ました。そして、人生最高のパフォーマンスを披露する機会を得たのです。そうすることで、彼らは変わることができるのです。彼らは人生を変えることができるのです。私たちは日曜日に宮崎で、250人の小学生、70人の高校生、150人の中学生と交流する機会がありました。
10年前、同じようなクリニックで、竹内は参加者の一人でした。竹内は当時、そんなクリニックに参加していました。そして、彼は夢を見ました。2015年のワールドカップを見て、日本代表としてプレーする夢を思い描いていたのです。
今、彼は日本代表としてプレーしています。土曜日の試合は、自分たちがプレーするだけでなく、若い子供たちにラグビーで何ができるかという希望を与えるものでもあります。選手たちは、それが自分たちの担う責任であり、素晴らしい責任だと理解しています。ですから、その機会を得られることに興奮しています。
――HO原田が控えでHO坂手が先発します
現段階では、坂手の方が少し強力なスクラムとなっており、特に試合の序盤では、その分野で優位に立つ必要があると感じています。原田はPNCで非常に印象的な活躍を見せており、試合の後半では重要となる役割を担うでしょう。
――NZは注目選手を聞かれて、今回、日本代表に選ばれていない選手の名前を挙げていたが
ニュージーランドについて、私は何も印象を持っていません。試合は私たち自身の問題です。ニュージーランドがどう考えようと、何を言おうと、誰を選ぼうと、私は気にしません。
これは、自分たちのベストを尽くすチャンスであり、私たちが集中しているのはそれだけです。新聞はまったく読んでいません。読むつもりもありませんし、選手たちも読んでないと思っています。
私たちはただベストを尽くしたいだけですから。最初から最後まで、日本代表のようにプレーしたいと思っています。ニュージーランドが何をしようとも、私たちはそれ以上のプレーをしなければなりません。それが唯一の試合の目的です。
――先週の練習では控え組だった姫野選手が7番で先発します
先週、チームを選んだわけではありません。ですから、ビブスを見て感じたことがあったとしても、それは間違った解釈です。申し訳ありませんが、私たちは人を欺こうとしているわけではありません。
しかし、1週間前にチームを選んだふりをして、それからチームを変えるようなことはしていません。彼は先発の7番で、ボールに最もプレッシャーをかけることができる選手です。彼の選手としての強みは、ボールを扱う能力です。
彼はボールを扱うのが上手く、ラックを突破するのも上手いです。そして、私にとって7が彼のベストポジションです。8や6ができないという意味ではありませんが、このゲームでは7がベストなのです。
――PNCから9番としてSH藤原選手が先発します
藤原がプレーするすべてのテストで、彼は少しずつ上達していると思います。彼はそういうタイプの選手です。彼は生まれながらのラグビー選手です。そして、彼は完全に実践で学ぶタイプです。つまり、彼は教室で学ぶタイプではありません。おそらく、(日本航空石川)高校や天理大学ではあまり勉強はしていなかったでしょう。彼がやったことは、紙に自分の名前を書くことだけだったでしょう。これは冗談です(苦笑)。
しかし、彼はプレーすることで上達していくし、非常にインパクトがあって、ニュージーランドのディフェンスを脅かすでしょう。相手のSHも走れるハーフも良い若手選手です。でも、藤原は、トップクラスのランニングSHになるでしょう。
――ブレイクダウンにどう対応するか
特に、アタッキング・ブレイクダウンに力を入れて取り組んでいます。私たちは、速いボールを望んでいます。速いボールを出すには、ボールキャリアーが自分の仕事をこなさなければなりません。サポートする選手も自分の仕事をこなさなければなりません。
私たちは正しい方向に進んでいると感じています。それが、今、7番に姫野を選んだ理由のひとつです。彼の素晴らしい特長のひとつは、ボールの回りの強さです。逆に、相手のボールにプレッシャーをかけることもできます。彼はボールに対して強い。
確かに、オールブラックスにはFLサム・ケインという脅威となる選手がいます。100キャップのテストプレーヤーとして活躍し、ボールキャリーしてきました。ですから、ニュージーランドのディフェンスを考えると、ボールキャリアーをサポートする努力を続ける必要がありますし、相手に対して多くの小さな得点チャンスを奪うことができます。
時にはボールキャリアーが少し前に出てくることもあります。サポート役の選手たちは、本当にハードな努力を積み重ねて、そのチャンスをものにしなければなりません。そして、ニュージーランドはブレイクダウンに誇りを持っており、常にそれをゲームの重要な要素として捉えています。ですから、そこは重要な勝負どころになるでしょう。
――控えの下川と長田の2人はどのポジションに入れるつもりでしょうか。
長田は、ウィングとセンターの素晴らしいカバーをしてくれます。彼は12、13、11、14のポジションをこなせるので、非常に重要な万能選手であり、おそらく私たちの最もハードに仕事をする選手の一人です。また、PNCでは7番で素晴らしい活躍をみせたカンジ(下川)は、6番もこなすことができ、私たちのピンチを救ってくれるでしょう。
――ジョーンズHCにとってもオールブラックスと戦うことは特別か。
誰もがそうだと思います。これまでNZとは20回ほど対戦したでしょうか。昨夜は眠れませんでした。1時半頃に起きて、またベッドに戻りましたが、眠れず、早く起きてしまいました。そして、緊張しました。
でも、それは自然なことです。緊張するのは自然なことです。緊張していなかったら、不安でしょう。でも、 緊張している間は、コーチとしてやるべき準備はすべてやったと思っています。チームに最高の準備をさせてあげられたと感じています。ですから、良い緊張感です。そして、この36時間、チームもそれを経験すると思います。すべての選手がその感覚を経験することになりますが、私たちが準備してきたことを振り返る必要があります。選手たちはプレーする準備ができています。
そのうちのひとつは最も重要なことで、(私が率いていた)イングランド代表が成し遂げたこと、例えばイングランド対ニュージーランドのテストマッチです。過去3回のテストマッチでは40%の勝率を収めました。1点差で負けた試合もあり、ワールドカップの準決勝ではイングランドに勝ち、引き分けもありました。
ですから、私たちはニュージーランドとイングランドの過去の3試合で歴史を変えたのです。私たちの考えた通りの戦い方、イングランドの戦い方になりました。そして、この現在の日本代表を目の当たりにして、彼らはニュージーランドと対戦する上で正しい考え方をし始めていることがわかります。
ニュージーランドと対戦するには唯一の方法しかない。試合開始直後から全力でプレーしなければなりません。ハカの後は、多くのチームがただ試合を見守り、試合が進んでいってようやく動き出します。そして、私たちはキックオフ直後から全力でプレーするチームになります。36時間の間には浮き沈みもあるでしょう。しかし、私たちは全力で試合に臨み、開始直後から全力でプレーするチームになります。
キャプテンSO立川理道
――オールブラックス戦は何がポイントになってくる?
立川 自分たちが受け身にならないことがすごく大事。最初から最後まで自分たちからプレッシャーをかけていくという強い気持ちをもってやる。隙を与えれば、ニュージーランドに乗っかられてしまうので、キャプテンとしても個人としてもチームの先頭に立ってやっていきたい。
――ジョーンズHCが「オールブラックス戦は、人生がかかるような試合になる」と話していたが
毎テストマッチ、最後だと思って臨んでいますし、それはNZだからというわけではなく、毎テストマッチ、次はないという気持ちで臨んでいます。NZという大きな試合になりますが、そこはあまり関係なく、自分にフォーカスして自分の仕事を全うしたい。
――11年前のNZ戦と現在の違いは?
立川 前回は自分自身もまだまだ若かったし、NZというチームに対して、何ができるのかと受け身の状態で試合に臨んだし、ゲーム内容もあまりよくなかったし、僕自身も前半にケガで交代した。あまり良い思い出ではないのですが、今回はしっかり体も準備もできているので、そういう状態で試合に臨めるかな。
――一桁のキャップも多いが、どういった声掛けをしていますか?
立川 キャンプに入ってからもコーチ陣からも話があったし、選手ともよく話をしていて、相手に対してリスペクトもあるが、受け身ならない気持ちで やっていくというのは、日々の練習もそうだし、マインドセットもよくなっている。明日、スタジアムに入ってリハーサルして、その気持ちを強く持って試合に臨みたい。
――選手の中で誰が一番度胸ある?
立川 誰がというところは難しいが、FBの矢崎は大学生だがテストマッチに出るチャンスがあり、彼自身も楽しみにしている。練習の態度も、日々の姿勢もいいので、良いプレーをしてくれるんじゃないかなと思います。
――超速ラグビーとしてハーフ団としてどうプレーしたいか?
立川 自分たちのテンポでアタックしていくところで、9番、10番は重要な役割になってくる。そこは藤原とコミュニケーションをとりながら、上手くチームを前に運んでいきたい。ブレイクダウンはすごく大事になってくるので、そこでしっかりファイトしながら、ボールを適切なところに運んでいきたい
――試合日の翌日は選挙ですが、どういったプレーができるかという公約はありますか?
立川 勝つことだけを考えて今準備している。次の日、どう影響があるか考えていない。勝つことで影響力が出ると思うのでそこにフォーカスしたい。
――オールブラックスの「ハカ」に対して、何か対応するのか?
立川 エディーさんからもキャンプの始めにそういう話があって、リーダーとも個別に話し合いながら、何が良いのか。相手にアクションした方がいいのか、正直、まだ固まっていない。
大事なことはハカに対して、観客になったり、見入ったりしてしまうのはよくない。ああいった時間帯でも、次に自分のやることを考えることが大事。そのために何をするのか、自分たちのいつものルーティーンをするのか。今日中にリーダー陣で決めていきたい。