関東大学ラグビー対抗戦グループが開幕。大学選手権4連覇中の帝京大は駒沢で立大と対戦。48-21で勝利。シーズンをスタートさせた。
2025/09/14
文●大友信彦

帝京大-大町主将

立大-白石主将


帝京大は試合開始のキックオフで敵陣に入るとSH武智のキックチャージで敵陣ステイに成功。3分に左ラインアウトからの右展開でWTB青栁-FL河村とつなぎ右中間に先制トライ。CTB大町主将のコンバージョンは外れたが5点を先制する。

帝京大河村先制トライ
しかし立大はすぐに反撃。SO向井のキックで帝京大陣に攻め入ると、PKを得てはアタックを継続し、フェイズを重ねてSH有賀がトライ。CTB佐藤がコンバージョンを決め、立大が7-5とリードを奪う。
まさかの展開で火が付いた帝京大は直後のキックオフからボールをつなぎ、FLイリエサ、No8平野の突破からCTB大町主将自らトライ&コンバージョンを決め12-7。

立大SH有賀のパス

前半12分、立大SH有賀がトライ

佐藤のコンバージョンで立大が7-5と逆転

帝京大No8平野の突進

CTB大町主将が再逆転のトライ
28分には大町の突破から右WTB青栁潤之助につないでトライ。さらに32分にはスクラムから右8、9で武智から青栁にパスがわたり連続トライ。両肩の負傷から復帰、昨秋の早大戦以来の公式戦出場となった青栁が自ら復帰を祝う連続トライでリードを広げると、36分には自陣からランで仕掛けたSO本橋が右奥へキック。そこに1年生FB吉田琉が猛然と追いついてボールを再確保し、FLイリエサが仕上げ。前半は帝京大が31-7とリードした。

32分、青栁の2本目

36分、SO本橋が自陣からキック

FB吉田琉が長駆追いついて

FLイリエサがトライ
しかし、後半に入ると再び立大が反撃。最下位早々に帝京大WTB佐藤楓が空中タックルでイエローカードを受けると、立大は数的有利を活かして帝京大ゴール前でアタック。No8中山が右中間にトライを返し、佐藤のコンバージョンも決まり14-31とする。

後半、帝京大11佐藤が空中タックルでイエローカード

立大はモールからNo8中山がトライ
帝京大は佐藤のシンビンが解けた54分、左ゴール前のラインアウトからモールを押し込み途中出場のHO三浦がトライ。さらに58分、69分とWTB青栁がまた連続トライ。前半とあわせて4トライの固め打ちで48-14とし、勝負を決めた。

54分、帝京大はラインアウトからHO三浦がトライ

58分、青栁のトライ3本目

67分、トライ体勢に入った帝京大PR森山を立大SO向井が押し出す

69分、帝京大の青栁が4本目のトライ

それでも立大は最後まで反撃。74分に相手ゴール前でフェイズを重ね、途中出場のSH斎藤がトライ。佐藤がコンバージョンも決め48-21とした。
帝京大vs立大は昨季は85-7、そこから遡ると2023年が83-0、22年は88-0、21年は103-0、20年は106-7とワンサイドゲームが続いていた。それと比べれば、大敗とはいえ3トライを奪い失点も50点以内に抑えた戦いぶりは立派だった。

MIPを受賞した立大FL角田

POMに輝いた帝京大WTB青栁

立大の白井主将と関沢監督
帝京大 相馬監督

帝京大の大町主将と相馬監督
「素晴らしい芝の上でゲームをさせていただき感謝します。立教大学さんがマジメでひたむきに良いゲームをしてきてくださって、シーズン初戦でこれだけ厳しいゲームを経験できたのが良かったと、あとで振り返れるシーズンにしたい」

選手を迎える帝京大・相馬監督
――試合内容としては?
「ペナルティーが多かった。そこは辛抱強く戦わないといけない。ゲームを左右するところで一歩引いて、弱いプレーを選択してしまう場面があった。立大に対してフィジカルで負けていたわけではないけれど、修正は必要」
帝京大 大町主将
「相馬監督がおっしゃったとおり、立大の真面目に挑戦してくる気持ちが見えた試合でした。その中で自分たちがやるべきことをやらないとこういう試合になってしまう。前半と後半、それぞれ最初の時間帯に取られたのは受け身になってしまい、ゴール前でのハードワークが足りずにスコアされてしまった。立大は小さなことを大事にきちっとしたプレーで丁寧に試合をしていた印象です」
――相手DFをブレイクしたところでキックを使うチャレンジングなチョイスが目だちました。
「中盤のアタックでどうバランスを取っていくかを考えて組み立てようとしましたが、そこでミスが出たりうまくいかないところがあった。精度をもっと上げていきたい」
帝京大 青栁潤之介(POM)

POMを受賞した帝京大WTB青栁
「昨年に右肩を痛めて手術して、今年の春先に復帰してすぐ左肩を痛めて、きょうが復帰戦でした。正直、9月末のジュニアの慶応戦をターゲットにしていたんですが、こんなに早く復帰できるとは思っていなかった」
――リハビリの間に取り組んだことは何かあったのですか。
「自分に必要なものは何かを考えて、WTBには爆発的なもの、スピードと緩急が必要だと思い、ランニングの加速と減速に力を入れました。そこに関しては、きょうは疲れも出てちょっと出し切れなかった」
「ケガをしていたのが肩だったので、走る練習はできる、そっちを伸ばそうと考えました。フィジカルコーチの人と話し合って、僕は走るときに姿勢が立ちやすいので、前傾して走るようにフォーム改造にも取り組みました」
――お父さんもトレーニングの専門家ですね
「外のディフェンスのところに課題があったので、そこのアドバイスをしてもらいました」
――今日の4トライにはどんな手ごたえを感じましたか。
「トライを自分が取ったという感覚はなくて、良いプレーができたところもあったけど、自分にトライを取らせてくれた周りの選手への感謝の方が強いですね。ロビー・ディーンズさんから『自分がいいプレーをできたときは、自分にフォーカスするよりも、そういう状況を作ってくれた周りの選手に感謝する』という言葉を聞いて、ボールをつないでくれた仲間へ感謝する気持ちが強くなりました。練習のスタンダードを上げて、より一貫したプレーができるようレベルアップしていきたいです」

応援に訪れた父・勝彦さん(埼玉WKコーチ)と
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立教大学
帝京大学
![]() (おおとものぶひこ) 1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。 プロフィールページへ |