12月17日(日)、味の素スタジアムでリーグワン第2節の「府中ダービー」東京サンゴリアスvsブレイブルーパス東京の一戦が行われた。
開幕節ではサンゴリアスが昨季王者のスピアーズに、ブレイブルーパスは静岡ブルーレヴズに快勝し、ともに王座奪回に向け好スタートを切った。両チームに加わった世界的ビッグネームも開幕節から大活躍したことで注目度も高まり、味の素スタジアムには3万人を超える大観衆が詰めかけた。
2023/12/19
文●大友信彦
12月17日(日)、味の素スタジアムでリーグワン第2節の「府中ダービー」東京サンゴリアスvsブレイブルーパス東京の一戦が行われた。
開幕節ではサンゴリアスが昨季王者のスピアーズに、ブレイブルーパスは静岡ブルーレヴズに快勝し、ともに王座奪回に向け好スタートを切った。両チームに加わった世界的ビッグネームも開幕節から大活躍したことで注目度も高まり、味の素スタジアムには3万人を超える大観衆が詰めかけた。
一方のブレイブルーパスは、キックオフで相手陣に入ると身上のフィジカルの強さ、腕力の強さでリズムを掴む。キックオフ直後にLOピアスがホッキングスからボールを奪い、PKを獲得。そこからゴール前ラインアウトに持ち込むと、モールを押しておいて、ブラインドサイドを突いたSOモウンガからオフロードパスを受けたWTB桑山淳生が左隅にトライ。モウンガが左隅のコンバージョンも決め7-3と逆転する。
サンゴリアスは15分、中央付近での混戦でサンゴリアスのケインからFL佐々木剛がボールを強奪したが、そのあとのイーブンボールを掴んだWTB尾崎晟也が相手ゴール前へ攻め込み、PKを得ると髙本がPGを成功。6-7と追い上げる。
拮抗した展開が傾いたのは18分からだ。ハーフウェーでのスクラムでブレイブルーパスがPKを獲得。そこからキックの蹴り合いで地域の取り合いになったが、22分、ブレイブルーパスSOモウンガが右サイドのWTBナイカブラへ鮮やかなキックパス。ナイカブラはカバーに来たコルビをチップキックでかわし、松島幸太朗と競り合いながら相手ゴール前で弾んだボールを掴んで右隅へ、早くも今季5号トライを決める。
さらに31分、ブレイブルーパスは再び相手ゴール前に陣地を進め、ラインアウトモールを押してトライを狙うが、レフリーの「Use it」の声の後も押し続けてしまいターンオーバー。だがこのスクラムからボールを持ちだしたサンゴリアスNO8ケインの「8単」にモウンガ、佐々木、リーチが群がって止めてダウンボールを許さず落球させ、HO原田が拾って出たところでPR1木村がリップパスをもらい、そのままゴールポスト下へダイビングトライ。モウンガがコンバージョンも決め19-6とリードを広げる。
ここでサンゴリアスはSH流がヘッドコンタクトによるHIAで齋藤直人と交替。次のキックオフから左サイドをCTB尾崎泰雅が前進してPKを獲得すると、今度はショットを狙わずラインアウトに持ち込み、ここからのアタックでWTB尾崎晟也が右隅へトライ。髙本がコンバージョンを決め、サンゴリアスが13-19と追い上げて前半を終えた。
追い上げて折り返した後半もサンゴリアスが攻勢に出た。齋藤の素早いパス捌きからフェイズを重ねてアタック。44分には松島がブレイブルーパスゴールに迫るが、しかしブレイブルーパスの重く強いコンタクトの前にトライを取りきれない。それでも48分、ハイパントを捕球したモウンガにサンゴリアスFL山本凱が猛タックルを浴びせてノックオンを誘って敵陣ステイに成功。51分に正面約35mのPKを獲得するとショットを選択し、髙本が蹴り込み16-19の3点差に追い上げる。
追い上げられたブレイブルーパスは、次のキックオフからLOディアンズが再三キャリーするなどFWが次々に縦突破を仕掛けるフィジカルアタックでサンゴリアスDFに圧力をかけ、58分、モウンガが右ゴール前の空いたスペースにコントロールされたキックパス。途中出場の伊藤鐘平がノーバウンドで捕球すればそのままトライ濃厚な場面だったが、ワンバウンドさせた間にサンゴリアスはSH齋藤、WTB松島が戻って止める。しかしここでペナルティー。
ブレイブルーパスはHO原田がクイックタップで仕掛け、ゴール前に殺到。さらにリーチがゴールに肉薄すると、ピックしたFLフリゼルがタックルを受けながら粘って右隅へ。足も使ってグラウンディングを阻もうとする松島の必死のタックルをかいくぐってボールを押さえてトライが認められると、モウンガが難しいコンバージョンも成功。26-16の10点差にリードを広げた。
リードを広げたブレイブルーパスはさらにFWの連続縦突進で攻め立てるが、後のなくなったサンゴリアスも必死にディフェンス。65分、ブレイブルーパスSH小川のキックがデッドボールラインに出てしまい、ハーフウェー付近のスクラムでPKを得たことからサンゴリアスが相手陣に侵入。しかしラインアウトモールでルーパスLOピアスのチョークタックルを受けてモールアンプレアブル。
そのスクラムからのハイパントを捕球した尾崎晟也をCTBトンプソンが捕まえてアンプレアブル。この場面はサンゴリアスボールでの再開となったが、サンゴリアスはワンチャンスで追いつかない10点差のまま、得点を挙げられずに時間が経過する。75分、サンゴリアスは正面10mでPKを得るとまずPGを選択。髙本がPGを決め、1T1Cで追いつく7点差に追い上げる。
しかしそこまでだった。サンゴリアスはキックオフレシーブからPKを獲得して相手陣に攻め込んだが、77分、スクラムが崩れた際に首を強打したPR石原慎太郎が担架で退場。スクラムからのサンゴリアスのアタックもブレイブルーパス防御の圧力に阻まれ、打開できないままフルタイムのホーンが鳴った。
最終スコアは26-19。ブレイブルーパスは開幕2連勝、勝点を10とし、得失点差でワイルドナイツに次ぐ2位に浮上。敗れたサンゴリアスも7点差以内の負けでボーナス点1を獲得。勝点6とし5位となった。
「素晴らしい試合、とても大事な試合に勝ったリーチはじめ選手たちを誇りに思います。準備してきた部分を細かいところまで発揮できた。中でも一番誇りに思うのは、フィールド上で選手たちみなが互いのためにハードワークをし続けてくれたこと。ラインアウト、セットスクラム、ブレイクダウンでしっかりやってくれた。あとは相手のPR選手のケガが大丈夫であることを祈ります。また、たくさんのお客様に来ていただいて、最高の環境のもとで試合をできたことに感謝します。あとはディシプリン、ペナルティーを与えすぎたことは反省点として改善したい」
「今日は3万人のお客さんの前でプレーできて嬉しかった。トッドHCも言ったように、お互いに一番意識している相手との試合で、府中のみなさんの前で良いゲームを見せることが出来て良かった。ここからシーズンを通して成長していきたい」
「非常に悔しい。相手がやってくることは分かっていたので対策を立てて臨んだけれど、東芝の一番の強みであるフィジカルバトルの部分で後手に回ってしまってトライをたくさん取られてしまった。東芝さんの強さが際立ったゲームになってしまった。ただ、リーグ戦はまだ始まったばかりなので、この敗戦の悔しさ、つらさを受け止めて、もう一度東芝さんと戦うチャンスがあるので、そこに向けて一戦一戦成長していきたい」
「コリジョンバトルの部分でプレッシャーを受けてしまい、自分たちのラグビーができなかった。思った以上にプレッシャーを受けてミスを連発してしまい、ディフェンスでも後手を踏んだのが敗因。ただ、まだまだ始まったばかりなので、今日の学びを次に繋げたい」
大友信彦 (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |