「NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26」がいよいよ12月13日(土)に開幕した。東京・秩父宮ラグビー場では、昨季7位だったホストのリコーブラックラムズ東京が、昨季6位の東京サントリーサンゴリアスを迎えた。
前半、相手の激しい接点に苦戦したサンゴリアスだったが、後半、持ち前のアタック力を見せて4トライを重ねて15-29と、開幕戦で勝利を挙げた。
2025/12/13
文●斉藤健仁
MATCH REPORT

サム・ケイン(左)とTJペレナラ(右)
序盤、持ち前のアタックを仕掛けるサンゴリアスに対して、ブラックラムズはNO8リアム・ギルらが接点でファイトし、スティールを決めるなどして得点を許さない。
先に得点を挙げたのはホストのブラックラムズだった。PGを決めた後、の前半23分、ラインアウトからのサインプレーかからFBアイザック・ルーカスが左中間にトライ(8-0)。

テビタ・タタフ
32分、サンゴリアスも反撃し、副将SH流大のパスを受け、チームに復帰したNO8テビタ・タタフがトライを挙げて8-7で前半を折り返した。

後半9分、ブラックラムズが自陣のラインアウトからサインプレーでCTBラズロー・ソードがラインブレイクし、そのまま走りきってトライを挙げて15-7とリードを広げた。
ただ、サンゴリアスは下を向くことはなかった。キックを使い、しっかり敵陣で戦うことを徹底する。すると22分、チャンスでWTB尾崎晟也がトライを挙げて15-12と3点差に迫る。さらに23分、キックカウンターからFB松島幸太朗がゲインし、ショートパスをつないで、途中出場のNO8ショーン・マクマーンがトライを挙げて、ついに15-19と逆転した。

ショーン・マクマーン
そのまま勢いにのったサンゴリアスは、28分、キックをキャッチした相手にFB松島がタックルし、そのボールを味方がターンオーバー。途中出場のHO宮崎達也が飛ばしパスを決めて、最後はWTBチェスリン・コルビがトライゾーンに押さえた。さらに39分、相手にイエローカードが出て、数的有利となるとスクラムからボールを継続、最後は途中出場のCTB中村亮土が右中間にトライを挙げてノーサイドを迎えた。

松島幸太朗のタックル

宮崎達也の飛ばしパス

チェスリン・コルビのトライ

後半たたみかけたサンゴリアスが3トライ差をつけて15-29で勝利し、勝点5を獲得した。一方ブラックラムズは勝点を得られなかった。
ランにタックルに好パフォーマンスを発揮したFB松島幸太朗

松島幸太朗
前半、リコーのいいプレッシャーをかけられたが、そこでパニックならずに、自分たちの時間が必ず来るっていうのを信じて、自分たちは自分たちのラグビーをするというのを貫き通せたかな。
――前半もう少し得点取れたのでは
前半、もう1本くらい取れたらなあという感じはありましたけど、開幕戦っていうこともあって少し固い部分と、リコーも良いチームなので、そういう簡単にはいかないなという感じです。
――後半10分くらいから良い流れになった
敵陣でプレーして、自分たちのリズムが作れた。前半で結構、裏を通してという形が多かったので、キックで陣地取って(という感じだった)。
――個人としても調子が良かった
この2年間、アキレス腱がずっと痛かったので、今それがだいぶ消えてきて、気にならずにプレーできているかなと思います。いろいろやってはいますね。治療だったり、トレーニングだったり。どれがよかったのか、いまいちわかんないですけど、今やっていること続けてみようかなと。

――開幕戦で勝てたことは?
開幕戦で勝つということは勢いに乗れるチャンスもあるんで、今日の勝ちを無駄にせずに、しっかり繋げてやらないと意味がないので、あの単発で終わらずにチームとして継続していきたい
――昨季の6位から順位を上げるために、チームとしてやってきたことで、今日の試合で出せた部分は?
フィジカルの面で前半ちょっとやられてしまって、プレシーズンそこをずっとやってきたので、後半から修正できて、自分たちの自信がどんどん積み上げていったのが後半じゃないかな。ブレイクダウンのところはちょっと、終始やられた部分ありますけど、ボールキャリーで簡単に倒れなかったり、空いたスペースにしっかりボールを持っていくプロセスが後半、前半もよかったですけど、後半はそれをちゃんと仕留めることができてトライにつなげることができた。

――プレシーズン、メンタル的なことも取り組んだそうですが
チームとしてパニックにならないっていうのが一番大事だと思って、トライを取られても気にせず、試合中はしっかり次のこと考えて切り替えるところはできたかな。
――どうして切り替えることができた?
リーダー陣、サム・ケイン、流、(高本)幹也がハーフタイムに限らず、しっかりとコミュニケーションがあった。
――チームの課題は
今日、明確に出たのは、ブレイクダウン。そこをやられてしまうと自分たちはアタックチームの良さを取られてしまう。しっかり修正していかないと、このチームも狙ってくるかなと思う。2人目、3人目の寄りを早くしない相手の良い選手にジャッカルされてしまうので修正したい。
副キャプテンSH流大

流大
リコーさんのフィジカルは想定していた通りだった。ボディーブローのようにアタックし続けて、後半つき離すプランだった。前半トライはトとれなかったが焦りはなかった。我慢比べになるなと思っていました。
――前半もう10点くらい取れれば楽に試合を運べたのでは?
緊張もありましたが、どうしても開幕戦はこういうゲームになるので、僕とか松島とか、後半出た(中村)亮土さんとかがコントロールできたかな。
――後半、ラスト30分はサンゴリアスペースでした。
ハイボールに勝てたのはすごく大きかった。WTBコルビ、WTB尾崎がハイボールに勝って、相手が手詰まりになったときに松島がカウンターで仕掛ける。プラン通りだった。相手陣22m入った後の遂行力も良くなった。
後半、自陣であまりボール持ちすぎないようにという話をしていた。相手陣に入ったときにギア上げていけばトライを取れる、敵陣でギア上げることを意識した。

サム・ケイン
――ケインのキャプテンシーは
彼のキャプテンシーは右にでるものはいない。僕は僕のキャプテンシーとプレーで引っ張る。あとは日本のクラブの日本人としてプライドの部分で、ケインが言うよりも僕が言った方がいいと思うので僕が担当している。

――開幕戦で勝利できたことは?
大きいと思います。ただ、先を語れるほどリーグワン甘くないので、次のトヨタ戦しか見ていない。明日はオフですが、月曜日の練習にフォーカスすえるだけだと思います
――SH福田選手とのポジション争いは?
上がってきてほしいなと思いますが、
(9番は)譲らないですよ!
SCOREBOARD
リコーブラックラムズ東京
東京サントリーサンゴリアス
斉藤健仁スポーツライター。1975年4月27日生まれ、千葉県柏市育ち。印刷会社の営業を経て独立。サッカーやラグビー等フットボールを中心に執筆する。現在はタグラグビーを少しプレー。過去にトップリーグ2チームのWEBサイトの執筆を担当する。リーグワン、日本代表を中心に取材。 プロフィールページへ |

斉藤健仁