決勝はものすごい試合でしたね。僕は、追手門学院大の練習があって生中継は見られませんでしたが、ネットの試合速報でタイムラインを見ただけで、ものすごい試合になっていること、僕の予想した範囲をはるかに超える凄い試合になっていることがわかりました。
家に戻ってからビデオで試合を観戦しましたが、ラグビーの素晴らしさ、面白さ、奥深さを本当に味わえる試合だったと思います。この素晴らしい試合を見せてくれた両チームの選手、スタッフ、関係者のみなさんを、心から賞賛します。そして、秩父宮につめかけた満員のお客さんも、素晴らしい雰囲気を作ってくれました。日本中のラグビーに関わる人たちが、幸せな気持ちになれた1日だったと思います。
これだけ素晴らしい試合を見せられると、僕が解説することなんて何もない気もしてしまいますが、(笑)、僕がこの決勝で一番感じたことは「準決勝から決勝までの1週間で、チームはここまで変化するのか」ということです。具体的には、準決勝までの戦いを見て、僕が不利と予想していた東芝が、パナソニックとまったく遜色ないパフォーマンスを見せて、勝利と紙一重のところまで力を出したことです。
決勝プレビューで僕は、東芝のディフェンスがパナソニックの「かもしれないアタック」にどう対応するかがカギになると予想しました。しかし実際の試合結果は27−26。トライ数は4-3で東芝が上回りました。いまのパナソニックから4トライを奪うことはすごいことですが、それと同じくらい、パナを3トライに押さえることはすごいことだと思います。
そして、パナがあげた3トライのうち、僕が定義した「かもしれないアタック」(ボールキャリアーのとっさの判断に周りが反応していくアタック)であげたトライはわずか1トライでした。東芝FBステイン選手のショートパントSH田中史朗選手が捕ってすれ違いざまにカウンターに出て、パスを受けた堀江翔太選手がゴール前で倒されながら、サポートに走り込んできたJPピーターセン選手にパスを浮かせてあげたトライ1本でした。あとの2本は、ゴール前ラインアウトからの計画されたアタックを微修正したものといえます。