今シーズン、小野晃征HC体制となり新体制で挑んだ東京サンゴリアス。開幕から勝利に恵まれず苦しい出足となったが、終盤から勝ちきれる試合を続け6位でプレーオフ進出を果たした。

後半尻上がりに調子をあげてきたサンゴリアス
準々決勝の相手は3位クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、リーグ戦では1勝1分。前回の対戦では10-30と完敗。ただ、その時は雨が降っていて、サンゴリアスのアグレッシブアタッキングラグビーが出しにくい状況でもあったし、チームも成長の過程だった。一発勝負のノックアウトマッチでどんな戦いをするのか注目された。

キャプテン・堀越康介の体を張ったプレーが随所に見られた
互いに激しいフィジカルバトル、さらに粘り強いディフェンス勝負前半はノートライで0-3とスピアーズがリードして折り返した。サンゴリアスとしては自陣ゴール前に貼り付けになる時間帯が多く、粘り強く守りきったという印象が残った。前半20分に敵陣ゴール前のラインアウトからモールを押し込みNO8箸本龍雅がトライかと思われたが、TMO判定の結果、幻となった。

前半20分NO8箸本龍雅のトライかと思われたがTMOの結果ノートライに

スタンドには、勝者が次の相手となる埼玉ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督の姿も
後半、サンゴリアスがワンチャンスをものにする。44分、NO8箸本龍雅が敵陣10m付近でポイントを作るとSH流大は巡目に展開。スピアーズのディフェンスラインのコネクトがきれた隙間を抜いて裏のスペースに松島幸太朗がグラバーキック。

箸本龍雅がポイントを作る
スピアーズは藤原忍と押川敦治がチェイス。サンゴリアスはイザヤ・プニヴァイがチェイス。さらに大外からものすごい加速でチェスリン・コルビがチェイス。左サイドからバーナード・フォーリーもカバーに入るが間に合わず、コルビがボールをキャッチし右隅にトライ。まさにインターナショナルなプレーでサンゴリアスが先制した。

チェスリン・コルビがボールをグラウンディング。

コルビが自らゴールを蹴る
これで勢いに乗っていきたかったがスピアーズはその直後、WTB根塚洸雅のトライで10-5と再びリード。ここからゲームが動き始める。53分、サンゴリアスはLOサム・ジェフリーズを投入。敵陣ゴール前のラインアウトでロングスローを予想される位置でサンゴリアスFWが固まる。すると堀越康介がサインプレーでスペースができた位置に走り込んできたサム・ケインにパス。そのままケインがトライ。見事なプレーで再び逆転。

ラインアウトからサインプレーでサム・ケインが抜けて

サム・ケインがトライ


コルビがゴールを決めてサンゴリアスが逆転
スピアーズも譲らない、1トライ1ゴール、さらに廣瀬雄也のPGで20-12と8点差とすると73分、サンゴリアスは敵陣でペナルティ。ショットを選択。コルビが蹴るも失敗。得点は変わらず。さらに77分、再びサンゴリアスがPG。コルビが再びチャレンジ。今回は成功し20-15。残り3分で5点差で最後の勝負を迎える。サンゴリアスは1トライ1ゴールで逆転できる点差。スピアーズも最後まで集中力切らすことなく守りきりノーサイド。サンゴリアスの今シーズンの挑戦が終わった。

61分のPGは失敗

73分のPGも失敗

準々決勝は6900人と少し寂しい集客となった

77分チェスリン・コルビがPGを決め再び5点差

箸本龍雅と福田健太
東京サントリーサンゴリアス 小野晃征HC

小野晃征HC
――どうやって戦おうとした?
セットピースで組み立ててくるチームなので、それに対して、セットピースで粘って、我慢する。我慢した結果、3-0で折り返せた。そこはチームのエナジーになったと思います。ボール持ったときには、ボール動かして、前回、花園で戦ったときの修正点 としてラン、キックのバランスが上手くいかなかったが、今日は、そこの割合は良かった。少ないチャンスで点は取れたかな。

森谷圭介のキック
――プレーオフなのでエリアを意識して戦った
ボールが常に動いているのがサンゴリアスだと思うので、ラン、キック、パスのバランスを使いながら、空中戦で勝てる選手がいたので、そこのバトルも上手くいった。そういうゲームの組み立てで1週間準備してきた。
――ハイパントキックを上手く使った
シンプルに陣地取りのゲームなので、ボールを外に回してチェスリンがトライもできたし、キックを使っても取れたし、ラインアウトでも取れた。いろんな点の取り方 が大事だと思っていたが、結果を見ればクボタさんの方がチャンスで取り切ったのかなと思います。
――前半最後にPRを交替したが
ケガもコンディションのところもあって、前半、何本スクラム組んだが覚えていなかったが、人を変えてエナジーが出てくるし、人が変えるだけでマインド変わるとその選択をしました。

――ヘッドコーチ1年目を振り返って
自分が一番成長しないといけないと思っています。今日は6位対3位で、6位という順位は、シーズン通して一貫性が足らなかった。3位の方が一貫性を持って1年を戦った。来シーズン、もっと一貫性をもって アタックとディフェンス、シーズン最後にディフェンスという話しではなく、ボール持っていて持っていなくても、アグレッシブに一貫性を持ったチームを作らないといけない。

流大
――ハーフ団の交替時間は悩んだ?
残り10分で、2スコアということで、何か変えないといけないと思った。福田 髙本はテンポを変えられる選手です。ゲームの組み立ては森谷は素晴らしかったが、同じテンポ、捌きではなく、どこかのタイミングで変えないといけないと思っていた。相手も 大人数変えてきたので、それを見ながらうちのベストのメンバーで戦おうと思っていた。 勝つ瞬間はいっぱいあったと思うが、3点 取れるチャンスが何回かあって、その流れに 蹴っていたら、違う点数、プレッシャーになっていたかもしれないが、これが勝負の世界なので、自分も学んでこの経験を活かしていきたい。

チェスリン・コルビ

ハリー・ホッキングス

サム・ケイン
――WTBコルビ以外のキッカーの選択肢もあった?
チェズ(コルビ)はなんでもできる選手で、ギリギリのところで外してしまったが、それ以外の貢献は大きく、みんなチームに貢献していた。
最後に、スピアーズのみなさま勝利おめでとうございます。1シーズンを通して、ホームでもアウェイでもテレビで見てくれているファンの方も選手の力になっていました。引き続き、選手たちも頑張ってもっと強いサンゴリアスを作っていきます。今シーズンはありがとうございました。
東京サントリーサンゴリアス HO堀越康介キャプテン

堀越康介キャプテン
――80分、ディフェンスでファイトしました
前回のパナ戦からフィジカルのマインドを変えた。2人でまず絶対に入ることと、2人目がファイトし続けてブレイクダウンでカオスを起こし続けることにフォーカスして1週間、取り組みました。スローダウンにして、前に出続けることができて、今日は良いディフェンスができたと思う。
――前半0-3で終えた。ハーフタイムの声かけは?
前半ずっと守って、プレッシャーをずっとかけられたが良いディフェンスで耐えた。マインド的にも体的にも相手の方が疲れているなと思った。後半のファーストプレーとファーストコンタクトで勝とう、相手をスマッシュしよう、1分、1分で勝っていこうという話をした。(ハーフタイムでは)いけるなと思っていた。

下川甲嗣
――良いディフェンスができたが
アタックが良くてもディフェンスが良くないと強いチームと言えないので、そこは来シーズンに向けての課題かな。このディフェンスをコンスタントに一貫性持ってできれば、優勝候補になると自信をもっているので来シーズンはやっていきたい。今日はクボタさんのオレンジの壁が厚くて、僕らがゴールラインを割れなかった。そこだけかなと思います。
――後半21分、12-10の場面、ラインアウトではなくショット
事前のリーダーズの話で、あのゾーンでPGを狙うとなっていた。ただチェスが傷んでいて、蹴られないならタッチに蹴って22m入った時のストラクチャーをやろうと思っていた。チェスが戻ってきて蹴られるということでPGを選択した。チームのベストなキッカーなので、彼を信頼してキックを選択した。FWはいこうぜという感じだったが、そこは落ち着かせて、点数と展開を見てPG一択でした
東京サントリーサンゴリアス SH流大

流大
まあ、負けですね。スピアーズがやっぱり強かったです。それに尽きると思います。前半、もう少しアタックの機会を作りたかったんですけど、自分たちのエラーでその機会を失ってしまって。ポゼッションやテリトリーもほとんどスピアーズだったと思うんですけど、ディフェンスの部分でのプライドは特に見せれたと思います。

オーバーアタックになってしまうと体力を失って相手が大きいので、相手のペースになってしまうと途中で感じて、僕と森谷でもう少し上にあげて、こっちも松島やコルビは空中戦強いのでそこでちょっとモメンタム作ろうと少し切り替えました。
東京サントリーサンゴリアス WTBチェスリン・コルビ

チェスリン・コルビ
正直なところ、残念です。ディフェンスはうまくカバーできたと思います。バックラインのとのコミュニケーションも良好でした。もちろん、ボールを持って走るチャンスはありましたが、判断は良かったと思います。キックが入らなかったというところは、自分としては悔しいところですけど。

ディフェンスでのバックアップも素晴らしかったコルビ
今シーズンを振り返ると、最終的には、一貫性が足りなかったと思います。浮き沈みが激しいシーズンだったと思います。それでもシーズンの最後の方はパフォーマンスが上がってきて、サンゴリアスのラグビー、プライドを見せることができたので、そこには満足している部分もありましたけど、やはり来季に向けては一貫して良いパフォーマンスを出していかないといけないと思う。
自分とサンゴリアスとの契約はもう1年残っているので、来シーズンもしっかりと貢献したい。このクラブ、チームメイト、マネジメントは私にとって特別なものなので、できればずっとこのチームにいたいと思っています。