ワールドカップの「中3日」を考察する−日本がスコットランドに敗れた過酷な日程の源流と未来 | ラグビージャパン365

ワールドカップの「中3日」を考察する−日本がスコットランドに敗れた過酷な日程の源流と未来

2015/09/29

文●大友信彦


「おかしいよね」 「ひどいよ」 「不公平だよ」
この1週間、何度も、いろいろなところから聞かれた台詞だ。
それは日本語だけではない。英語でも、フランス語でも(英訳経由だが)聞かれた。
何について?
ラグビーワールドカップの、日本が強いられた日程についてである。

過酷な条件でも勝利できる力をつけていた日本だったが…

ブライトンでの歴史的な勝利!

ブライトンでの歴史的な勝利!

9月19日、ブライトン。南アフリカを死闘の末に破った日本の戦いぶりは、世界中から称賛を浴びた。ラグビーワールドカップ史上、いや、ラグビー史上、いや、それでも足りない、世界のスポーツ史上、最高の番狂わせだ。そんな声さえ聞こえた。
そんな称賛を得た日本が、次は中3日の強行日程で、強敵スコットランドとの戦いを強いられたことについて、多くの人が「不公平だ」と声をあげた。日本は前半は互角に戦ったものの、後半早々に攻撃の柱たるNo8アマナキ・レレイ・マフィが負傷退場すると、じわじわと後退、10-45というスコアで完敗したのだ。


「この日程は日本にとって酷すぎた」

多くの人がそう言ってくれるのは、少し嬉しい。
そりゃあ、何を今さら、という思いがゼロなわけではないけれど。

ニュージーランドのような「伝統国」も格下のナミビアとはいえ中3日の日程で戦った(写真はアルゼンチン戦)

ニュージーランドのような「伝統国」も格下のナミビアとはいえ中3日の日程で戦った(写真はアルゼンチン戦)

実は今大会は、これでも「まとも」になった方だ。それは、これまで弱小国というか、非・伝統国にだけ押しつけられていた中3日のウィークデーマッチを、上位国・伝統国も分担するようになったということだ。日本に中3日を強いたスコットランドは、次は中3日でアメリカと対戦した。前回優勝のNZはアルゼンチンとの初戦から中3日でナミビアと戦った。フランスもイタリアとの初戦のあと、中3日でルーマニアと対戦。

南アフリカも、3戦目のスコットランド戦のあと、中3日で最終戦となるアメリカ戦に臨む。その対戦相手のアメリカは、次は中3日で日本と対戦するのだ。

よくみると、いわゆる伝統国は、中3日を受け容れたと言っても、そこは「絶対に負けない」力関係の相手をあてがわれている、という構図が透けて見えるが……これまでは日本も含めた非・伝統国だけが押しつけられていた平日の試合、それに伴う中3日の過酷な日程を、伝統国も引き受けたことはとりあえず進歩と受け止めよう。ここまで責めたら、逆戻りしかねない。

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