夏の菅平。
合宿中の練習試合で勝ち負けは二の次だ……それはわかっていても、やはり勝敗は気になるものだ。どんなコンディションで戦うにしても、勝つチームには勝つ理由がある。一度ならともかく、たまたまの勝利は何度も続かない。
2022年夏の菅平を全勝で終えたチームは2つあった。
ひとつは大学選手権連覇を狙う王者・帝京大。
そしてもう1校あった。
東海大だ。
8月21日の同志社大戦は58-19で圧勝。
8月25日には天理大も41-19で退け、
夏の最終戦となった8月28日の慶大戦は36-24の勝利。
大学選手権では過去準優勝3回の東海大。初優勝へ機は熟している。
慶大戦は開始直後、慶大がラインアウトモールからトライをあげるなど10点を先行。先手を取られた東海大は17分、ようやく慶大陣深くに攻め込むとラインアウトモールを押してLOワイサケ・ララトウブア(4年)がトライ。21分には再び攻め込むと、SO武藤ゆらぎ(3年)が鮮やかなステップで相手DFを次々と躱してトライ。さらにスクラムを押してペナルティトライを勝ち取り、19-10と逆転して前半を折り返す。
後半も早々の2分に武藤の飛ばしパスからWTB岡村優太(2年)がトライ。14分にはもうひとりのWTB中川湧眞(2年)、19分にはFLレキマ・ナサミラ(4年)もトライを連ね、36-10と大きくリード。慶大もそこから反撃し。ラスト10分に2トライを返し、最終スコアは36-24。東海大からみれば危なげなかったとはいえ、ちょっと失速気味の、反省の残る試合だった。
戦い終えた伊藤峻祐主将に聞いた。
「いい部分も悪い部分も出ましたね」
キャプテンはまず、冷静な言葉を口にした。
「修正するところは修正します。まあ、ここから始まるので、勝って反省できるのはいいことだと思う」
ポジティブなコメントだった。反省点があっても、過剰にネガティブにはなっていない。
「前半はかなりの風下で、いきなり10点を先行されてしまいましたが、そこからしっかり強いプレーを選択して、ペナルティーを取って敵陣へ行って、ラインアウトモールなど自分たちの強みを出す展開に持って行けた。後半、風上に回ってからも最初はうまくエリアを取って、プレッシャーをかけていけた。でもキックミスからリズムが崩れて、タックルも決まらなくなって、相手のペースになってしまったのが反省です」
そういうと、伊藤は自分たちがリズムを失った理由を振り返った。