今ツアーでSO松田力也がピッチでプレーしたのは、25分。イングランド戦の後半からの出場だけだ。強化試合として位置づけたマオリ・オールブラックス、そしてテストマッチのジョージア戦ではメンバーに入ることはなかった。
2023年ワールドカップでは10番としてジャパンの司令塔を背負い、エディー・ジョーンズHCは、松田の実力は認めた上で、ジャパンがトップ4入りするために必要不可欠な「選手層の厚さ」を構築するために、他の選手たちにプレータイムを与えている。
今回エディージャパンが掲げる「超速ラグビー」。10番に求められる役割も違ってきている。「(今の日本代表の10番は)どんどん相手に仕掛けていくことが重要視されている」(松田)プレースタイルの違いに対してどう挑んでいるのか。
SO松田力也(トヨタヴェルブリッツ)
――2023年のチームと今の日本代表と違う部分は?
よりアタックの部分に関しては、早くボールを動かす、どうやって動かすかも含めて変わってきたと思う、僕自身が変わったと思ってるのは『ボールのもらい方、ラインの深さと 仕掛け方』が今までとは全然違うなと感じています。
そこに対して自分の感覚をどうやって合わせるかっていうところをすごく考えて最近はプレーしています。そういう細かいところがどんどん超速ラグビーで変わっていて、ディテールも前回の日本代表と違うディテールになっているので上手く合わせていきたい。
――戸惑いがあった?
初めはちょっと戸惑いがあって、ランの仕掛けた方が重要視されていて、自分自身、そこの感覚にすり合わせていくのが難しいというか、ちょっと戸惑いがありました。
今はすごく自分の中で手応えを感じているし、周りとの連携も含めて良くなっているという実感はあります。(今の日本代表の10番は)どんどん相手に仕掛けていくことが重要視されていて、前のジャパンでは外のスペースに運べば、外の選手がいっぱいスペースを持ってプレーできると考えていたが、今はどんどん自分が仕掛けていくことで、自分の周りのスペースを作り出すという形になっています。
元々、僕も仕掛けていくタイプだったんですけど、長い間SOやっていて、早くボールをシフトしてうまくいいタイミングで周りにパスを渡すっていうところに重きを置いてプレーしたので、切替えというところを今取り組んでいます。そこがうまくはまってきているという実感はすごくあります。
10番へのこだわりは変わらず持っている
――SOのポジション争いに関して。イングランド代表とジョージア代表戦は李承信が先発しました。
すごく(ポジション争いしている感覚は)ありますね。もともと李の持ち味はランですし、もちろんキックもうまいですけど、思い切ったランプレーっていうのが彼の持ち味なので、超速ラグビーに合っているなという部分があります。
もちろんランで勝負していくところもそうですが、はやい判断や、はやいスキルも使いながらっていうところも、超速ラグビーでは必要になってくるので、自分の良さを高めながら他のところも含めてチャレンジしたい。
10番へのこだわりは変わらず持っているので、そこでは負けないようにチャレンジして、この2戦、10番を着られなかったのは、自分の中でも、もう一度、自分を見つめ直す時間にもなったので、悔しさもありながら、いい形でトレーニングできているかなと思っています。
――どう10番として超速ラグビーをどうコントロールしていきたいと思っていますか
本当にいい形で進んでいる部分もたくさんあるし、自分たちの超速ラグビーが体現できている時っていうのはアタックとしても相手にすごくプレッシャーを与えられているなっていうのは、見ていてもすごく実感しているので、そこに関しては手応えを感じている。
ただゲームを80分通して見た時に、もちろんやっぱキックも使わないといけないし、ゆっくり、こっちが時間を使ってもう一度、整えてアタックする時間を作ったりする場面は、たくさんある。
80分間を通して自分たちがずっとペースを握っているわけでもないし、相手がペースを握っているときはどうコントロールして、どうやって流れを取り戻すかっていうとこも含めて、もっともっと考えていかないといけない。