東京2020テストイベントリポート | ラグビージャパン365

東京2020テストイベントリポート

2021/04/23

文●大友信彦


4月22日(木)、東京オリンピックの7人制ラグビー会場である味の素スタジアム(東京スタジアム)で、オリンピック本番を想定したテストイベントが行われ、男女の日本代表候補が参加した。

これは東京2020組織委員会が管轄し、オリンピック本番の大会運営を確認・検証するイベント。昨年、延期される前は、アジアのチームを招いて「アジアインビテーショナルセブンズ2020」が計画されていたが、コロナ禍により中止されていた。

今回も大会を開催することはできなかったが、ドバイで開催されたエミレーツ国際招待セブンズに出場していた男女日本代表候補が参加。選手たちは4月10日に帰国後、ホテルで隔離生活を送っており、今回のイベントにも遠征不参加組は合流しないなど外部との接触を断つ「バブル」で行われた。テストイベント自体、入念な感染対策を施した上で行われたが、それはオリンピック本番でも同じこと。動線の隔離、消毒の励行、競技後のマスク着用など、徹底した感染対策を取ることを大前提に競技を実施することは、そのままオリンピックのリハーサルであり、ラグビーに限らないオリンピックそのもののリハーサルという面も持っていた。

このイベントは選手の動線、スタッフの動線の確認など運営面のチェックが大きな目的だったが、選手にとっても実際に試合をするピッチ、スタジアムの構造、風や光を体感して本番をシミュレートする好機。タックルなし、当たりなし、スクラムもノンコンテストという「ソフト」な特別ルールではあったが、レフェリーをつけ、7分ハーフ、ハーフタイムもエキストラタイムも本番と同じ形式の実戦練習。故意の反則(と見なされれば)には容赦なくカードも出された。

ボールを運んだ「Field Support Robot」。リモコンではなくAIが周囲の情報を収集して自動運転する賢い子だ

ボールを運んだ「Field Support Robot」。リモコンではなくAIが周囲の情報を収集して自動運転する賢い子だ

女子の2試合目では、決勝を想定して試合前に国歌吹奏も実施(流されたのは日本と南アフリカの国歌だった…)。キックオフのボールを運んだのは、トヨタ自動車が開発した小型電動車「FSR(Field Support Robot)」。リモコンではなくAIによる自動運転で自ら障害物を避け、GPSで位置を確認しながら自走する機能を持つものだ。

東京オリンピックに向けたイベントとしては、当初予定されていた2020年7月の1年前にあたる2019年7月にもリハーサルイベントが行われた。選手たちはスタジアムの外にあるチームルームをロッカールームに使用し、スタジアム東側のサブグラウンドでウォームアップを行い、暑さ対策に導入したクールベストを着用してスタジアムに向かい、本番と同じ時間帯、暑さ、光の具合を実感した。

今回は季節こそ違え、大会が近づいた時期の実施。運営面でも、多くの経験、知見を得たRWC2019を経て、より実務能力を高めて迎えた大会だ(味スタはRWC2019では開幕戦など最多の8試合を行った会場だ)。加えて、五輪組織委にはRWC2019組織委で働いていたスタッフも多い。

五輪の開催可否についてはまだまだ不透明な部分が多いが、現場の選手とチームスタッフそして運営スタッフは、大会が実施されることを前提に準備を続けることしかできない。その努力は、大会が最終的に実施されるかされないかに関わらず尊いものだと思う。無論、海外で、この大会を目指している選手やチームにとってもそれは同じだ。彼ら彼女らの努力そのものにリスペクトを贈りたい。

この日のテストイベントに参加した選手のコメントは以下の通り。



合谷和弘

「初めてオリンピック本番の会場でやらせてもらったのですが、すごくいい芝で、良かったです。すごくいい環境でオリンピックを迎えられそうです」

坂井克行

「約1年以上ぶりにスタジアムでラグビーができて本当に楽しかったです。次はオリンピックで、皆さんの前で勇気を与えられるようなプレーを見せられるように頑張ります。応援をよろしくお願いします」


本村直樹

「きょう味の素スタジアムで試合ができて、オリンピックが間近に迫ってきているのを実感しました。ここで皆さんの見ている前でメダルを取れるよう頑張っていきたいです。応援をよろしくお願いします」



中村知春

「今日のテストイベントを通して、7月のオリンピック本番が具体的に、デジャブのようにイメージできました。また、コロナの中で、たくさんの方が感染対策に気を配りつつ準備してくれていることを目に見えて理解できて、ありがたいイベントになりました。このテストイベントをできたことをジャパンのアドバンテージにして、多くの方に本番も見ていただいて、応援してもらえるよう私たちも残りの期間を頑張りますので、残り3カ月、よろしくお願いします」


平野優芽

「実際にオリンピックで試合をする会場でプレーさせてもらえて、具体的に、7月が楽しみになりましたし、ここでプレーしている姿をたくさんの方に見てもらって、応援してもらえるように頑張りたい。これからも応援をよろしくお願いします」

GALLARY

 

チームは中村知春主将のレッドと山中美緒主将のブルーに分かれて対戦

チームは中村知春主将のレッドと山中美緒主将のブルーに分かれて対戦

 

鋭い突破をみせた弘津悠

鋭い突破をみせた弘津悠

 

体が見違えてサイズアップした松田凜日

体が見違えてサイズアップした松田凜日

 

ラインアウトでボールを取り合うのは原わか花と平野優芽

ラインアウトでボールを取り合うのは原わか花と平野優芽

 

東京都と書かれたゴールポストカバーめがけて、原わか花が快足を飛ばす

東京都と書かれたゴールポストカバーめがけて、原わか花が快足を飛ばす

 

キックを追った小出深冬と猛然と戻った清水麻有が競り合う

キックを追った小出深冬と猛然と戻った清水麻有が競り合う

 

SHもプレーする堤ほの花

SHもプレーする堤ほの花

 

ゲームメーカーの大黒田はHOも

ゲームメーカーの大黒田はHOも

 

トレーニングメンバーからドバイ遠征に参加した梶木真凜の突破を香川メレが阻む

トレーニングメンバーからドバイ遠征に参加した梶木真凜の突破を香川メレが阻む

 

GAMEが終わればすぐマスクをつけて移動

GAMEが終わればすぐマスクをつけて移動

 

女子GAME2の前には国歌吹奏のリハーサルも行われた。場内放送は「日本対南アフリカ」

女子GAME2の前には国歌吹奏のリハーサルも行われた。場内放送は「日本対南アフリカ」

 

男子は本村直樹とトゥキリロテが先頭に立って入場した

男子は本村直樹とトゥキリロテが先頭に立って入場した

 

本番同様に円陣を組んでGAMEには入る

本番同様に円陣を組んでGAMEには入る

 

副島亀里ララボウは金髪で登場

副島亀里ララボウは金髪で登場

 

ゴールラインに迫る野口宣裕をヘンリーブラッキンが抱え込む

ゴールラインに迫る野口宣裕をヘンリーブラッキンが抱え込む

 

トレーニングスコッドから昇格組のひとり、中川和真は意欲的なプレーをみせた

トレーニングスコッドから昇格組のひとり、中川和真は意欲的なプレーをみせた

 

彦坂匡克は笑顔でムードメイカーぶりを発揮

彦坂匡克は笑顔でムードメイカーぶりを発揮

 

「スーパーサラリーマン」こと加納遼大。キレのいい動きを見せていた

「スーパーサラリーマン」こと加納遼大。キレのいい動きを見せていた

 

GAME終了、ピッチに降りた岩渕HCは選手たちとグータッチ

GAME終了、ピッチに降りた岩渕HCは選手たちとグータッチ

 

GAME終了後もキック練習に打ち込む坂井克行

GAME終了後もキック練習に打ち込む坂井克行

 

大友信彦
(おおとものぶひこ)

1962年宮城県気仙沼市生まれ。気仙沼高校から早稲田大学第二文学部卒業。1985年からフリーランスのスポーツライターとして『Sports Graphic Number』(文藝春秋)で活動。’87年からは東京中日スポーツのラグビー記事も担当し、ラグビーマガジンなどにも執筆。

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