37歳4ヵ月27日。
2015年10月3日、イングランドの新興都市ミルトンキーンズにあるMKスタジアムのピッチに立った最年長の男の年齢である。
「代表に入るということは、いつも新鮮なもの。慣れることってないです」
大野均。1978年5月6日、福島県郡山市生まれ。2004年に26歳で初めて日本代表入りしてから12年目。日本歴代最多を更新中の日本代表キャップ数は96に達した。
そしてこの午後、大野均はもうひとつの「日本一」を手に入れた。
”最年長キャップ。”
これまでの記録は、攻撃的SHとして活躍、1991、1995、1999年の3度のワールドカップに出場し、日本人最初のプロラグビー選手としてフランスのアビロン・バイヨンヌでもプレーした村田亙が保持していた37歳4ヵ月25日だった。2003年の春を最後に日本代表から離れていた村田亙は、2005年の南米遠征で主戦SHとして期待されていた池田渉(三洋電機=当時)の負傷に伴い、急遽招集され、4月のウルグアイ戦で2年ぶりのテストマッチ復帰を果たし、6月のアイルランド戦まで日本代表でプレーを重ねた。
「そのときのツアーで、僕も一緒だったんです。26歳のときでした」
当時、大野は初キャップ獲得から1年足らず。日本代表のFWでは最も新顔といっていい若手だった。
「そのとき、37歳で代表をやっているのって、どんな心境なんだろうなあ……って思ってたんですが」
大野はそう言うと、柔らかく笑った。
「同じでしたね、26歳の時と。代表に入るということは、いつも新鮮なもの。慣れることってないです」
日本代表に欠かせない存在
初キャップは2004年5月16日のアジア3カ国対抗、秩父宮で行われた韓国戦。バツベイとの交代で60分からピッチに入った。この試合は引き分けに終わったが、続く5月27日に国立競技場で行われたスーパーパワーズカップのロシア戦ではLO(4番)でテストマッチ初先発初勝利。
だがその秋、欧州遠征のスコットランド戦では8−100という大惨敗の当事者になってしまう。翌2005年は、追加招集された村田とともに南米遠征を経験したが、村田のラストキャップとなった2005年6月19日の対アイルランド第2テストではメンバーを外れた。