18日、ラグビー日本代表は宮崎合宿の練習後、数名の選手が取材に応じたが、今回代表初招集となったSO・FB松永拓朗(東芝ブレイブルーパス東京)とSH藤原忍(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)の二人に話を訊いた。藤原、松永といえば、天理大学で、ハーフ団を組んで、大学日本一となったコンビ。そのあたりも含め、今回代表という舞台で一緒になった喜びも語った。
松永拓朗
――日本代表に初めて呼ばれましたね
やっとこういう場でチャレンジできる嬉しさと、呼ばれた瞬間、緊張感はありましたね。(発表の)1週間前に知りました。
――藤原選手にも言わなかったんですね!
誰にも言われてはないですけど、一応、発表まで黙っていました。(藤原)忍には早く連絡したかったんですけど、なんかの手違いで入っていなかったら僕が入っていなかったらあれだし、忍もケガで入っていなかったらあれなので、(発表後に)連絡しました!
――練習で今日は10番に入るシーンもありました。戦術やサインなどは、今、学んでいる最中ですか
今、学んでいる途中で難しいところもあるんですけど、だいぶコミュニケーションも取れるようになったし、こういう感じラグビーするんというのは、だいたい理解できるようになってきたので(もっと)アジャストできたらと思います。シェイプの動きやチームが求めている超速はどういうことか、ディフェンスはどうやってプレッシャーかけるのかなど詳細のところだんだん理解できるようになってきたので、頭で考えず行動ができるようになったらいいなと思います。忍やハルさん(立川理道)、あと周りの選手に聞きながら、やっています。今、ライリーと同部屋です。日本語で話してくれています。
――頭で考えずに動くというのは、どうしたらそうできますか
言葉を覚えて、グラウンドでやるしかないですね。
――昨シーズン中に各チームを回った時にエディーさんに声をかけられたりしたんですか
僕の記憶では、ここで初めてですね。
――リーグワンで活躍して、日本代表に呼ばれなかったですが、どんな気持ちでしたか
焦る気持ちはなくて、W杯までまだ時間はあるし、今季や来季のリーグワンで活躍すればチャンスがあると思っていました。エディーさんにはSO FB両方を準備しとけと言われています。
――東芝のコーチだったダンコーチが指導しています。
BKのアタックのシステムや練習メニューは東芝でやったことがあったり、サインの詳細は東芝でいっしょやったなっていう部分もあります。言葉が違うだけなんでアジャストしやすいと思います。
――超速ラグビーは選手によってはワクワクするとか楽しいとか、難しいとかいろんな意見がありますが、松永選手はどうですか
今、そんな余裕ないです(苦笑)。今、必死で覚えている感じですね。
――まだノンキャップですが、もしオールブラックス戦に出たらどんなプレーをしたいですか
まず自分を表現したいのが一番です。(相手が)オールブラックスとか考えずに、自分のパフォーマンスを出せたら最高の初キャップになると思います。
――エディーさんとミーティングはした
はい。10番、15番ができるようにと。あと自分の強みを出して、あとはそれに必要なスキルをどれだけ練習するか。(自分の強みは)ボールを動かすところと周りとのコミュニケーションです。周りの選手とコミュニケーションとって、周りを動かす、ボールを動かす。それにプラスして自分がランできたら最高です。そういうところを(プレーで)出してくれとエディーさんからも言われました。
――WTB/FB松永貫太といっしょに選ばれたら嬉しかった
弟と一緒に(日本代表に)選ばれたら最高ですね! ただ(日本代表に弟が)おったらおったで僕にプレッシャーがかかったりするのですが、将来的にいっしょにやれたら嬉しいですね
――初めて入った日本代表はどんなチームですか
向上心が高くて、練習でもそうですし、オフフィールドで一つになろうと選手からから伝わってきますね。練習の時一体感があるのはもちろん、ご飯のとき、ミーティングのとき、チームイベントのときとか関係性を深めようとしていると感じています
――東芝ではプレシーズンのキャプテンに任命されていましたね。
はい。どうなったんですかね。誰が次の(プレシーズンの)キャプテンか知らされていません。練習のとき、キャプテンらしいことやっていないが、リーダーとして引っ張ってやろうと思っていて、全試合出さないけど、引っ張ってくれと(ブラックアダーHCに)言われましたが、ここに来ました(苦笑)。ブラッカダーHCは是非、(日本代表に)行ってこいという感じでしたね。
――天理大の大学選手権の優勝メンバーが日本代表に増えましたね
同級生がいることは心強くて、忍、サイア(シオサイア・フィフィタ)は普段から仲のいいメンバーなので、いっしょに(日本代表で)できてすごく嬉しいですし、心強くて助かっています。日本代表の帯同は初めてで、スケジュールとかチーム練習の動き、服装もウェイト用、グラウンド用と違うので、同級生がおるので何でも聞けるし、困ったこと悩みごとがすぐ聞けるし、何でも言い合えます。
――天理大の先輩である立川選手ともいっしょです
ハルさんは、本当テレビで見ていた存在で、ちょくちょく天理大時代も(練習を)見に来てきてくれて、キックをちょっと教えてくれたりした、憧れの存在の人と一緒のフィールドできるっていうのは、ちょっと感慨深いです。ハルさんはレジェンドなので特別な存在ですね。チームのリーダーだなと思います。ブレないし、みんなからの信頼も厚いし、冷静で引っ張ってくれているので素晴らしいです。
――でもライバル関係にありますね
学ぶことが多いのでいっぱい盗みたいと思います!僕たちなら頑張ってキックを蹴っているが、ハルさんが力を抜いて蹴ったキックが飛んだりしているので、スキルは盗めるところがいっぱいあります。
藤原忍
――天理大学時代4年間、ハーフ団を組んでいたSO松永選手が日本代表に入りました。
嬉しいですね! SNSで発表があるまでわかんなかったです。
――やっぱりプレーしやすいですか?
やりやすいというというか、要求しやすいし、向こうも要求しやすいと思います。戦術やサインとか教えています。向こうからこういうとき、どうしたらいいと聞かれたら、しっかり答えています!
――NO8マキシ、CTBフィフィタもいます。天理大が多いですね!
気持ち的に動かしやすいです!
――残念ながらPNCでハーフ団を組んでいた李選手はメンバーから外れました
ケガで苦しんでいるみたいなので、また治して戻ってきてほしいです!
――藤原選手の存在感が増していますが
今は、ちょっとリードしないといけないっていうオーガナイズしろと言われているのでやっています。
――自分が超速ラグビーを理解してないと言葉が出ないが
人一倍っていうと、あれですけど9番、10番、FWのリーダーは深く理解しないといけない。しっかり戦術もアタックもディフェンスもわかっておかないといけないですし、9番というポジションに必要なのでやっています。
――エディー・ジョーンズHCは藤原選手はスパークアタックができるという話をする一方で、もっとパスを上達させてほしいと言っていましたが・・・
練習の終わりにエディーさんから何回かフィードバックもらったんですけど、本当にパスナイスとか、声を掛けてくれるようになりました。ジャパンが始まったばっかりのときは何かフォーカスをいっぱいもっていたのですが、それは自分にプレッシャーがかかり、多すぎるとミスにつながってしまう。エディーさんからももっとショートに、2個 多くても3個、例えばとりあえずボールに集中すること、ディフェンスをオーガナイズすることだけを考えろとアドバイスをもらいました。多少、周りも見ますが8割くらいボールだけに集中して (パスをすることで上達した)。
――他にも意識していることはラックに寄りながら誰が来ているか見ますが
(アタックに勢いを出すために)前に放るのは前提で、FWはここにほしいとか、スペースにほしいとかがあるので、練習中からそういう意識でやっています。
――エディーさんから他にSHに要求されることは
9番は9人目のフォワードみたいに強気なプレーでやってくれ、と言われています。
――SHからの仕掛けは、藤原選手の強みでもありますよね
継続してやろうとしています。行けるときは行く。ただ行けるチャンスは試合中1、2回くらいしかチャンスない。
――ゲームコントロールで意識していることは
フィジー代表戦では仕方なく蹴っていたので、9番、10番で切り替えて 効果的なキックを蹴って相手にプレッシャーかけられるようにしていきたい。スペースが空いていたら9番からサイドの方に蹴ります。これ以上、選択することができなくなって、こっちからしょうがなく蹴ることはやらないようにしたい。
――超速ラグビーは、選手たちに話を聞くと、考えるスピードを上げることが一つにあります。
ただエディーさんは、試合中に考える暇はないとも言っています。 考えずに動けというのをエディーさんに言われて、確かに考えていたら そのスペースがなくなりますし。考える時もありますし、感覚で動いていく時もある。
――PNCでチームがフィットして挙げた、良いトライはありますか?
サモア代表戦、SO立川選手の飛ばしパスからFB李選手が挙げたトライとか?あのプレーはミーティングでも見たんですけどしっかりそのコミュニケーションが取れていた。たぶん、ラインアウトからスタートしているんですけど、そのラインアウトから、切れることなく全員がコネクトしながら最後のトライにつながったんじゃないかな。ああいったトライを増やしたい。
――オールブラックス戦で、どんなプレーをして勝ちたいですか?
自分の役割をしっかり理解しながら、チームでやることをまず明確にして、みんなを鼓舞しながら自分の強みを出しながら、本当に勝てるので、勝ちにいきたいと思います。ニュージーランドはトランジションのところで、切り替えて空いているスペースにアタックしてくるので、その時間と余裕を与えないディフェンスができるように僕がオーガナイズしていきたい。