6月7日、イギリスマンチェスターでU20チャンピオンシップ・U20日本代表対U20南アフリカ代表の一戦が行われた。奇しくも昨年のワールドカップと同じカード。次世代のジャパン戦士たちも「史上最大のアップセット」を見せられるのか期待は高まった。
南アを本気にさせた、アタアタのハットトリック!
試合開始から南アがボールを支配しジャパン陣内で優位に試合を進める。対するジャパンも昨年のワールドカップを思わせる低いタックルで粘り強いディフェンスでトライを許さず、スコアレスの状態が続いた。
9分、ジャパン陣内10mでボールをもった南アFLデーヴィッドにビックゲインを許しがそのまま先制トライを決められてしまう。しかし、この試合のジャパンはセットプレーを起点に攻めチャンスを作る。すると、19分、敵陣10mのラインアウトから、トップスピードにのったWTBアタアタがパスをもらうとそのままビックゲイン。一気にスペースを抜けてゴール右横へトライ。SO金井のコンバージョンも決まって7−7。
25分、南アのミスから敵陣22m内側でマイボールスクラムのジャパンはFWで攻め込み、アドバンテージが出されると、右隅にいたアタアタへのキックパスが見事に通って14−7と逆転に成功する。30分には、再びアタアタがゴールライン手前でボールをもらうと、ステップを切って相手ディフェンダーを抜き去りハットトリックのトライ。前半は19−14とジャパンが南アフリカをリードして後半を迎える。
攻め方を変えてきた南アフリカ。強いランナーを止めることができなかった
後半、ジャパンは14人でスタート。前半終了間際にFLマキシにシンビンが適用され後半の入り10分弱は出場することができなかった。南アは、先制トライを決めたFLデーヴィッドら強いランナーを中心に縦に攻め、これが見事に功を奏した。
後半開始から、63分までの攻防を振り返る。
41分、自陣からFLデーヴィッドが突破し一気に22m内側に入り込むと6フェイズ目にキャプテンCTBワードにトライを許し21−19と逆転される。直後のキックオフ。SO金井のキックはタッチラインを超え、ハーフウェイでスクラムとなる。ここから南アはNO8ポコメラの突破でジャパンのディフェンスラインを破るとデーヴィッドがトライ。28−19。
ここで流れをもう一度引き戻したいジャパンは、直後のキックオフで南アがハンドリングエラーでマイボールスクラムのチャンス。ここでジャパンはブラインドサイドに展開。南アディフェンスにスペースをしっかりと埋められ、タッチライン外に押し出され南ア陣内10m付近のラインアウト。ここでも南アのミスからジャパンがボールを奪う。南アも出足良くプレッシャーをかけスペースを与えない。ジャパンはパスをおくるタイミングをずらしながら何とかキープを試みるが、SOリボックにパスをインターセプトされ、リボックからワードに繋がれ、後半開始10分以内に3連続トライを許してしまった。
これ以上点差を広げられたくないジャパンは立て直しを図る。50分、南アがハーフウェイ付近でノットロールアウェイのペナルティ。クイックリスタートで、一気に22m手前まで前進。しかし、南アの戻りも早くスローダウンさせられゲインができない。52分、南アのハンドリングエラーからジャパンが敵陣10m付近でマイボールスクラム。何とかボールをキープするも、前に出てくるディフェンスに対応できずノックオン。ハーフウェイ付近で南アボールスクラム。
勝負どころのスクラムでプレッシャーを受けジャパンはスクラムホイールのペナルティーをとられてしまう。ハーフウェイからやや自陣に入った位置から南アFBボッシュが60m弱のPGを見事に決めて38−19とセーフティーリードとした。
ジャパンは57分、敵陣22m手前のラインアウトからモールを組んでゴール前10mまで迫るが、FLノードにチョーキングされモールパイルアップでチャンスを活かせず。南アが再び猛攻をかける。58分、デーヴィッドの突破から一気に攻め込みジャパン陣内ゴール前5m付近のラインアウト。モールからのトライを試みるが、前半からジャパンのモールディフェンスが決まりこの場面でも押し切ることができない。
何とか自陣から抜け出したいジャパンだったが、63分、自陣22手前のラインアウトからSOリボックにトライを許し勝負あり。後半、流れを引き戻すことができないままその後も2トライを許し19−59でノーサイド。
後半ミスから、簡単に得点をとられてしまったーーU20日本代表・中竹竜二ヘッドコーチ
今日の試合は、とにかく激しく、攻撃的に最初から仕掛けていくことを決めていた。前半は良い戦い方ができた。選手たちも自信を持ってプレーしていたが、後半でミスが続き、簡単に(得点を)取られてしまうことで相手に主導権を渡してしまった。このチームでは初めての試合だったので、まだまだ試合を修正する力が不足していると感じた。これからチーム一丸となって、さらなるレベルアップをして、フランス代表戦勝利に向けて良い準備をして頑張っていきたい。今試合の前半のような戦い方を後半も続けられるようにしたい。
「後半の入りで相手が戦術を変えてきた中で、受け身になってしまった」・FL古川聖人キャプテン
前半は自分たちのやろうとしていた『Action Rugby(アクションラグビー)』ができ、スコアでも優位に立てたが、後半の入りで相手が戦術を変えてきた中で、受け身になってしまった。連続で得点をとられ、試合の流れを相手に渡してしまったのが敗因だと思う。今回の反省点を次に生かして、勝つためにここに来たんだということをもう一度全員で確認し、フランス代表には勝ちにいきたい。
第2戦は日本時間の12日23:45から、アルゼンチンに敗れたフランスと対戦する。初戦で出来たこと、出来なかったこと、すべてをプラスに変えて勝利に臨んでほしい。