9月14日、関東大学対抗戦A開幕節、立教大学と早稲田大学の一戦が駒沢公園オリンピックスタジアムで行われた。両チームにとって対抗戦の開幕試合。注目は、代表に招集された、早稲田HO佐藤健次とFB矢崎由高が大学に戻ってどんなパフォーマンスを見せるか、さらに今シーズンの早稲田がどんなポテンシャルをもっているのか。対する立教は、桐蔭学園時代、佐藤と同期の伊藤光希、中優人が1年生からハーフ団を組み迎えた最終学年。どこまで食い下がることができるのか。
前半序盤の20分は立教が食い下がった。6分に中優人のPGで先制。早稲田もWT池本晴人のトライを返すも立教がBKの素早い展開からブレイクし21分に再びPGで6-5とする。「我慢していれば相手側が切れてくるという話が(佐藤)健次や(野中)健吾からありました」(早稲田・SH細矢聖樹)早稲田は冷静に自分たちの形を崩すことがなかった。
29分にゴール前のペナルティからクイックリスタートしたSH細矢がトライを決めて逆転すると、足が止まった立教はミスを連発。33分には、矢崎がトライを決めると37分にも矢崎の突破からCTB金子礼人がトライをきめ26-6とリードして前半を折り返した。
後半の序盤10分、再び立教が息を吹き返した。特にディフェンスが中央によってしまいアウトサイドをブレイクされ早稲田が攻め込まれた。「早稲田のギアをあげたディフェンスは精度が高かった(立教大・伊藤光希主将)」。立教が2度にわたり早稲田のゴール前にボールを運ぶも、早稲田は粘り強いディフェンスでゴールラインを破らせずノートライで凌いだ。
流れをチームに引き寄せたのは矢崎だった。56分、自陣10m付近でボールをもった矢崎は相手のディフェンスギャップに対してチェインジオブペース。一気に加速するとそのままゴール中央へトライ。33-6とリードを広げた。
61分、敵陣10m付近のラインアウトからモールを押し込み、アドバンテージを獲得した早稲田はHO佐藤健次がボールを持ち出しポイントを作る。細矢は右オープンサイドへ展開。CTB金子がブレイク。最後はルーキーWTB田中健想が嬉しい初トライを決め38-6。
勝利が濃厚になったが68分、矢崎がハットトリックのトライを決め45-6とさらにリードを広げる。残りの10分、早稲田は容赦なく攻撃の手を緩めなかった。戦うマインドを見せたのは矢崎だった。75分、ゴール前のラックから相手の不意をつくコースで入ってきた矢崎にフラットパスがつながり4本目のトライ。
試合終了間際にもモールからHO清水健神がトライを決めノーサイド。9トライを奪い57-6で早稲田が大勝。開幕戦で白星発進を果たした。
この試合のPOM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)は4トライと期待に応えた矢崎由高が選ばれた。
早稲田大学 大田尾竜彦監督
今日の試合に関しては少し動きが硬かった。全体的にエナジーが足らないなという印象でした。ポジティブな点は、後半入ったリザーブがかなりモメンタムを持ってプレーしてくれたことが良かった。試合の内奥についてはディフェンスでターンオーバーを連発していたので、そのボールをどう動かすとか、精度のところは重要だと想うが、ここから成長していかないといけないなと思います。
――4トライを決めた矢崎選手の評価
しっかりと自分の仕事をしてくれて、得点をとってくれた。非常に良いプレーだったと思います。自分のギアをいれるところは感心しました。彼とは試合前に、一流の選手になるためにはどのカテゴリーであれ、自分のプレーの質を自分で決める。外的な要因に左右されないという話をしました。今日の試合でも非常に紳士的に取り組んでくれました。
矢崎、(佐藤)健次、は代表から帰ってきて非常によい雰囲気をチームに与えてくれています。早稲田のためにプレーしていますし、矢崎はそういうところを得点という形で見えた。
――1年生で試合に出場した服部亮太について
今にいるメンバーをプッシュしてくれる存在です。明日はジュニア選手権もあります。チームにとって大事なのは1月まで成長し続けること。部内競争が激しくなることだと思っています。彼についてはとにかくキックのところ、普通の人では蹴られない距離を蹴ることができるので。今日はいい仕事ををしていましたし、(試合で見せたロングキックのように)ああいうちょっと練習ではなかなか手に入れられないようなものを持っているので、期待したいます。
――城央祐(1年生)については?
コンディション不良ということで、すぐに戻ってきます。
早稲田大学 佐藤健次キャプテン
今日の試合は初戦ということでコミュニケーションを意識してやっていたんですが、試合の前半のところだったりキーとなるプレーでミスが目立った試合でした。結果的にトライされず勝利ができたのはポジティブだと思っています。もっと精度を上げられる、成長できる点があったので、来週の日体戦に向けてレベルアップできたらいい。
――矢崎選手について
一人いる、いないで展開力が違うし、チャンスのところでしっかり仕事をしてくれました。ラストプレーまで4トライしてくれました。もっと(矢崎)由高以外の足の速いBKがたくさんいるので活かすことができればいい。
――代表から大学に何を持ち帰ってきた
特別なものはなくて、練習の準備や取り組む姿勢などを意識して取り組んでいます。監督がいうように優勝するチームはこれからどんどん成長できるチームだと思っているので、それに向けて自分自身も圧倒的なプレーヤーにならないといけないと思っています。しんどいときにチームを引っ張れるような選手になりたいです。
――スクラムについて
少し組んだことがないというか、大学によって組み方や圧力のところが違うのでそれに対して自分達がアジャストする力を身に着けていかないといけないとおもっています。
明治や帝京といった、力比べになるようなスクラムとは違うスクラムだったので、そこはアジャストする必要があると思っています。実際アジャストしてスクラムを組めば、自分達の組みたいスクラムをくめたしペナルティもとれた。ただ今日組めなかったから、スクラムが弱くなったと思わないし、帰ったら中谷さんと話してこれからも良いスクラムを組んでいきたい。
立教大学 福田明久総監督
初戦ということもありますが、立教にとっては第96回早稲田との定期戦でした。5勝89敗1分と大敗しているのでチャレンジャーの気持ちで一矢報いたいと思って挑みました。最初の30分と後半最初の15分は前に出る良いディフェンスができたと思っています。それからは早稲田の底力もあって1 vs 1で抜かれて結果として大差がついてしまいました。
対抗戦の初戦で十分戦えると自信がつきました。一戦一戦を大事に次の試合につなげていきたい。
立教大学 伊藤光希主将
立教としては早稲田にアタック、ディフェンスでチャレンジしようと練習してきて、チャレンジできた部分も多くあったが、早稲田の質が高いアタック、ディフェンスを止めることができず相手のペースとなりスコアが広げられてしまいました。これ以降シーズンが続いていくので修正して進化していきたい。
前半チャレンジできたが80分継続できないことが立教の長年の課題だと思っています。今年の立教は大学選手権を目標にしているので、その目標に向かってランニングチェンジしていくことが大事だと思っています。