5月5日、レベルファイルスタジアム(福岡)でエディ・ジョーンズHC率いる、新生ラグビー日本代表はUAE代表と対決。全員アマチュア選手という相手ではあるものの終始集中力を切らすことなくシャープな戦いを演じ106?3で勝利した。
「HSBC アジア五カ国対抗 2012」の2戦目、日本では初戦となり約7500名のラグビーファンがスタンドにかけつけ「エディ・ジャパン」の標榜する「ジャパンウェイ」を目にした。
RJ365でコラムを寄稿していただいている大友信彦氏と、編集長である斉藤健仁氏は第1戦のカザフスタン戦も現地で取材を敢行。エディ・ジャパンの現在(いま)を一番近い場所で見てきている。そんな2人にこの第2戦の振り返りとエディ・ジャパンについて語っていただいた。
まずは前編としてUAE戦を振り返っていただいた。
(聞き手 編集部 西澤)
藤田、藤田の第二戦―チームに生まれた「藤田効果」とは?
―まずは、第2戦となるUAE戦から振り返っていこうと思います。第1戦と比べてどうでした?
斉藤 カザフ(スタン)より全然よかったですね。
大友 そうだね。
斉藤 まだカタチを作ろう作ろうとする部分が強かったです。
大友 このラグビースタイルがだいぶ体になじんできたみたいだね。
―UAE戦は、やっぱり「藤田選手」ですよね。
大友 藤田、藤田ですね。素晴らしかったですよ。
斉藤 前半4分~5分のファーストタッチでのランニングがいきなりよかったですね。だいたい80mくらい走ってましたからね。
大友 日本代表が試合開始の入り(はいり)で、雰囲気が重かったからね。
―ファーストタッチでああいうプレーができるというメンタルってなんでしょう?
大友 基本的に「チャレンジすることをすべて楽しむ」という(東福岡の)谷崎監督からの教えに基づいてずっとプレーしているから、「ここで(前へ)行くのがリスキーか?」という発想がなくプレーできるんでしょうね。加えて代表においても「いっていいぞ」とエディHCにも言われているし、全然ガチガチになっていないよね。
さらにいうと、1本目のトライ。五郎丸が完全にセットして「後はおくだけ」という状況だったわけで、最も緊張するはず。ある意味あれくらい取るのが難しいパスってないと思う。それをサラッとキャッチしてトライを決めてしまうのは本当にすごいね。
斉藤 あのトライ、もう一度映像で見返すと五郎丸の前に廣瀬のクイックハンドがあったから2対1が作れたんですよね。
大友 エディも廣瀬も藤田本人も「中の人がまわしてくれたから(トライ)がとれた」と言ってたんだけど、本当にその通りで、チーム全体が「この若い才能あるプレーヤーのデビュー戦を飾ろう」と選手みんなが藤田にトライをさせようとしていた。
これは「甘やかし」とかではなく、そういう意図がかえって14人に良い効果をもたらした。
―良い効果とは?
大友 (格下の)UAEが相手の場合、どんなトライの仕方でもトライをとれる状況にあった。けれども、ちゃんと外にボールを回してとる、人を余らしてとる、藤田が相手にさわられないようにパスをまわしてとる、そのためには格下相手でも「ちゃんとしたラグビー」をしなければならない。それを80分意識してプレイできたというのは「藤田に(トライを)とらせよう」という意思統一がもたらした”いい効果”だったと思います。
斉藤 あれだけ点差がつくと、ターンオーバーやパスのインターセプトなどが起こりやすいけど、最後まで集中を切らすことなくゲームが締まっていましたね。