連続写真で振り返るセブンズフェスのファイネストモーメント 「トップリーグ最小兵・NTTドコモSH秦一平のトライセービングタックル」 | ラグビージャパン365

連続写真で振り返るセブンズフェスのファイネストモーメント 「トップリーグ最小兵・NTTドコモSH秦一平のトライセービングタックル」

2012/05/30

文●大友信彦


サニックスの優勝で幕を閉じた「セブンズフェスティバル2012」
その強さは圧巻だった。

決勝では、準決勝でヤマハを40ー0と一蹴したリコーに50ー12で完勝。
準決勝では、初戦で東芝を破った釜石シーウェイブスを36ー5で圧倒。
そもそも1回戦では、トップリーグトライ王のネマニ・ナドロを擁するNECを26ー17で蹴散らした。

そのサニックスに、最も食い下がったのが、2回戦で対戦したNTTドコモだ。
開始0分、2分とヘスケスに連続トライを献上、4分にはタファイ・イオアサにもトライを許し、0ー15差は開いた。

しかし、「セブンズは何が起きてもおかしくない」という格言通り、試合はここからスリリングに変転。
ドコモは前半6分にWTB渡辺義己がトライを返して折り返し、後半2分にはミッチェル・チャップマンのトライで15ー12の3点差に肉薄。サニックスは4分にベテラン「ミスターブルース」古賀龍二のトライ&コンバージョンで22ー12と突き放すが、ドコモは6分に新井龍一のトライ(チャップマンC成功)で再び3点差に戻す。そして最後の1分。

自陣で相手キックオフのボールをターンオーバーしたサニックスは、思い切ってボールを外へ。
韋駄天WTB藤原旭が独走、トライラインを超えた。
このままボールを置けば、そのまま勝利は確定……誰もがもう思ったはず。
しかし、一人だけ、諦めない男がいた。
ドコモの背番号9、SH秦一平だ。
トライ体勢に入った藤原に、インゴールまで追いかけて懸命に追いつき、完全に抜き去られながら指一本でジャージーを手繰り、グラウンディングしようとする藤原の身体を強引に引っ張り、デッドボールラインの外へ、自らも倒れ込みながら相手の身体をボールごと引きずり出してしまったのだ!


連続写真で振り返ってみよう。

サニックスのWTB藤原旭がトライラインを超えて回り込む

サニックスのWTB藤原旭がトライラインを超えて回り込む

 

NTTドコモのSH秦一平がインゴールで追いすがる

NTTドコモのSH秦一平がインゴールで追いすがる

  

インゴールで抜かれながら、懸命に腕を伸ばしタックル

インゴールで抜かれながら、懸命に腕を伸ばしタックル

 

振り払われながら、左手の指先は相手のジャージーを離さない

振り払われながら、左手の指先は相手のジャージーを離さない

 

体勢を立て直すと、両手で相手の身体を引っ張る

体勢を立て直すと、両手で相手の身体を引っ張る

 

藤原は懸命にグラウンディングしようとするが

藤原は懸命にグラウンディングしようとするが

 

秦はその身体をひっくり返す

秦はその身体をひっくり返す

 

グラウンディングを許さずボールはデッドボールラインの外へ

グラウンディングを許さずボールはデッドボールラインの外へ

 

このプレーで試合終了。秦(背番号9)は大会MVPを受賞するヘスケスから健闘の労いを受けた

このプレーで試合終了。秦(背番号9)は大会MVPを受賞するヘスケスから健闘の労いを受けた

秦は、昨季まで明治大学で活躍していたルーキー。
身長152センチという「超」の字がつく小兵ながら、果敢なタックルで大学2年から紫紺の背番号9を背負い、ワセダや帝京の巨漢たちの足下に刺さり続けた。

152センチは、トップリーグ史上、比較の対象すら見あたらない歴代最小兵。
その身体で、トップリーグで戦えるのか?と心配したファンもいただろう。

だが、セブンズフェスで見せた執念のトライセービングタックルは、ラグビーはサイズだけですべてが決まるわけじゃないということを、改めて教えてくれた。

トップリーグ最小兵タックラーは、秋からのシーズンも沸かせてくれそうだ。


大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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