ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が、ワールドカップ終了後に退任することが25日、日本ラグビー協会から発表された。
エディーHCは20日に、ワールドカップ限りでの退任を日本ラグビー協会に申し入れ、24日の日本協会理事会で承認、25日午前に宮崎市で合宿中の日本代表メンバーにエディーから直接伝えた上で、25日午後に日本協会で緊急会見が開かれ、坂本典幸専務理事から発表された。
2015年ワールドカップ終了後の処遇はまだ何も決まっていなかった
日本協会から発表されたコメントは以下の通り。
◎日本代表 エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ
「この4年間、日本ラグビーを変えたいと思い、強化に邁進してきました。その間にいくつかの記録も打ち立てることができました。一時は世界ランキング9位、日本代表初のテストマッチ11連勝、初めてウェールズ代表、イタリア代表に勝利を収め、また、ヨーロッパでの試合で初めて勝利を収めることもできました。
日本代表は、より優れている指導者を得て、2019年のラグビーワールドカップへ向けてもっと進化を続けると思います。私は新しいチャレンジをすることになりますが、日本代表は常に私の心の中にあります。今年のラグビーワールドカップを日本代表ヘッドコーチとしての集大成にしたいと思います」
◎日本ラグビーフットボール協会 坂本典幸専務理事
「エディー・ジョーンズヘッドコーチ体制になり、日本代表は素晴らしい躍進を遂げてきました。強豪国にも勝利するなど、日本ラグビーの真骨頂を発揮してくれました。今回、ジョーンズヘッドコーチから退任の申し入れがあり、本人の意志が固いことから退任を承認することにいたしました。この4年間、日本ラグビーの発展に貢献してくれましたジョーンズヘッドコーチには感謝、そして敬意を表したいと思います。そして、ラグビーワールドカップ2015で、目標であるベスト8に向けてベストを尽くし、挑戦をしていただきたいと思っております」
エディーHCの日本代表HCとしての契約は2015年末日までだったが、「新しいチャレンジをしたい」という本人の強い意向で、11月1日づけで退任となった。エディーは来年から参入するスーパーラグビーの日本チームのディレクター・オブ・ラグビーも兼務していたが、そちらも同日をもって退任となる。
ファンにとっては寝耳に水の発表だろう。ワールドカップ開幕まであと24日というタイミングだ。ワールドカップで初の8強入りを目指す日本代表を応援するファンからは「ここで8強入りを達成したら、2019年もエディーHCで」という声が聞かれていたからだ。
エディー自身は、そもそも、ワールドカップ終了後も続投することに否定的だった。2012年、日本代表HCについて間もないときのインタビューで、エディーはこんな言葉を残している。
「インターナショナルのラグビーは、ワールドカップの4年間をサイクルとして動いていくもの。そして、コーチが長く続けると、どうしてもフレッシュネスが下がってくる.結果が出ないときはいつでもあるけれど、コーチが変わって新しいチームを作っているときと、コーチが長く続けているときとでは、同じ負けでもチームの雰囲気が全然違ってくるんだ」(『エディー・ジョーンズの監督学』大友信彦著・東邦出版2012年より)
それでも、多くの人は、エディーが続投する可能性を想定していたのではないか。そう思っていた背景には、日本が2016年から参入するスーパーラグビーチームで、エディーがディレクター・オブ・ラグビー(「チーム統括」というニュアンスだろうか)に就任していたことがあるだろう。
だが、実はこれは「2016年、スーパーラグビー始動時の」ディレクター・オブ・ラグビー就任を意味していたわけではなかった。エディーが任されていたのは、日本代表HCの職務の一環としてのスーパーラグビーチームのディレクター職だった。
そして、日本代表HCとしての任期は2015年末まで。その後の処遇は、2015年4月に日本協会の矢部達三専務理事(当時)が「2015年ワールドカップの成績を見て決める」と明かしていた。つまり、エディーの来季のスーパーラグビーチームのディレクター職はまだ暫定職だったのだ。
そこに、スーパーラグビーチームのヘッドコーチのオファーをかけてきたのがストーマーズだった。