第73回関東高等学校ラグビーフットボール大会が6月7日、8日の2日間にわたって、佐野市運動公園陸上競技場で行われた。Aブロックの決勝は、桐蔭学園(神奈川)と國學院栃木(栃木県)の対戦となった。
前半1分、國栃FB手塚慈英(3年)のトライで国栃が先制し流れを引き寄せた。接点でも優位に試合を進める国栃は13分、再び手塚のトライでリードを広げると、17分にもWTB池田健心(3年)のトライで19‐0とする。追いかける桐蔭学園はようやく24分、敵陣ゴール前でFWにこだわりNO8足立佳樹(3年)がトライを決めて19‐7として前半を終えた。

先制トライに続き手塚慈英が2本目のトライ

WTB池田健心が突進

追いかける桐蔭学園は前半24分NO8足立佳樹がトライ

竹山史人のゴール
後半、最初にスコアしたのは國栃。ここまで2トライの手塚がハットトリックを決め26‐7とすると、7分には自陣でのカウンターラックからボールを継続しCTB家登正宜(3年)がトライを取り切り勝負あり。左端の難しいコンバージョンを手塚が確実に決め33‐7。

後半5分手塚慈英のトライ

手塚のゴール

後半7分CTB家登正宜のトライ


手塚のゴールも決まる
集中力がきれた桐蔭に対して、國栃は攻撃の手を緩めることなく貪欲にトライを狙いにいく。10分にはここまでBKでのトライが続いたが、敵陣ゴール前のラインアウトからFWでモールを押し込むとHO千野雄平(3年)がトライ。さらに手塚が4本目のトライを決め43‐7とすると、25分にはFL佐藤凌吾(3年)がトライを決め50点の王台に乗せノーサイド。50‐7で國學院栃木が大勝し、4大会ぶり4度目の優勝を飾った。

後半10分モールを押し込む国栃

HO千野雄平がトライ

足立佳樹へビッグタックル

後半17分手塚慈英が4本目のトライ

SH石原陽

敵陣ゴール前でスクラムペナルティを獲得し喜ぶ国栃FW陣

後半25分FL佐藤凌吾のトライ
各ブロックの最終結果は以下のとおり
◆Aブロック 優勝:國學院栃木(栃木)
○桐蔭学園(神奈川)17-14 目黒学院(東京)
茗溪学園(茨城)0-13 國學院栃木(栃木)○
桐蔭学園 7-50 國學院栃木○
○目黒学院 15-12 茗渓学園
◆Bブロック 優勝:流通経済大柏(千葉)
○流通経済大柏(千葉) 61-5 明和県央(群馬)
昌平(埼玉)21-45 山梨学院(山梨)○
○流通経済大柏 54-7 山梨学院
明和県央 12-35 昌平○
◆Cブロック 優勝:東海大相模(神奈川)
○東海大相模(神奈川)33-15 國學院久我山(東京)
○川越東(埼玉)26-7 桐生第一(群馬)
○東海大相模 48-17 川越東
○國學院久我山 59-7 桐生第一
◆Dブロック 優勝:早稲田実業(東京)
○早稲田実業(東京)38-24 関東学院六浦(神奈川)
日大明誠(山梨) 17-36 熊谷工業(埼玉)○
○早稲田実業 50-7 熊谷工業
○関東学院六浦 31-8 日大明誠
◆Eブロック 優勝:本庄第一(埼玉)
○本庄第一(埼玉)26-18 東京朝鮮(東京)
○東洋大牛久(茨城)31-14 佐野日大(栃木)
○本庄第一 34-0 東洋大牛久
○東京朝鮮 27-12 佐野日大
◆Fブロック 優勝:東京(東京)
日大藤沢(神奈川)12-40 東京(東京)○
○専修大松戸(千葉) 43-5 高崎(群馬)
○東京 57-0 専修大松戸
○日大藤沢 54-7 高崎
◆Gブロック 優勝:東海大浦安(千葉)
○東海大浦安(千葉)28-7 明治学院東村山(東京)
○清真学園(茨城) 57-0 作新学院(栃木)
○東海大浦安 12-10 清真学園
○明治学院東村山 67-0 作新学院
國學院栃木 吉岡航太郎ヘッドコーチ

左から2番目が吉岡航太郎ヘッドコーチ
――2月の関東新人では桐蔭学園に負けましたが、見事な快勝でした
アタックはやってきました。FWの3人1組で、原理原則の前に出て、しっかりサポートして継続することをやった。関東新人で敗れてから、桐蔭学園さん相手に0-0で勝てないねと話をしていた。桐蔭学園さんからどうやって点を取るか、選手たちといっしょにやってきた。
――しっかりFWが前に出られていました
桐蔭学園さんはケガ人が続出したこともありますが、ある程度、接点でFWが前に出れて、2年生から花園を経験している福田、池田を中心にラインブレイクしてスコアにつなげてくれたかなと思います。
正直、5月も試験もあったし、タイトなゲームが全然できていなかった。昨季の花園を経験している選手がFWはいなくて、佐賀工業戦はチームとして若い部分が出てしまった。昨日の茗溪学園戦を0点で抑えたのが(今日につながった)。自分たちのチームはディフェンスだということでやってきた。4月の5試合くらいはタックルの数値が悪かったので、そこは徹底的にやってきた。昨日のタックル成功率が相当高かったし、ディフェンスは桐蔭学園さんを止めるためにずっとやってきた。
――4トライを挙げたFB手塚選手について
福田にマークが集中するので寄ったスペースを半分ズレたところを力強いプレーや躱す動きをできるようになってほしかった。今までは一発でテイクダウンしていたが、今日を機に1v1で前に出るプレイヤーになってほしい。
國學院栃木 吉岡肇監督

吉岡肇監督
(ケガしたが間に合わなかった)13番の根岸がウォーターボーイをやって、リードしたときに「1月5日を忘れるな。まだ勝った気になるな」と伝えてくれた。
関東新人は2回、桐蔭学園に勝って優勝はあり、(過去2回優勝している)6月の関東大会は桐蔭学園に同点優勝はあった。ただ桐蔭学園に勝って(関東大会の)優勝は初めてですね。
桐蔭学園に50点取って勝つのも初めてじゃないですかね。地元での優勝も初ですね。今、(吉岡)航太郎コーチを中心にものすごく教えています。上半期はそれでいいと思っています。夏から教えるものは教えたはずだ、と自分たちで判断してできるようになってほしい。冬は狙うかどうかベンチの声を聞いていれば勝てない。
選抜の佐賀工業に(1回戦で)負けたのも紙一重の試合だったが、うち弱いはずじゃないぞと。うちも手応えがあった。この時期はどこもタイトで、ベストメンバーじゃないところで、それでも國栃という試合をやらないといけないというところでチーム一丸となってやった。
國學院栃木 福田恒秀道キャプテン

福田恒秀道キャプテン
選抜で佐賀工業に1回戦で負けてから、桐蔭学園に勝つためにどうしたらよいか練習をしてきて、今日このように勝つことができて嬉しいです。
――(選抜での)佐賀工業戦が終わってチームでどんなことを話しあった?
チームとしてまとまっていないということと、自分がリーダーとしてまとめられていなかったので、この規律ということをスローガンというか、テーマにして普段の生活から規律を守ろうということに取り組んでいました。
今まではナアナアになっていて、それがラグビーのプレーにも出ていて、佐賀工業戦でもペナルティーをして負けたのでそこを改善しようとはなしをしました。
――身近なところでいうとどんなところ?
部室の使い方とか、時間を守るとか、挨拶とかそういうところから変えて、練習にも活かそうとはなしました。
――そういった話はリーダーを中心に話した?
はい。ヘッドコーチの(吉岡)航太郎さんからも、このチームをどうするのかリーダーで話し合えと言われて、リーダーで話し合って決めました。
――今日の試合ではボールをスペースに運ぶことができていました、今振り返ると何がうまくいった?
桐蔭学園さんと対戦する時は、FWゴリゴリのバトルというよりかは、自分たちのBKの外側のランナーを活かしてどんどん外へ展開しようというのは、前から練習していたので、それが出したかなと思います。
――試合をやっていく中でどの時間帯から手応えがありましたか?
前半の最初のプレーから手応えはありました。最初、点取って、その後のキックオフレシーブから外へ展開できるなというのはあったので、思い切って攻めようという感じでした。
――キャプテンは花園を経験して、先輩たちのチームを見てきたと思いますが、自分がキャプテンをする難しさやうまくいかない部分はありますか?
去年のチームはほぼ3年生がFWで主体でした。BKは今年も結構残っているんですけど、何ていうんだろう、去年は一体感があって、FWのリーダーがしっかり引っ張って試合出来ていたんですけど、今年の春シーズンはそれがあんまり出来てなかった。
そこでどうやってチームに一体感を出して、全員が体を張れるチームを作ろうかなというのは結構悩んでいました。
――今FWのリーダーは?
小田部(祐太)という今、怪我していて選抜が終わってから手術して。今日16番のPR神田湊喜の2人です。小田部は怪我をしているので、ラインアウトの分析だったり、外側からしっかりチームをまとめてくれています。神田はずっと怪我していたんですけど、最近復帰してまだスタメンではないですけど、Bチームからチーム力を上げるように頑張ってくれています。
――今日のような大差のゲームをした後、チームにあらためてどういうメッセージを送りますか?
ここまでいい準備は確かにできてたんで、そこはしっかりみんなを褒めながらもう一回このままじゃ花園勝てないというのを全員に話して、これから課題を見つけて解決していくような方向にチームもっていきたいと思っています
――キャプテンとしてチームを率いて花園を目指すというのは、これまでとは違いますか?
去年、一昨年は自分がどうチームに貢献できるかというか、自分がどう活躍するかをずっと考えていたんですけど、今年はチームのことを考えながらも、自分のパフォーマンスを出すというのは結構難しいと思います。後悔しないようにチームは、仮に自分がいなくても一定したパフォーマンスを出せるようなチームを作っていきたいです。
國學院栃木 HO神田湊喜バイスキャプテン

神田湊喜バイスキャプテン
スクラムもモールも自分たちのやるべきことをしっかりやって、優勝という結果になって誇りに思います。
選抜1回戦の佐賀工業戦でFWが思うようにプレーできなくて、悔しい結果になって、ここまで全員で話し合っていろいろ変えるものを変えて挑んだことがことがすごく良かった。
桐蔭学園 藤原秀之監督

藤原秀之監督
(負傷者が多かったことは)関係ない。弱いと思います。これがうちの現在の正しい位置です。どうするんですかね? 3年生、新しいチームになっちゃいましたね。ひどかったですね。あらためて正しい位置がわかってよかったです。