PNCカナダ戦の試合運びには成長を感じなかった―アメリカ戦は指示の遂行だけではない選手たちの主体的な戦いに期待 | ラグビージャパン365

PNCカナダ戦の試合運びには成長を感じなかった―アメリカ戦は指示の遂行だけではない選手たちの主体的な戦いに期待

2024/09/04

解説●後藤翔太 構成●大友信彦


翔太です。
この週末は仙台へ行ってきました。
僕は今年1月から縁あって、福島県の勿来工という高校のラグビー部のスポットコーチを務めていて、週末には「仙台高専名取」という、高専ラグビーの強豪校との試合があったのです。こことは6月にも試合をしていて、そのときはボコボコにやられたのですが、今回は逆に、こちらが快勝しました。勿来工は部員全員が高校からラグビーを始めた初心者で、相手に勝っている部分はほとんど見当たらないのですが、戦術をシンプルにして、練習も絶対に必要な部分、つまりタックルを含む接点の強化に絞って反復して、あと何人かのポジション変更をして臨みました。一応、選手には「花園を目指せ」と大それた野望を持たせているので細かい種明かしは控えますが、限られた戦力と経験値しかないチームで格上の相手に勝とうと考えることは、僕にとっても、コーチングの上でも解説の上でもとても勉強になっています。

カナダ戦は試合に勝ったものの…残念な内容だった

さて、日本代表はパシフィックネーションズカップ(PNC)を戦っています。
エディー・ジョーンズHCが就任して最初のシリーズはイングランド、マオリ・オールブラックス、ジョージア、イタリアと5戦(うち、テストマッチは3戦)して、ノンキャップ試合のマオリ戦で1勝したのみ。エディーが掲げる「超速ラグビー」は、毎回片鱗を見せてはいるものの、テストマッチのタフな戦いで勝利を掴む精度には達していませんでした。日本がこの夏シリーズに戦った相手は世界ランクで言うとイングランドが5位、ジョージアが13位、イタリアが9位(すべて対戦時)。

対して、PNC初戦で戦ったカナダは21位とだいぶ下です(日本は14位)。カナダはワールドカップ8強経験もあり(1991年)、過去日本とは2度の引き分けを演じた(2007年、2011年)ライバルですが、2023年大会では予選で敗れてしまうなど現在は低迷しています。実力的には日本が上です。この相手になら良い形で勝ってくれるかな? という期待をこめて試合を見たのですが……試合は勝ったものの、残念な内容でした。

日本は4分に初キャップのWTBツイタマが先制トライをあげ、7分にはワーナーがトライ。22分にはFB矢崎のブレイクから下川がトライ、26分には李承信がPGを決め、28分にはピックゴーしたワーナーが、30分には相手キックオフから初キャップのCTBニコラス・マクカランの快走からライリーが走り切ってトライ。開始30分で38-0と大量リードを奪いました。
しかし試合はここからまったく違う展開を見せます。ハンドリングエラーから自陣ゴール前に攻め込まれ、ラインアウトからのアタックで再び落球し、37分にカナダに初トライを献上。38-7で折り返した後半は43分に李のトライで先に点を取りますが、45分には自陣ゴール前でカウンターラックを食らってボールを奪われ、50分にはスクラムから1次攻撃であっさり突破を許し、連続トライを献上。45-21とされます。その後、日本も長田のカウンターアタックからナイカブラが独走してトライを返しますが、79分には再びトライを許し、最後に長田がトライを返したものの55-28。後半に限れば17-21とスコアで下回ってしまいました。

僕が残念だなと思ったのは…

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