8日、ラグビー日本代表は「リポビタンDツアー2024」フランス代表戦の試合登録メンバーを発表した。現在フランスでプレーする、SH齋藤直人が先発。FL/NO8テビタ・タタフがリザーブ入りをした。CTB12にはシオサイア・フィフィタ(トヨタヴェルブリッツ)が入った。エディー・ジョーンズHCがセレクションに関して、フランス代表戦への意気込みを話した。
ラグビー日本代表 フランス代表戦試合登録メンバー
1 岡部 崇人 (横浜キヤノンイーグルス・5)
2 原田 衛 (東芝ブレイブルーパス東京・8)
3 竹内 柊平 (浦安D-Rocks・11)
4 エピネリ・ウルイヴァイティ (三菱重工相模原ダイナボアーズ・3)
5 ワーナー・ディアンズ (東芝ブレイブルーパス東京・19)
6 下川 甲嗣 (東京サントリーサンゴリアス・11)
7 姫野 和樹 (トヨタヴェルブリッツ・33)
8 ファウルア・マキシ (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ・13)
9 齋藤 直人 (スタッド・トゥール―ザン [FRA]・21)
10 立川 理道 ◎ (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ・61)
11 長田 智希 (埼玉パナソニックワイルドナイツ・15)
12 シオサイア・フィフィタ (トヨタヴェルブリッツ・13)
13 ディラン・ライリー (埼玉パナソニックワイルドナイツ・25)
14 ジョネ・ナイカブラ (東芝ブレイブルーパス東京・14)
15 マロ・ツイタマ (静岡ブルーレヴズ・5)
16 松岡 賢太 (コベルコ神戸スティーラーズ・2)
17 森川 由起乙 (東京サントリーサンゴリアス・2)
18 為房 慶次朗 (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ・7)
19 ファカタヴァ アマト (リコーブラックラムズ東京・11)
20 テビタ・タタフ (ユニオン・ボルドー・ベグル [FRA]・18)
21 藤原 忍 (クボタスピアーズ船橋・東京ベイ・7)
22 梶村 祐介 (横浜キヤノンイーグルス・4)
23 松永 拓朗 (東芝ブレイブルーパス東京・1)
エディー・ジョーンズHC
フランスには先週の水曜日に到着してまずは4日間の合宿をしました。ハードワークをして我々の基礎であるファンデーションのワークにしっかりと励み、今やっとパリに到着したところです。とても良い準備ができていると思いますし、プレイヤーと共にフランスの違ったコンディションにもうまくアジャストできていると思っています。ボールやフィールドも滑る状態ですが、そういったところの感触を得ながらアジャストできていると思います。
今回(のセレクションで)は一番強いベストな23名を選出しています。フランスのリーグでプレーしているテビタ、齋藤を迎え入れたかたちです。とてもいい形でコンディションが整っていますし、テビタ・タタフはフィニッシャー、齋藤はスターターといった形でメンバー選出しています。
また前回のワールドカップ以来となるシオサイア・フィフィタもメンバーに選出しました。とても良いコンディションですし、チームに付加価値を与えてくれる存在だと思っています。ビッグゲームとなるのでとても楽しみにしています。フランスは8万人で満席になると聞いていますし、それは我々のチームにとっても良い経験になると思っています。
大きなプレッシャーがかかる試合になると思いますが、プレッシャーを楽しみながらジャパンらしくプレーすることを楽しみにしています。
――常日頃からエディーさんはじめコーチ陣も「日本らしくプレーする」ことを口にしますが、オールブラックス戦の反省を踏まえ、フランスではどういう部分を確かめたいと思っているか
もちろんジャパンらしくプレーしたいと思っているのは、我々が日本代表のチームだからというところに尽きるところはあると思います。しかしながら、日本代表的なところは集団的なスピード、そして個々のスピードを持って行うアタック、そこが相手にとって脅威になってくる点だと思っています。特にアタックではボールを動かしていく、そういったところが相手に対して脅威になってくるでしょう。
もう一つは、ニュージーランド戦から学んだ点として、80分の試合を20分ずつのパートに分けて考えると20分の2本目(*前半20分以降)は29失点してしまいました。さらにワーナー・ディアンズ選手のトライがキャンセルされたことでチームとして我々が求めるインテンシブがさがってしまったこと、TMOの結果に失望してしまった、がっかりしてしまったという感情が大きくでてしまいました。
こういう失望した気持ちにいかに対応するか、いかに自分たちのプレーをし続けることができるか、インテンシティを下げずに諦めずにやり続けられるか、そしてその時間をいかに長く長くしていけるか、これが現在の課題でもあり、我々のチャレンジでもあります。
(代表活動がはじまってからの)初戦でイングランドとは良い形のプレーを12分続けることができました。先週トゥイッケナムでオールブラックスと拮抗した試合をした相手に対して私達がいい形のプレーをすることができました。
フランス戦ではその時間を長くしていきたい。どのくらい長くできるかというところは正直わかりません。もちろんチャレンジではあると思いますし、エラーが起きてしまうことやうまくいかないこともあると思いますが、決してそれに対して失望しないこと、やり続けることが大事になってきます。
ですので、戦術的な部分ではなく、感情のコントロールをいかにすることができるか、そういったところが大切になってくると思っています。
フランスと戦う上でキーとなるはセットピースが肝だと思っています。フランスのラグビーというのはセットピースをメインとしてラグビーを組み立てていると思っているからです。フランスでは「ノースクラム、ノーライフ」、スクラムなしにラグビーができないという言葉があります。我々としてはFWもアタックをしていくように組み立てていきたいと思っています。
アタックの方法はたくさんあると思いますが、フェイズプレーといったところで相手を動かすそういったプレーをしていきたいと思っています。これがうまくいけばいい状態にもっていくことができますし、勝利にも近づくことができると思います。
――フランスでプレーしている齋藤直人選手とテビタ・タタフ選手について
二人とも強みを活かしたプレーをしてほしいと期待しています。特に齋藤に関しては日本児のSHとしてはとてもオールラウンドで、全般的に優れているプレーヤーだという評価をしています。パス・ラン・キック、その全てのプレーにおいてとても長けたスキルをもっていますし、特にフランス戦ではテンポのコントロールを大切にしてほしいと思っています。
いつテンポを上げ、いつテンポをコントロールしなければいけないのか、そこの感触をしっかりと確かめながら試合に挑んでほしいと思っています。また10番を背負う立川キャプテンとの連携も非常に大切になってくると思っています。
テビタはベンチからのプレーとなりますが、フィジカルなプレーになると思っています。前回、ジョージア戦、イタリア戦でプレーした頃よりもフィジカル面のコンディションはとても良い形で今回合流しています。
とてもいい態度でトレーニングにも励んでいますし、試合の後半ベンチから出てきた際にはフィジカリティーを全面に出したプレーを期待したいです。
――先ほど、相手を動かしていきたいという話がありました。これまでの試合では日本のチームが先に疲れてしまって後半以降に運動量が落ちてしまうという印象があります。この点はどのように改善されているのか。
まずはやはり若いチームであるということが要因としてあります。メンバーのキャップ数が250キャップといった点は我々としてキャパシティが下がってしまうところがあります。高いレベルでプレーをすることに対して若く経験がないというところがどうしてもあります。
我々としてはトレーニングでは高いクウォリティーを続けていますが、どこの段階でテンポをあげて、どこでテンポをスローにしていくかそういったところに関しては経験値がベースになってしまうと思っています。
日々向上するためにワークはしています。明日それが達成できることをもちろん願っていますが、オーソドックスなラグビーをしていては勝てないので、違うスタイルのラグビーを続けていかねくてはいけませんし、それを続けていくには勇気が必ず必要だと思っています。
こちらでのキャンプではスピードにのった形でキャパシティを伸ばすそういったトレーニングが続けられています。こういった面では、我々は一歩ずつ前進していると言えます。
――今回6番に下川甲嗣、7番に姫野和樹を起用した意図
今回ワークレートが多いバックローの2人を起用しているのはもちろん、我々のエフォートが出せる時間帯を少しでも長くするためです。
――シオサイア・フィフィタ選手の起用について
フィフィタは再合流してからとても高いクウォリティーのトレーニングを積んでいます。ファーストクラスと言えると思っています。今後12番として大きな進化を遂げられるそういったプレーヤーだと思っています。キャリーも得意ですし、スピードも強みですし、それからフィジカルのあるプレーヤーです。パスのスキルもいいものを持っていると思いますので、12番としてのキャリアはまだ始まったばかりだと思っています。
――「トライがキャンセルされてがっかりしてしまった」というメンタル面での課題があったことを指摘されていますが、オールブラックス戦以降で何かそこに対して改善にむけた取り組みを行いましたか
まずはチームとして「口に出して話す」といったプロセスをふみました。そして問題であるといったことを共通認識として理解しました。ここに関しては、リーダーズともディスカッションを重ねて、今後フィールドで(自分たちのプレーを)続けられるためにどういうプロセスをたどればいいかという結論まで辿り付けました。もちろんこれに関しては皆様にお伝えすることができません。今回のツアーのスタートに関しては、わざと難しい状況といったことを作り出してみました。羽田からパリまで約15時間のフライト、そこから6時間のバス移動を経て合宿地までいくという、ほぼ1日中移動に時間を費やしました。また次の日にすぐにトレーニングに入るという形でツアーを開始しました。我々が望んでいたことは、感情の面でも、フィジカルの面でも、そしてメンタルの面でも何度も何度もやり続けること、そこを練習するといった意味があります。
どういった感情になってもフィジカル面でもメンタルでもうまくいっていないときがあったとしてもやり続けること、それによって少しづつ向上することができると思っています。ですので答えとしては全員でトークしてそこからテストを試した。今後それを練習する環境を整えて、毎日少しずつベターになっていくということを試していますし,次のフランス戦では必ず実を結ぶと思っています。
立川理道キャプテン
――齋藤直人選手が合流したことについて
彼が合流してから一緒に練習していく中でも常に先頭に立ってやってくれていますし、何かあればすぐに声がけをしてくれています。昨日の夜も部屋に来て、確認作業とかも積極的にやってきてくれたりとか、彼がチームにコミットしているというふうには感じましたし、先程エディーさんが言ったようにコーチ陣だったりとか選手にわからないことがあったりとか、何か気になることがあればどんどん積極的に話をしてくれるというのはチームにとってもすごくありがたい存在なのかなというふうに思っています。
――フランス戦にむけて
相手の強みに付き合わないようなゲームプランがあるので、そこはしっかり自分たちが持っていきたいということがまず1つと。やっぱりスピード、そして自信をもってアタックすることがすごく大事だと思っているのでそこは直人といっしょにチームをリードしていきたいなと思っています。