タックルとディフェンスとキックに進歩を証明したサクラフィフティーン。次戦はキックを使ってくるだろうアメリカにどんな対応力見せてくれるか注目 | ラグビージャパン365

タックルとディフェンスとキックに進歩を証明したサクラフィフティーン。次戦はキックを使ってくるだろうアメリカにどんな対応力見せてくれるか注目

2024/08/14

解説●後藤翔太 構成●大友信彦


翔太です。
サクラXVのアメリカ戦は良い試合でした。もちろん勝てなかったのは残念ですが、それ以上によく頑張ったな、良い試合をしたな、という思いが強いです。特に素晴らしかったのはディフェンス。相手にプレッシャーをかけるだけでなく、最後の1歩で差し込めていた。

僕はコーチングするとき、ディフェンスでは「ラスト1m」という言葉を使います。距離を詰めてプレッシャをかけることは大事だけど、実際にミスを誘えるか、ボールを奪えるかどうかは、実際のコンタクトに至る最後の際、最後の1mをどちらが仕掛けるか=制するかで決まります。この日のサクラXVは、素早く間合いを詰める出足でプレッシャーをかけた上で、最後のタックルにもしっかり刺さっていた。とても理にかなったDFをしていたと思います。それは、効率のいい、身の丈にあったラグビーといってもいい。



野球でいえば、バッティングは、めちゃくちゃうまい選手がどんなに頑張っても打率4割に達するのは難しい。4割、5割を目指すのは無駄だとは言わないけれど、それを達成するためには途轍もない労力が必要で、それでも達成するのは難しい。その目標は身の丈に合わないんです。打率4割、5割を目指すよりも、打率3割でどう得点するか、守備も含めてどう勝つかを考える方がはるかに現実的です。

ラグビーではそれがディフェンス(DF)です。ラグビーではアタックを放棄する(ボールを相手に渡す)ことはできるけれど、ディフェンスは放棄することができない。アタックは15人のうち限られた数人の選手で組み立てることはできるけれど、DFは15人全員が機能しなければ勝てない。アタックはいくら練習しても、試合でまったくボールを持てなければ練習したことを出せないけれど、DFは練習したことを間違いなく出せる。



そういう事情も含めて、僕に言わせれば「女子ラグビーはDFとキックがキモ」なのです。DFでプレッシャーをかけて、ボールを奪ったらキックで陣地を進めてプレッシャーをかけて、ミスさせたらまたキックで陣地を進める。PKを奪えばショットで得点もできる。その基本構造は男子でも変わらないけれど、女子の場合は男子よりも筋力、骨格などが男子より小さいにもかかわらずボールは同じ大きさ、重さなので、どうしてもハンドリングエラーは増えるしパスやキックも距離は減る。必然的にアタックの成功率は下がり、ミスの発生率は増える。男子以上に「DFで勝てる」構造なんです。

そして、この試合でサクラXVはDFとキックが冴えていた。


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