1月5日(日)、第104回全国高校ラグビー大会は準決勝2試合が行われた。第1試合は、昨年覇者の桐蔭学園と3大会ぶりの決勝進出を目指す國學院栃木の「関東対決」となった。
昨年2月の関東新人戦では國學院栃木が勝利、関東大会では桐蔭学園が勝利、今シーズン公式戦での対戦は1勝1敗。まさに決着をつける一戦。60分、お互い集中力切れることなく最後までお互いのラグビーを体現し続けた。
先制したのは國栃。前半7分、敵陣22m手前のマイボールスクラムから、桐蔭ディフェンスのギャップをWTB家登正宜がついてそのままトライ。SO神尾樹凜のゴールも決まり7‐0とする。
追いかける桐蔭は前半16分、敵陣ゴール前のラインアウトからドライビングモールを押し込みFL申驥世キャプテンがトライ。SO丹羽雄丸のゴールは決まらず7‐5。
前半22分、桐蔭は申驥世のジャッカルで敵陣22m内側に入ると、フェイズを重ねボールをキープ。ゴール中央で國栃がノットロールアウェイのペナルティ。桐蔭はショットを選択。丹羽が難なく決めて7‐8と桐蔭がリードする。
準々決勝で大阪桐蔭との激闘をした桐蔭学園は、疲労からか國栃のアタックを受けて食い込まれていく。すると32分、國栃は敵陣ゴール前のマイボールをスクラムのチャンス。SH渡邉がすぐにBKに展開。CTB根岸悠羽が楔となってポイントを作ると、後方からトップスピードで突っ込んできたFL下境洋がトライ。神尾樹凜のゴールも決まって14‐8と國栃がリードして前半を終えた。
後半、追いかける桐蔭は敵陣15m付近のスクラムでペナルティを獲得。さらに敵陣深くへ入る。敵陣22m内側でフェイズを重ねる桐蔭。LO西野誠一朗がラックをピックして縦に仕掛けて、國栃のディフェンスラインが乱れたところ、SH後藤快斗が見逃さず、スペースを付いてトライ。丹羽のゴールも決まり14‐15と1点リードに変わる。
さらに桐蔭は、中盤の攻防から丹羽のショートパントをCTB徳山がキャッチし前進すると、後藤が一度落ち着かせて、FWが縦にアタック。じわじわと前進し、気づけばゴールまであと数m。FWで押し込んだところ10フェイズ目にBK展開。後藤から丹羽、そして古賀とつないで、古賀がタックルを受けながらもゴール右にトライ。ゴールも決まって14‐22とリードを広げた。
8点差とされた國栃は直後のキックオフから再び攻勢をかける。シンプルに真っ向勝負をする國栃に対して、桐蔭も自陣10mを超えさせない。15フェイズを超えるアタックも、桐蔭・丹羽がジャッカル。國栃の前進を食い止めた。
互いにスコアを奪えぬまま後半33分、桐蔭がスクラムでペナルティを獲得。ショットを選択する。丹羽が落ち着いて決めて試合終了。14‐25で桐蔭学園が勝利し、2年連続の決勝進出を果たした。
桐蔭学園 FL申驥世キャプテン
——試合を振り返って
やっぱり國學院栃木さんが粘り強いディフェンスと接点のところでプレッシャーがかけてきて、自分たちは最初ちょっとプレッシャーを受けたんですけども、こういう展開を想定してたんで、もうミーティングで決めた通り、迷わずフォワード、バックスともに体を当てていこうって話をしていました。
――勝因は?
今日も入りが悪くて7点をすぐ取られてもう一本取られましたけど、展開していく中でボールつなぎのところだったり、接点のところ、基礎的なところをずっと続けてってそうしたら、チャンスが巡ってきたんで、そういう地道な自分たちの基礎的なプレーを続けたことが勝因かなと思います。
――試合中、声かけがすごい大きかった。意識していることは
やっぱり厳しい展開になると、どうしても黙ってしまったりとか、暗い雰囲気になってしまうんですけど、そこをチャレンジしようっていう、気持ちが大事だと思うんで。そこは下がった時に自分は声をかけることを意識しています。。
――チームの雰囲気はどうですか?
花園で一戦一戦積み重ねて勝っていくうちに、自信もついてきましたし、反省もありますけど、本当に厳しいゲームを乗り越えてきてるんで、チームはいい雰囲気になってきてるかなと思ってます。
――連覇まであと一つです。どんな試合にしたいですか?
何度も言ってるんですけども、連覇は去年と合わせてのものなので、今年のチームは今年のチームらしく、59期、自分たちの強み、やりたいラグビーを存分に出して、もう決勝ってのを意識せずに次の一戦どちらが上がってきても全力でやりきって最後勝てればいいと思います。
ーー今回はかなり攻撃力の方も強み。
そうですね。自分たちの代はフィットネスとボールスキルと判断力というところが強みだと思うんで、そういうボール動かすラグビー、アタックっていうのは、自分たちの強みかなと思ってます。
――今日のテーマはどんな感じ?
今日のテーマは、自分たちがボールを持った時には、(國學院栃木の)ディフェンスは硬いんですけども、そこへ体を当てるところと、押し込むところ、ボールを持って前に出るところを意識しました。
――体はきつかった?
そうですね。連戦ですし、國學院栃木さんの接点がもう本当に強かったんで、特にフォワードは体力的にも肉体的にもきつかったのかなと思います。
――この後決勝頑張れそうですか?
あと一試合だけなんでもう本当に力を振り絞って、全力を出したいと思ってます。
――去年と気持ちは全然違う?
全然違います。
――どう違う?
去年はどちらかというと決勝に対してワクワクしたというか、ずっと憧れてたんで、思い切りやりたいな、早く出たいなと思ってましたけど、今年はやりたいのはありますけど、このチームで勝ちたいという思いがあります。
一回冷静になって、次のどっち上がってくるかわかんないですけど、大阪勢との決勝は絶対厳しいものになると思うんで、しっかりミーティングを積み重ねて、自分たち最後の試合なので、そこで後悔のないように全力で準備していきたいなと思っています。
決勝は、どんな雰囲気の中でも、自分たちのラグビー、強みをいかに出せるかとかだと思うんで、そこを振り返って自分たちの色を出していきたいと思います。
――先輩の佐藤健次(早稲田大学)君は、大学日本一をかけてる。どんな姿を先に見せたいか。
僕はただ憧れてるだけなんで。桐蔭学園へ花園出発する1、2週間前に一回来てくださって、応援もしてくれて、スパイクも僕にくれて応援してくれてるんで。自分がまず勝ちたいと思ってます。
――サトケン(佐藤健次)だけ?
いや、早稲田のOBが10人ぐらい来ました。
――大学在学中の?
そうです。矢崎(由高)くんとか城(央祐)くんとか、もういろいろ。
ーーなんか言葉もらった。
マジ頑張ってって。写真も撮ってもらいました。
――憧れてきた桐蔭でキャプテンで決勝。
いろいろ感慨深いところもありますけど、それは先輩たちというよりは、もう自分たちが新しい桐蔭の代表だと思ってるんで、新しい歴史を作るっていう意味でも、本当に自分たちのラグビー、もうずっと言ってますけど、強みをもう一回振り返って何をするのか、決勝でそんな多くのことはできないと思うんで、自分たちのできることだけやりたいと思ってます。
桐蔭学園 CTB坪井悠
勝ててホッとしています。CTB12番の松本さんが怪我しちゃって、自分が入ったときにどれだけできるか心配だったんですけど、新里さんとか、(丹羽)雄丸さんとか、自分に声をかけてくれてすごく楽に試合に行けました。ピッチに入ったときは「やってやろう」という気持ちで松本さんの代わりじゃないですけどもそれ以上のプレーしようと思って、しっかり準備をして、3年生に次のステージを渡してあげたかったんで、そういう気持ちで頑張りました。
桐蔭学園 NO8新里堅志
今日の試合でできたことは体を張るということと、常に声を出し続けるというところで、やっぱり後ろから状況が見えているので、前に選手に対して情報を伝え続けるというところと、前回の試合はタフで、今日の試合は自分たちもボールキャリーで前に出れなくて、相手のタックルが突き刺さってディフェンスを強いにしているチームだなということを改めて感じました。その中で自分たちがディフェンスしているときのコミュニケーションだったり、プレーが切れたときのコミュニケーションだったり。相手のエネルギーよりも高いエネルギーで勝負するにはそういった部分が大事だと思ったので、やり続けました。
2年生の坪井だったり、WTBで入ってきた西元だったり3年生の試合に2年生が出るのはすごく難しくてそれは去年自分が経験していたので、動揺しちゃう部分もあると思ったのでそこを自分が落ち着かせて、ネガティブ要素を払拭して、常にチームが明るくポジティブになるよう、どんなプレーがであっても切り替えるように意識しました。
自分の持ち味はフィジカルの部分で、体張って、チームの最前線に立って常にプレーし続けて60分終わった後に自分たちが最後は笑顔で追われるように、決めたことを漏らさず準備して全員で決めて、そこをやりきりたいなと思っています。
國學院栃木 笹本直希キャプテン
やっぱり花園、國栃の歴史の中でベスト4、3位っていうのは、片手で数えるぐらいしかないので。まあ、そういったところで(3位は)名誉ですけど、自分たちが優勝のカップとか、賞状とかをもらいたかった。悔しい思いでいっぱいです。
後半になるにつれて、自分たちのディフェンスが崩れ始めて。 敵陣に入った時もアタック、ブレイクダウンが安定しなくて、ペナルティ取られたり、前半からラインアウトがあんまり取れてなかった。悔しいところにあげる場面はいくらでもありますけど、やっぱり要点を挙げるとすれば、3つですね。
――前半は前に出れたけど後半前に出れなくなったのは何が足りなかった?
桐蔭学園さんはどんどんもう攻撃が全然、前半からずっと劣らずにずっと高いレベルでやってきて、自分たちのディフェンスが少しずつやっぱり体力が落ちるごとにクオリティが低くなってた。自分たちの悪いところへ走り込んできた。もっとタックルの練習してればって、今になって後悔しています。
――監督にはどんな言葉を
結果を残せなくてすみませんって言いたいんですけど、多分謝ったら怒られると思うので、今までの感謝をしっかりと伝えたいです。
――吉岡航太郎コーチには?
航太郎さんも自分が謝ったりしたら、確実に「なんで謝るんだよ」って言ってくれると思うので、しっかり感謝を伝えて、最後は握手して今までの恩を言葉に託したいです。