ラグビー日本代表は「リポビタンDチャレンジカップ2024」オールブラックスに挑み、19-64で大敗を喫した。新チームとして新しいコンセプトで3年後のワールドカップに向け積み重ねている最中のチームの現在地は。世界トップのチームとの差を確認するテストマッチとなった。エディー・ジョーンズHCが試合後に話した会見を全文お送りする。
80分を4つのクウォーターに分けて見ると第2クウォーターはひどい20分となってしまった
結果にはもちろん非常に落胆しているが、試合の流れを20分ずつ4つのクオーターに分けて見てみると、第2クォーターは、29失点と本当にひどい20分間となった。
残念ながら若いチームにとっては、スコアボードが一旦、日本19、ニュージーランド14と映し出されたのは酷だったと思う。そして、トライは取り消され、そのことについて議論するつもりはない。ただ、感情的にはそれにうまく対処できなかった。
そして、その後の20分間は私たちの努力や集中力、細部への注意力が低下し、試合は終わってしまった。私たちにとって良かったのは、後半もまた、多くの覚悟と努力を傾けて戦ったことだ。最後まで、相手に2トライを許すまで、ねばり強く戦った。選手たちの努力を本当に心から誇りに思う。
しかし、ゲームに集中し続けるためには、感情をコントロールすることを学ばなければならない。ゲームに振り回され過ぎないように。ゲームに期待し過ぎないように。ゲームに打ちのめされ過ぎないように。だから、学ぶべきことがたくさんある。
そして、それを早く学ばなければならない。なぜなら、2週間後にフランスと対戦するからだ。それが我々にとっての課題だ。そしてニュージーランドに祝福を贈りたい。彼らは、テストラグビーの質の高い堅実な試合をしたと思う。 つまり、やるべきことをシンプルにやり続けたということだ。 そして、ちょっとしたパス回しでボールを奪うと、うまく展開した。 だから、彼らには拍手を送りたい。
初キャップを獲得したオペティ・ヘル、松永拓朗について
――初キャップをとった二人について
PRオペティ・ヘルは、おそらく最も悔しい思いをしている選手の一人だろう。確かに、ニュージーランド相手にデビューするというのは簡単ではないことだ。スクラムに関しては、まだ改善の余地がある。しかし、今日の試合で彼は十分な能力を証明して見せた。彼は将来、非常に高いレベルの選手に成長するだろう。
それから、松永がピッチに入ってきたとき、彼はとても落ち着いていて、全力でプレーし、ボールキャリアーをしっかりとサポートしていた。素晴らしい、堂々としたデビューだった。
――メンタリティー以外のところで予想外、大変だったところは
私たちは意図したとおりのスタートを切った。ニュージーランドを上回った。だから、ニュージーランド相手に最初の20分間は今まで見せたことのないような戦い方ができた。しかし、トライが認められなかったことでチームは落胆してしまった。残念ながら、経験というものは繰り返すことでしか得られないし、感情のコントロールは教えるのが難しい。
だから、今日学んだことを忘れずに、次に同じことが起こったとき、コントロールできない時間が20分から、15分になるかもしれない。次に同じことが起こったときには10分になり、そうやって徐々に進化していく。チームを一つにまとめて試合をするには通常3年かかる。感情をコントロールし、試合に落胆したり興奮しすぎたりしない成熟度を身に付けるには、それだけの時間が必要だ。そして、私たちはそこに向かっている途中だ。
――途中からオールブラックスに対抗できなくなった。今後、この問題を解決するためにどのような対策が考えられるだろうか?
基本的にディフェンスはアティテュード(姿勢)に尽きると思う。そして、先ほど説明したように、私は試合に悔しさを覚えている。そして、そのギャップを埋めるために努力するのではなく、努力が停滞してしまっているのが姿勢から見て取れたし実際にそうだった。そしてオフロードされた。だから、タックルで2人がかりでタックルする代わりに、1人がタックルしてオフロードされる。そうなると、相手の攻撃をコントロールできなくなる。
いいチームと対戦しているときは、ボールをスローダウンさせる必要がある。後半は、ずっと良くなった。巻き返せた。しかし、結局は選手たちの姿勢にかかっている。残念ながら、戦術や技術的なことはお教えできない。だがここでの問題はアティチュードだ。このゲームは姿勢が重要だ。ラグビーはアティテュードのゲームであり、それが努力へと繋がり、そしてスキルとして発揮される。そして若い選手は、どうかというと、矢崎はまだ二十歳です。彼は打ちのめされているが、今日の彼の努力を誇りに思うべきだ。そして、彼のような選手は他にもたくさんいる。だから、今日の結果を踏まえて、チームが今置かれている状況については比較的ポジティブだ。もちろん、改善を続けていく必要がある。しかし、それが今後の課題だ。
そして、それが日本ラグビーのユニークなところだ。矢崎は、今度は大学生として早稲田大学対明治大学の100回目の試合をプレーすることになる。それが日本ラグビーのユニークなところだ。矢崎は、将来素晴らしい選手になるだろう。
どの選手にも負けないくらいにね。しかし、今彼は大学に戻って、またアマチュアに戻る。驚くべきことだ。だからこそ、私は常にこの試合をその観点から見なければいけないと思う。2027年のワールドカップまでには、彼はプロになっているだろうし、ダミアン・マッケンジーを凌いでいくような選手になるだろう。もう少しで彼を追い詰めるところだったが、マッケンジーも警戒していた。矢崎は本当に頑張っていた。素晴らしい。若い選手たちが努力するのを見るのは素晴らしいことだ。だから現時点では、チームに感情的な成熟度が欠けている。
――前半NZに外に振られてトライされたのが多かった。日本のディフェンスが少しでこぼこになった。
全くもってそうですね。だから、内側のディフェンダーと最後のディフェンダーの連携がうまくいかなかった。後半には、そこが改善された。でも、あなたの言うとおりだ。そのエリアではもっと改善しないといけない。
――ディフェンスで裏にキック蹴られてターンオーバーされるなど、予想外のディフェンス、トランジションの部分について
本当にひどい時間帯があった。今のように、超速ラグビーの極端なバージョンをわざとやろうとしている。そして、ワールドカップが近づいてきたら、少しずつ細かい部分を追加していく。だから、我々は選手たちにそのようなプレーをさせるよう、大きなプレッシャーをかけている。
なぜなら、それが彼らのDNA、絶対的なDNAになってほしいからだ。そして、それを実現するには、彼らのDNAを変える必要がある。そして、私たちはそれを実行している。それはリスクを伴う。だから、言わんとしているリスクも理解できる。しかし、チームとして成熟するにつれ、ゲームにさらに多くの要素を加えていく。そうすれば、ブレイクダウンにかかるプレッシャーをいくらか軽減できるし、特に現時点では、文字通りボールを蹴っていないので、すべてを走らせることで、ディフェンスにとって予測しやすくなる。
しかし、私たちは取り組みを進めながら、それを盛り込んでいく予定だ。しかし、私たちのDNAは超速ラグビーであり、それが私たちの強みとなるだろう。そして、見ての通り、今日最初の20分間は、私たちはそのようなプレーをした。私たちはニュージーランドを圧倒していた。そして、もしそれをより長い時間続けることができ、キックの形を取り入れたアタック方法について、もう少し不意打ちを加えることができれば、私たちは本当に良いチームになるだろう。素晴らしい質問だ。