男女揃ってパリ五輪出場権を獲得。セブンズ日本代表が世界との戦いに挑む | ラグビージャパン365

男女揃ってパリ五輪出場権を獲得。セブンズ日本代表が世界との戦いに挑む

2023/11/20

文●編集部


18日・19日、大阪ヨドコウ桜スタジアムで行われた「7人制ラグビー・アジア予選」で男子・女子7人制日本代表が見事に優勝を果たし、来年行われる「パリオリンピック」アジア代表としての出場権を獲得した。

アジアのライバル中国との決勝、ファイヤーディフェンスで勝利を引き寄せた

女子7人制日本代表こと、サクラセブンズは決勝まで危なげない戦いぶりで決勝進出し相手はアジアのライバル中国。8月のアジア大会では敗れている相手。この相手を倒さないとパリへの切符はつかめない。



この日、準決勝から大活躍の大谷芽生(ながとブルーエンジェルス)が決勝でも躍動した。前半4分、自陣深いところから80mを走りきりトライを決めるとその後もトライをあげて12-7とリードして前半を終えた。

大谷芽生が大暴れ!

大谷芽生が大暴れ!


ゴール中央のコンバージョンを難なく決める須田倫代

ゴール中央のコンバージョンを難なく決める須田倫代


後半、マイボールスクラムから平野優芽キャプテン(ながとブルーエンジェルス)がトライを決めリードを広げると中国に1トライを喫し追い上げられるも最後は前にでるディフェンスで堤ほの花のタックルが突き刺さりノーサイド。21-14で中国に勝利し優勝を果たし、3大会連続のパリ行きを決めた。

水谷咲良

水谷咲良



中国のアタックを止める三枝千晃

中国のアタックを止める三枝千晃


2人目・3人目のサポートの速さもサクラセブンズが上回っていた

2人目・3人目のサポートの速さもサクラセブンズが上回っていた


後半平野優芽キャプテンのトライで追加点

後半平野優芽キャプテンのトライで追加点


相手を引き付けてスペースを作ってからパスを出しゲインを演出した梶木真凜

相手を引き付けてスペースを作ってからパスを出しゲインを演出した梶木真凜


アジアのライバルに勝利しパリ行きを決めたサクラセブンズ

アジアのライバルに勝利しパリ行きを決めたサクラセブンズ




サクラセブンズ 鈴木貴士HC

鈴木貴士HC

鈴木貴士HC



まずは、この緊張感の中、いろいろプレッシャーのある中、最後まで選手たちが戦ってくれたことを嬉しく思います。ようやく、ここからようやくスタートに立つことができたので、しっかりパリに向けてもう1回、強化をしていきたい。この後、すぐワールドシリーズもあるので、そちらの準備とチーム全員でオリンピックに向けてスタートしたい。

――東京五輪は12位でした。どういう点を強化してきましたか


サクラセブンズは世界と比べると、身体もスピードも劣っている選手が多く、世界で勝つためには7人がしっかりと立って、動いて、戦うという3つの言葉を大事にしてきました。そこをこだわりの部分として、この大会でしっかり出たと思います。

世界と試合をするために必要なディフェンス力。サクラセブンズは中国のアタックを封じ込めた

世界と試合をするために必要なディフェンス力。サクラセブンズは中国のアタックを封じ込めた


――今大会に勝てた要因は?


キックオフはかなり練習してやってきました。あとはディフェンスのところで、しっかり前に上がってプレッシャーかけてボールを奪うところをやってきました。


――パリ五輪に向けてどこを強化したいか


今の状態をベースにスクラム、ラインアウトのセットプレーのさらなる安定と、キックオフのところをもう1回、ハイプレッシャーでも自分たちの精度にこだわってやっていきたい。



――パリ五輪のメンバーは


20人ちょっとのスコッドで練習をしてきているので、そのスコッドを中心に強化していきたいと思っています。




サクラセブンズ・平野優芽キャプテン

豊富な国際経験からチームを牽引する若きリーダー・平野優芽キャプテン

豊富な国際経験からチームを牽引する若きリーダー・平野優芽キャプテン



勝ちきることができて、日本のみなさんの前でオリンピック出場を決めることができてすごくホッとしています。やっとここからパリ五輪に向けてスタートできたので、パリでメダル取れるように頑張っていきたいし、来月からワールドシリーズが始まるので世界で戦う準備をしていきたい。

厳しい戦いになることはわかっていたんで、その中でも本当に一つひとつのプレーを丁寧にやろうというのをずっとみんなで言ってやってきました。最後は勝ちたい気持ちが強い方が絶対に勝てるとみんな信じてやってきました。その勝ちたい気持ちをしっかり全員がプレーに出せてくれたんじゃないかと思います。

須田倫代の精度高いキックオフでボール再獲得し流れを掴んだ

須田倫代の精度高いキックオフでボール再獲得し流れを掴んだ



――最後は(堤ほの花選手の)タックルでした


もう日本の強みはファイヤーのDFなので、しっかりと決勝でそれを出すことができてよかったです。


――東京オリンピック12位からスタートしたチームですけども、キャプテンとしてここまでの道のりはいかがでしたか。


ワールドシリーズでも良い結果を残すことができたんですけど、まだまだ自分たち自身満足していないですし、ようやくここからパリでメダル獲得するという目標をしっかり立てて、やっとスタートできると思うので、パリでメダルを取るためにもう一段階成長できるようにみんなでやっていきたいと思います。

須田倫代の精度高いキックオフでボール再獲得し流れを掴んだ

須田倫代の精度高いキックオフでボール再獲得し流れを掴んだ


――最後の試合、追い込まれた状況でチームをどう奮い立たせたか


ハーフタイムで何を言ったかは覚えていないですが、後半きつくなったところで自分たちの方が動き続ける自信があったので、それを試合の中でも体現できたと思います。きつい状況でも選手同士が喋り続けてコネクトし続けてプレーできたのが試合の結果につながったと思います。


――大谷芽生選手や堤ほの花選手が前に出るタックルを見せましたが、チームとしての約束事は


私達のディフェンスの強みとして、ファイヤーディフェンスをやってきましたが、準決勝ではまだ上がりの部分が弱くて、最後、決勝で思い切り上がろうとして、意識を変えて思いっきり上がってくれた。ただ、上がっているわけではないですが、端でラックができた時は、日本は全員が立っているで、スプリントしてファイヤーすることは決め事でやってきていることなので、ようやく決勝で自分たちのファイヤー(ディフェンス)を出すことができた。


今大会5トライを決めた堤ほの花。スピードだけでなく判断力そして、強さを身につけサクラセブンズにとって欠かせない存在に成長した

今大会5トライを決めた堤ほの花。スピードだけでなく判断力そして、強さを身につけサクラセブンズにとって欠かせない存在に成長した



――パリ五輪の出場権を得ました。オリンピックはどんな舞台?


私自身は東京五輪にも出場して、自国開催でああいう結果で終わって、悔しい思いをしたので、オリンピックの借りはオリンピックで返したい気持ちをもっています。その思いを持って戦ってきました。個人的には特別視していないですが、来月からのワールドシリーズで世界で戦う準備をしながら、パリでメダル獲得にむけて良い準備したいです。



http://rugbyjapan365.jp/img/2023/1120/48ef5375f1fa2bd6d9ca060b34ae5a14_original.jpg

東京五輪から長い時間と努力を重ねてパリ五輪への切符を獲得したサクラセブンズ

東京五輪から長い時間と努力を重ねてパリ五輪への切符を獲得したサクラセブンズ


ホンコン・チャイナとの死闘―丸尾が決めた決勝トライ

国歌斉唱・男子決勝vsホンコン・チャイナ戦

国歌斉唱・男子決勝vsホンコン・チャイナ戦



男子セブンズ日本代表はプール戦で中国に敗れるも得失点差で1位通過。準決勝はUAEと対戦し21-5で勝利して決勝進出を果たした。決勝の相手はホンコン・チャイナ。直近の対戦成績は2勝2敗と五分。厳しい戦いが予想された。

ホンコン・チャイナに先制を許した日本は前半3分に石田大河(浦安D-ROCKS)のトライで同点に追いつくも、前半終了間際に逆転を許し前半を終えた。

石田大河のトライ

石田大河のトライ


先にパリ行きを決めたサクラセブンズも男子を応援

先にパリ行きを決めたサクラセブンズも男子を応援



後半、リザーブから出場した石田吉平(横浜キヤノンイーグルス)が鋭い動きで敵陣深くでボールをもつと、小学生時代から一緒にラグビーをしていた谷中樹平(トヨタヴェルブリッツ)と絶妙な間合いでオフロードパスが繋がりトライ。14-14の同点に追いついた。

さらに終盤、相手のペナルティーに対してタップからリスタートすると、丸尾崇真(神奈川タマリバクラブ)が体をスピンさせながらボールをインゴールにグラウディング。21-14で劇的な逆転勝利を収めて、3大会連続のオリンピック出場権を獲得した。

パリ行きを決めた丸尾崇真の決勝トライ!

パリ行きを決めた丸尾崇真の決勝トライ!






女子に続き男子もオリンピック出場を決めた

女子に続き男子もオリンピック出場を決めた



男子7人制日本代表 サイモン・エイモーHC

左からサイモンHC、林大成キャプテン、平野優芽キャプテン、鈴木HC

左からサイモンHC、林大成キャプテン、平野優芽キャプテン、鈴木HC



本当に素晴らしい選手の努力が見られた大会でした。初めてホームでの大会で、家族、友人の前でプレーし、彼らのサポートも素晴らしく、最後のプレーにつながった。


――東京五輪からどういう点で強化


今回スコッドの中で東京五輪を経験した選手は1人しかいませんでした。まったく新しいチームということで、経験、スピード、フィットネスの改善につとめてきました。プレッシャーの中の状況判断力にもフォーカスしてきました。ジャパンスタイルと日本人の特徴にあったセブンズを構築して準備してきました。


――今大会に勝てた要因は


練習の中で、最後の局面でどういうシナリオで戦うかやってきました。アジア大会では上手くいかない部分がありましたが、今回はしっかり練習の成果をだしてくれました。


――パリ五輪にむけ強化したいところは


メダルを取るためには他と違うことをやらないといけない。それをやっていきたい。ちょっと考えていますが、相手に知られたくないので今はお話することができません。


チームまとめた林大成キャプテンと石田大河

チームまとめた林大成キャプテンと石田大河



――プレッシャーの中で良い判断が出たと言われていましたが、具体的には


準決勝のUAE戦、ハーフタイム直前に相手にスコアされて、後半、何か特別なことするなく、基本をしっかり実行する結果、勝つことができました。ファイナルでは、一つのミスが起きた時に、ミスの連鎖がなかった。ミスが一つ起きれば、今まではミスが連鎖していたが、基本に立ち返ることができて試合をしっかり戦えた。セブンズではミスはつきものだったが、実行力が良かった。


――パリ五輪のメンバーについて


願わくば、現在のスコッドをそのままパリ五輪で戦いたいと思うが、セブンズで大事なのは一体感、ゲームの理解だが、何人か新しいメンバーを加えようと思っている。でも現状のメンバーを中心にしていきたい。



林大成キャプテン

林大成キャプテン

林大成キャプテン



劇的すぎて言葉がでないです。観客がいる前に国内で初めてホームの国際試合ができて、この大会の前は今までの国際試合とは全然違った気持ちで、正直どうなるのか全然不安とわくわくが本当に半分半分あったんですけど、この会場でプレーして、みなさんが本当に昨日から声援を送ってくださったのが、プレッシャーじゃなくて力に変わりました。力になった結果、優勝という形でパリオリンピックの切符を掴めたので皆さんありがとうございます。


ジャパンは厳しい状況になったり、リードされたり、ちょっとうまく行かない流れがつかめないときに、崩れてしまう傾向があって、アジア大会からどんどん負けることもありましたがそのたびに成長してきて、そこを自分たちの課題として取り組んできました。僕は緊迫した状況とかでみんなをコントロールする立場だったんですけど、今日はちょっと僕が最後浮ついてしまったのをみんながサポートしてくれて、一人ひとりのちからじゃなくて、やるべきことをチームがやってくれました。

今ジャパンも若いチームの中で僕は多分、1番か2番にセブンズを経験している立場になっているんですけど、キャプテンという立場でチームを引っ張っていくこともそうですけど、僕個人のパフォーマンスがまだまだなんで、もっともっとあげて、パリでは東京でつかめなかったメダルをしっかり掴んで、この場で支えてもらった皆さんに対して恩返しできたらと思います。



――今大会で勝てた要因は



疲労と試合の中でプレッシャーのかかる場面で、判断を間違えることはセブンズでは多くあると思いますが、アジア大会以降、その改善を取り組んできました。アジア大会での負けが繋がったと思います。



――オリンピックはどんな舞台


パリ五輪の出場を決めたり、オリンピックメダルだったり、結果を出せるように進んでいて、結果を出せたら一番いいですが、自分たちがしっかり向かって行ってチームがどんどん強くなっている。良くなっている自覚があります。いろんなチャレンジして経験できている。


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